第19回ワークショップ議事録「留学ならぬ『留職』とは?企業による途上国への新たな貢献のあり方」(4月15日)


DC 開発フォーラム第19回ワークショップ 議事録
【テーマ】「留学ならぬ『留職』とは?企業による途上国への新たな貢献のあり方」
【スピーカー】小沼大地さん(NPO法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事)
ワシントンDC開発フォーラムでは、4月15日(月)、留学ならぬ『留職』とは?企業による途上国への新たな貢献のあり方」というテーマで、新興国「留職」プログラムという事業をてがけているNPO法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事の小沼大地さんをプレゼンターに迎えてワークショップを行いました。
【スピーカー略歴】
小沼大地(こぬまだいち)
一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊(中東シリア・環境教育)に参加後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。2011年3月、NPO法人クロスフィールズ設立のため独立。会社員時代より社会貢献活動に関心を持つ社会人向けのコミュニティを主宰し、これまでに800人を超す参加者を集める。世界経済会議(ダボス会議)のGlobal Shapers Community(GSC)ジャパン2011に選出。
東洋経済オンラインでの連載:
http://toyokeizai.net/category/ryusyoku-japan IMG_1079.jpg 【プレゼンテーション】
設立のバックグラウンド
– 日本経済の停滞を目の当たりにして育ったミレニアム世代は、金銭以外のものに価値を見出してきた世代(→多くの社会企業家が輩出)
– 若手社会人のコミュニティ「コンパスポイント」の設立を通じて、職業人が社会貢献への情熱を発揮する機会が限られていることを実感
– 海外青年協力隊という自身にとっての「原体験」。そこで出会った、途上国の人や、その開発を支援するコンサルたちの情熱
→(1)人材育成 (2)新興国開拓 (3)組織風土の活性化、を柱とした「留職」(NPOへの社員派遣)プログラムを運営するのNPO法人の設立
米国など海外での取り組みの紹介
NPO法人クロスフィールズの設立
「留職」プログラムの事例紹介
• 大手家電メーカーの入社10年目の技術系職員のベトナムの社会的企業への派遣のケース
→ベテラン社員からのアイディア供給など社内で留職支援の熱の伝播
 プレゼンの最後に「挑戦しないことはリスク」というメッセージ IMG_1074.jpg 【質疑応答】
o もの作りの事例紹介があったが、サービス業での留職の事例はあるか?
→教育関連企業などの事例の紹介。また、米国では、流通業などでも取り組みがある。
o 事業規模について、今後の展開は?
→しばらくの間は、高付加価値のプロジェクトを展開する予定だが、中長期的にはある程度規模を大きくしていく必要があると考えている。
o 継続性について
→プロジェクト後、留職を経験した人材が社内でどのように活用されていくかが一つのポイントであり、この点では会社の意識改革を起こす必要もある。
o 同一のプロジェクトに複数の企業から留職者を送って、横のつながりを構築するのも一案ではないだろうか?
→海外では、システムエンジニアリング企業と流通企業がコラボレートした例などがある。国内ではまだまだ企業側に抵抗感があるのが現実だが、実現できれば面白い試みになると思う。
o そもそも、企業が事業の一環で自前で派遣員を送ればよい話ではないのか?その方が専門性を活かす上でも、企業にとってのメリットが大きい気がするが…
→その通りだが、現実にはそういった取り組みは少ない。昔は現地の人たちの中に入って仕事をするような派遣の機会もあったが、近年は若手が派遣される機会は減少し、派遣されても現地に入り込むような機会は少ない。
o 設立からこれまでの2年間の経験からのフィードバックはあるか?
→何を誰に示すのか、が重要であること。大企業のリーダー層へのプログラムを供給することで、企業意識の変革も含め、将来の裾野を広げたい。また、海外への留職だけでなく、国内での留職プログラムをしてみたいとの思いもある。
o 学生へのアプローチはしているか? プログラムを学生に紹介していくことで、将来の留職希望者への告知にもなるし、プログラムに参加する企業の紹介は企業側にも好ましいのでは?
→現在は学生へのアウトリーチは特に意識的には行っていないが、そういった活動も今後は考えていきたい。 IMG_1064[1] ワークショップ後には1時間ほどネットワーキングを含んだ懇親会を行いました。参加者は約25人でした。
今後もよろしくお願いいたします。