第18回ワークショップ議事録「ソーシャル・アントレプレナーシップの最前線:アジアにおけるグランマの活動」(4月3日)

2013年4月3日開催の第18回ワークショップ「ソーシャル・アントレプレナーシップの最前線:アジアにおけるグランマの活動」議事録です。
【テーマ】
「ソーシャル・アントレプレナーシップの最前線:アジア途上国でのグランマの挑戦」
アジアの途上国を中心に生活者の課題解決、所得向上につながるビジネスを手がける、ソーシャル・アントレプレナー集団のグランマ。ダイナミックな活動を展開する「グランマ」を一躍有名にしたのは、2万人以上を動員した2010年の「世界を変えるデザイン展」(東京・六本木)でした。グランマは、アジアの途上国と日本、現地コミュニティと大手企業、アントレプレナーと政府関係者など、あらゆるステークホルダーをつなぎながら、現地の生活水準を高め、かつ持続可能な事業モデルをめざし、東奔西走しています。
大きな実績もなかったソーシャル・ベンチャー企業は、途上国で生活の水準を高めるデザインの数々をどのように集め、大イベントを成功させたのか。彼らが言う、「貧困とは想像力が枯渇している状態」の真の意味は何か。大きな国際機関とグランマのようなソーシャル・アントレプレナーとでは、どのような協業が可能なのか。ソーシャル・アントレプレナーシップの最前線で活躍する本村氏をお招きし、皆様とともに議論してまいりたいと思います。
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【略歴】
本村拓人:株式会社グランマ代表取締役。1984年生まれ。高校卒業後、愛知県にて派遣会社を興し、一年間の会社経営を経験した後、ビジネスへの関心を強め、NY
State University of Morrisville
へ進学。在学中、バングラディッシュのダッカからアフリカ大陸を陸路で歩み、資本主義の残した正と負の軌跡を直視する。その経験をもとに、2009年4月に株式会社Granma(グランマ)を設立。社会課題にもっとも身近に触れている現地の人々自らが考案した、生活向上のための様々な革新を「グラスルーツ
イノベーション」と名付け、世界に散らばる知を集め、各地域に展開。現地の人々が自分たちの意思とアイデアで生活水準を向上できる仕組みづくりを展開している。社名のGranmaは、キューバ革命の際、チェゲバラ、カストロがキューバに上陸した船の名前に由来する。
株式会社グランマのページ: http://granma-port.jp/
本村氏紹介ページ: http://www.social-design.info/report/motomura.html
「ソーシャル・アントレプレナーシップの最前線:アジア途上国でのグランマの挑戦」
• グランマはデザインを一つの軸として、アジアの12カ国にいる友人のネットワークを活かして色々とビジネスをしている
• 想像力の枯渇=貧困と定義(仮説)し、その状態の解決することを前提に「社会の最大多数の最大幸福を実現する、プラットフォームを創造する」ことがグランマのミッション。先進国での貧困問題解決も必要だと自覚しているが、経済発展が未だ途上である環境下=最大多数と定義し活動領域に優先順位をつけている。
• 現地のBOP(Base of the Pyramid)発の現地にひもづいた草の根のソリューションを発掘したい
• 世界を変えるデザイン展
o Design for the other 90%というニューヨークでの展示を参考にした
o この企画を通じて、先進国発だけではなくて、現地の人がデザインや解決のプロセスに入っている方が良いと感じた。実際に2009年からアジアを中心に様々な社会課題とそれらの課題を解決するソリューションを詮索しており、実際にいくつもの途上国発のソリューションがあることをしった。
o 日本の技術を活用しても、ビジネスモデルになかなか繋がらない。大企業のブランドを固持するには、質を担保するために、日本の工場でつくって輸出するという話になってしまう。そうすると現地の人々のニーズとは離れてしまう。
• 事業の方向転換、組織としての継続性も考えてスタッフ12人を4人に減らした
• インドの男性によって開発された生理用ナプキンを、フィリピンなど他の途上国で地産地消するプロジェクトを検討中。軍資金は300万円(クラウドファウンドより2012年に調達)。成功はローカルのマイクロファイナン
ス機関や流通業者に委ねられている。未来にかけるプロジェクト。
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質疑応答
• そもそもBOPにそこまで興味があるのは?
o アジアの仲間と一緒にやりたい。彼らはBOP。届けるのなら10人よりも1000人の方がいいのでは?という単純な発想から来ている。また、BOPビジネスに関わる人にはスマートな人が多い。ライバルとしても面白い
• ファンドありきでお金を直接現地企業に渡した方がいいのでは?
o インドで展開する場合であればお金を直接当該企業に提供するべきと思う。が、今回のフィリピンでのPJは基本的にインドの製造メーカーの資産を別の国へ水平移管する試みであり、当該企業であるインドメーカーがフィリピンでオペレーションやテストマーケをする物理的なリソースは無い。また、現場(フィリピン)のカウンターパートも本件を進める為には自分たち以外の組織からの主体的参加がなければpjは動かせない。尚、資金についてもパイロットプロジェクトを動かすための資金提供=リスクマネーを提供する余裕は無いため、グランマが主体的に動いている。大きな資金を勝ち取る為にはある程度のスケールが見込めるプロジェクトを生成する必要がある。また、それ相応の実績と信用力も必要となる。グランマは成長途上という評価を受けている。これから戦略的に動く必要がある。
o アメリカに来た一つの理由はKIVAなどのクラウドファンディングに会うため
• グランマの存在意義は?
o 例えば生理用ナプキン。P&Gなどに勝つため流通システム等にフォーカスするビジネスモデルを考えている。
o グラスルーツ・サウスサウス・ナレッジエクスチェンジ(草の根・南南・知識共有)をしている
o 現場に入り込んで、現場で起こるイノベーションを見つける
o 他の国のニーズと繋ぐ
o 流通がカギを握る。パパ・ママショップ、ネットカフェ等の流通網に的を絞って話をしている
o イベント・プロデューサーになってしまうのは違うと思っている
• 最近の日本企業の盛り上がり具合と反応は?
o 大企業は焦ってるとは思うが、リアリティを持ってBOP市場を語れている人は少ない。
o 一番動かしたいのは、中小企業。市場規模は小さくとも、世界シェアで2割以上シェアを持ってるような中小企業は積極的に巻き込んでいきたい。
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来場者は約20人、Ustream中継は約20人にご閲覧いただきました。
プレゼン終了後にネットワーキングを含めた懇親会が行われました。
今後とも、よろしくお願いいたします。