第15回DC開発フォーラムワークショップ「ソーシャル・イノベーションへのビジネスセクターの関与」議事録

第15回ワークショップ「ソーシャル・イノベーションへのビジネスセクターの関与」議事録
プレゼンター略歴
新谷大輔(しんたにだいすけ)さん
(株)三井物産戦略研究所研究員。2010年4月よりシンガポール駐在。主に東南アジアのマクロ経済、産業調査など行うと同時に、CSRや社会起業黎明期の2000年以前から研究を開始。企業とNGOの連携、企業内CSR戦略構築、社会起業家支援などに取り組む。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科兼任講師、NPO法人ACE理事など。著書に、『アジアのCSRと日本のCSR~持続可能な成長のために何をすべきか』http://bit.ly/BFPq9、『会社員のためのCSR入門』http://bit.ly/aXSQyN、『次世代CSRとESD~企業のためのサステナビリティ教育』 http://amzn.to/fNpDYa(いずれも共著)などがある。
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• ソーシャル・イノベーションとは
o 社会や制度進化が連続して起こる
o アイディアと価値を交換する(政府、民間、非営利の3セクター間)
o 3つのセクター間の役割や関係性を変化させる:既存セクターの境界線を壊すことがカギ!
o より効率的、効果的、そして利益性は低くても、少なくとも持続的に人々のニーズを満たす新たなビジネスモデルを創造する
o 「社会」の意味する範囲は極めて広いことに注意
• CSRにおける最も重要なキーワードは「統合(Integration)」。社会・環境側面を本業事業に統合していくことが重要となる。Integrating Business and Society =CSV(Creating Shared Value)
o Nikeのケース:最初はNGOと対立したが、問題に気づくことによって本業における労働環境等の改善につながる
o 別のケースでは、既存民間セクターによる社会的企業の買収も起こり始めた。
• mPOWERPAD(http://thirdwavepower.com/?page_id=91):シンガポール発のソーラーバッテリー。多機能(ライト、超音波による虫除、ラジオ、USBで充電等)だが、価格は1万円くらいとソーラーランタンより圧倒的に高い。どう普及させるか、検討課題。
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質疑応答
• 質問1:ソーシャルイノベーションの定義づけがすごく難しいと思うが、ソーシャルウォッシュを防ぐためにどんな定義づけが適切なのか。(注釈:ウォッシュとは、洗い流すということ。例えば表面的に聞こえのいい広告で環境保護を謳うが実際には環境汚染も行っているケースはグリーンウォッシュ。Blue washは国連。「国連とやってるから何でもいい」と宣伝できる)
• 新谷:民間企業の視点では、ソーシャルウォッシュは仕方ない部分もある。企業がすべてをできるわけではない。あるキャンペーンが限定的な視野に見えても、企業の取り組み全体を見ると、広くやっている場合もある。
• 質問2:各セクターを繋ぐプレイヤーはいるのか。国際機関の位置づけは?
• 新谷:ひとつには、NGOの中でも民間企業出身者が個人として活動している。さらに社会起業家も増えている。国際機関も民間連携室も持ったり。日本で言えば、仲介型NPOがマッチングする場合もある。
• 質問3:かつてODAのタイド(ひもつき援助)がなくなったとき、民間企業がさっとひいて大変だった。サハリンプロジェクトのときは、シェルとエクソンモービルが一気にお金を出して学校等立てた(ODAよりずっと速く、大きい規模で)。カーボンファイナンスでは今お金が一気にひいている。民間は追い風のときは凄いが、ひくのも早い。どう付き合えばいいのか。
• 新谷:排出権取引に企業が殺到したのは、お金儲けの可能性を見たから。今ひいていってるのは、市場性がなくなった可能性が高い。排出権取引は一般人には分かりにくかったのもある。持続的なソーシャルイノベーションになるには、一般人にも分かる言葉で理解される必要があるのではないか。
• 質問4:上場企業がCSRを株主に説明するときに、最終的に社会的なリターンを強調するのか、財務的リターンを強調するのかどちらか。
• 新谷:最近株主の意識も変わってきて、お金だけの株主は減ってきている。つぶれるような企業になるよりは、持続する会社の方がいい。CSRはブランド価値につながる。
会場参加者は約20人、Ustream閲覧者は約30人でした。ご来場、閲覧して下さった皆様、誠にありがとうございました。今後もよろしくお願い致します。