2015年12月22日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
「COP21が閉幕」
「安全保障理事会は、南スーダンPKOの人員増加を決定」
「OCHAは難民の数が史上初めて6000万人を超えたと報告」
「ベネズエラ選挙における16年ぶりの野党圧勝についてのシンクタンク分析」他
【2】 国連フォーラム
(1)勉強会開催速報: 「国連における精神保健政策および障害者の権利」(2015年12月9日 於 東京大学駒場キャンパス
)
(2)SDGsについての記事のご紹介:(国連フォーラム共同代表 田瀬和夫)
(3)スリランカ スタディプログラム 報告プロセス始動!
(4)国連フォーラム・DC開発フォーラム合同 冬のネットワーキング・カンファレンス12月26日(オフ会)in 東京 with
GRIPSのご案内
【3】 ワシントンDC開発フォーラム
国連フォーラム・DC開発フォーラム合同 冬のネットワーキング・カンファレンス(旧オフ会、12/26開催@六本木)
第249回BBL:12月14日(月)「開発途上国における安全な水へのアクセス現状とJICAの取り組み」の開催報告
【4】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「日本人の平和への思いを南スーダン人に届ける」紀谷昌彦(在南スーダン日本国大使館/ジュバ在住)
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【1】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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● 外務省のHPに平成26年度 草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用した官民連携案件が掲載されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/kanmin/page23_000787.html
● 財務省、外務省、厚生労働省、JICA、日本国際交流センターの共催で、国際会議「新たな開発目標におけるユニバー サル・ヘルス・カバレッジ:強靭で持続可能な保健システムの構築を目指して」が東京で開催されました。
http://www.mof.go.jp/international_policy/others/uhc_20151216.html
● ランセット誌に安倍総理の寄稿「世界が平和でより健康であるために」が掲載されました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002770.html
● 日本、ミャンマー、タイの3カ国は、ミャンマー南部のダウェー経済特区の開発を主導する特別目的事業体に、国際協力銀行(JBIC)が33.3%を出資することで合意しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO95137630V11C15A2FF8000/
● 日印首脳会談が開催されました。それに際し、日印ヴィジョン2025特別戦略的グローバル・パートナーシップが発表されました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/page4_001632.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/page3_001508.html
● アフガニスタンに対し、国連食糧農業機関(FAO)との間で、総額14億8,700万円の無償資金協力「灌漑システム改善及び組織能力強化を通じた農業生産性向上計画」に関する書簡の交換が行われました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002797.html
●「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップとして、JICAとアジア開発銀行との間で具体的な連携枠組みにかかる業務協力の覚書が締結されました。
http://www.jica.go.jp/press/2015/20151217_01.html
● エジプトとの間で、供与限度額15億6,000万円の無償資金協力「カイロ大学小児病院外来診療施設建設計画」に関する書簡の交換が行われました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002785.html
● バングラデシュとの間で、合計1,332億6,500万円を限度額とする円借款(外国直接投資促進計画、ダッカ-チッタゴン基幹送電線強化計画、西部バングラデシュ橋梁改良計画、母子保健及び保健システム改善計画、都市建物安全化計画、地方行政強化計画)に関する書簡の交換が行われました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002777.html
● 2015年度JPO派遣候補者選考試験の追加募集を行っています。
http://www.mofa-irc.go.jp./jpo/dl-data/oshirase.pdf
● FASID奨学金プログラムの応募を受け付けています(応募締切2月8日)。
http://www.fasid.or.jp/_files/activities/2015gakuiyoko.pdf
● JICA研究所は、人材を募集しています。
http://jica-ri.jica.go.jp/ja/procure/index.html
● ジェトロ・アジア経済研究所は任期付研究員(ビジネスと開発)を募集しています(締切2月1日)。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Recruit/res_csr.html
● 世界銀行グループ採用ミッション の募集が12月25日に開始予定です。
http://www.worldbank.org/ja/news/feature/2015/11/19/recruitment-mission-2016
● IMFは、博士号取得のためのJAPAN-IMFスカラシップ・プログラム(JISP)奨学金の応募を受け付けています(応募締切1月31日)。
http://www.imf.org/external/np/ins/jpn/pdf/jisp2016-2018j.pdf
● 内閣府国際平和協力本部事務局が、平成28年度国際平和協力研究員を募集しています(1月29日締切)。
http://www.pko.go.jp/pko_j/news/__icsFiles/afieldfile/2015/11/20/201604researcher-bosyu.pdf
● 外務省任期付職員(総合外交政策局国連企画調整課国連分野、経済局サービス貿易室WTO,FTA/EPA交渉分野、総合外交政策局国連政策課国連分野、在エジプト日本国大使館勤務広報文化分野、在ヨルダン日本国大使館勤務ヨルダン経済・開発協力分野、在ロサンゼルス日本国総領事館勤務広報文化分野、国際協力局開発協力企画室援助協調及び開発政策対話担当、国際法局国際法課国際公法分野)を募集しています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/ninki/index.html
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– バイ・ドナー関連
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● ホワイトハウスは、COP21での合意に関するオバマ大統領のスピーチを公開しています。
https://www.whitehouse.gov/blog/2015/11/24/follow-along-global-agreement-act-climate
● 米国務省は、COP21におけるケリー国務長官のスピーチを公開しています。
http://www.state.gov/secretary/remarks/2015/12/250584.htm
● USAIDは、エチオピアに対して88百万米ドルの追加人道支援援助(累計435百万米ドル)を発表しました。
● USAIDは、南スーダンに対して173百万米ドルの追加人道支援援助を発表しました。
● 米国ミレニアム挑戦公社(MCC)は、コートジボアール、コソボ、セネガルを2016年度のコンパクト対象国に、スリランカとトーゴをThreshold対象国に選定しました。
● カナダ政府は、エチオピアの人道支援を目的として、WFPやUNICEFなどに30百万米ドルを拠出すると発表しました。
http://www.international.gc.ca/media/dev/news-communiques/2015/12/17a_bg.aspx?lang=eng
● ヨーロッパ開発年のクロージングセレモニーが行われ、欧州議会、欧州理事会、および欧州委員会が共同宣言を発表しました。
https://europa.eu/eyd2015/en/european-union/posts/joint-declaration-european-year-development
● DFIDとFAOは、今後、様々な分野での協力関係を深めていくことを発表しました。
http://www.fao.org/news/story/en/item/359047/icode/
● 欧州連合、AFD、ラテンアメリカ開発銀行は、ラテンアメリカにおける持続的な都市開発のためのパートナーシップを締結しました。
http://www.afd.fr/lang/en/home/presse-afd/communiques?actuCtnId=135329
● GIZは、ドイツ企業の社会的責任を評価するランキングで、"Corporate Responsibility Champion" の表彰を受けました。
https://www.giz.de/en/mediacenter/36736.html
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– 国際機関関連 –
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● UN諸機関とパートナー組織は、2016年のサヘル地域への支援のために20億ドルのAppealを提出しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52768
● UN諸機関とパートナー組織は、紛争と自然災害へ対処するための201億ドルの、史上最大額のAppealを提出しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52746
● FAOは新たなレポートを発表し、食糧安全保障のために農産物に関するルール作りが重要であると述べています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52779
● WHOは医療従事者を襲撃から守るための新たなデータ収集方法のテストを始めました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52758
● 国連諸機関は、ネパールで国境封鎖により医療品が不足している状況に懸念を示しています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52761
● WHOは新たなレポートを発表し、2000年から今年までの保健状況に関する世界的なトレンドと2030年までの予測を報告しています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52764
● FAOはソマリアの水産資源を保護するために、人工漁礁を配備しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52754
● WHOはマラリアに関する新たなレポートを発表し、マラリアの撲滅に向かって前進していると報告しています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52770
● UNDPは今年の人間開発報告書を発表し、過去25年間で20億人が極度の貧困から抜け出すことが出来たと報告しています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52811
● WFPは11月にイエメンの全ての州で180万に対する食糧支援を実施しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52783
● 2015年の世界の経済成長は前回予測された2.8%を下回る2.4%になるという最新の予測が発表されました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52785
● 国連とシンガポール政府はPKOのためのデータマネージメントツールの開発で協力することになりました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52789
● COP21が閉幕しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52815
● 安全保障理事会は、南スーダンPKOの人員増加を決定しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52829
● ユニセフは食糧不足が深刻化するマラウイで、栄養不良時を識別する新たな方法を導入しました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52832
● ILOは国際移住の日に先駆けてレポートを発表し、出稼ぎ労働者は全世界で1.5億人存在し、全ての移住者の70%以上にのぼると報告しています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52839
● OCHAは難民の数が史上初めて6000万人を超えたと報告しています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=52859
● 米国議会上下両院が、国際通貨基金(IMF)の資本を増強して中国など新興国の出資比率を高める制度改革案を承認したことに対し、IMF ラガルド専務理事はこれを歓迎しました。
http://www.imf.org/external/japanese/NP/SEC/pr/2015/pr15573j.pdf
● 世界銀行、JICA、バングラデシュ政府と共同で災害へのレジリエンス強化の2つのプロジェクトの立ち上げを行いました。
● 世界銀行は、”The
Welfare of Syrian Refugees: Evidence from Jordan and Lebanon”を発表し、ヨルダン、レバノンにいるシリア難民の生活保護に関する状況を報告しています。
● 米州開発銀行は、”Global
Microscope 2015: The Enabling Environment for Financial Inclusion”を発表し、その中でラテンアメリカ地域の金融包摂のパフォーマンスを評価しています。
● 米州開発銀行は、雇用創出を促進するハイチのカラコル工業団地に対する4100万ドルの贈与を承認しました。
● アジア開発銀行は、融資とオペレーションの効率性に関する改革パッケージを承認しました。
● アフリカ開発銀行がホストとなり、アフリカ教育開発協会とJICAがパートナーシップに関する新たな覚書を締結しました。
● アフリカ開発銀行はエジプトに関する国別戦略書を承認しました。同時に5億ドルの経済ガバナンス及びエネルギー支援融資も承認しました。
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– シンクタンク・NGO関連 –
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● ブルッキングス研究所は、COP21閉幕を受け、米国務省気候変動特別公使であるTodd Stern氏を迎え、セミナー”Unpacking
the Paris climate conference: A conversation with Todd Stern”を開催し、COP21の成果と今後のアクションプランについて議論しました。
http://www.brookings.edu/events/2015/12/17-stern-paris-climate-conference
● ブルッキングス研究所は、セミナー”Syria: Steps Toward Peace or Deepening Intractability?”を開催し、シリア和平の可能性について議論しました。
http://www.brookings.edu/events/2015/12/08-syria-steps-towards-piece
● ウッドロウ・ウィルソン・センターは、COP21 閉幕を受け、”Beyond the Paris Climate Talks:
What Was Achieved and What Remains To Be Done”を開催しました。
● Inter-American Dialogueは、ベネズエラ選挙における16年ぶりの野党圧勝(絶対多数勝利)について分析しています。
http://www.thedialogue.org/resources/one-small-chance-for-venezuela/
● Freedom Houseは、The
Year in Human Right:Best and Worst 2015を発表しました。Bestには南米(ベネズエラとアルゼンチン)、ミャンマー、ナイジェリア選挙における野党勝利を挙げる一方、Worstにはシリア紛争、ISIS勢力拡大、難民受け入れの消極化、サウジアラビアのイエメン介入などを挙げています。
https://freedomhouse.org/blog/year-human-rights-best-and-worst-2015
● Center for Global Development(CGD)は、報告書”Aligning
Incentives, Accelerating Impact: Next Generation Financing Models for Global
Health”を発表し、ヘルス分野における次世代ファイナンスモデルにつき、成果ベースファイナンスの視点で分析しています。
● アジア経済研究所は、「ベネズエラ国会議員選挙速報:反チャベス派の圧勝」を公表しています。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Region/Latin/Radar/151210_sakaguchi.html
● 1/26・27に東京で人道&緊急支援の国際基準トレーニングが開催されます。
http://www.janic.org/event/12627.php
● 1/28に災害・緊急時の子どもの「こころ」を支える支援(PFA)研修が開催されます。
http://www.janic.org/event/_128pfa.php
● Save the ChildrenはインドのTamil
Naduでの洪水で、子どもたちが危機に去られていると警鐘を鳴らしています。
https://www.savethechildren.net/article/children-worst-affected-recent-floods-tamil-nadu
● Save the Childrenはイエメンの子どもの3人に1人が栄養不良状態にあると警鐘を鳴らしています。
https://www.savethechildren.net/article/almost-1-3-yemeni-children-under-5-now-acutely-malnourished
● Save the Childrenはエチオピアでの干ばつにより、食糧不足だけでなく学校閉鎖まで発生していると報告しています。
● World Visionは、国連の若者・平和・安全保障に関する決議を歓迎する声明を発表しました。
● Plan Internationalは、フィリピンの台風Melorが襲った地域への支援を始めました。
● 英シンクタンクODIは、COP21の成果を分析したレポートやインタビューをウェブサイトにまとめています。
http://www.odi.org/cop21-odi-paris-climate-conference
● 同じくODIは、ヨーロッパへの移民が増える原因を分析した報告書を発表しました。
http://www.odi.org/publications/10217-understanding-drivers-migration-rea
● 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、シリアの和平交渉についてコメントしています。
https://www.chathamhouse.org/expert/comment/slow-road-peace-syria-beginning-end
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【2】 国連フォーラム
(1)勉強会開催速報: 「国連における精神保健政策および障害者の権利」(2015年12月9日 於 東京大学駒場キャンパス
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(2)SDGsについての記事のご紹介:(国連フォーラム共同代表 田瀬和夫)
(3)スリランカ スタディプログラム 報告プロセス始動!
(4)国連フォーラム・DC開発フォーラム合同 冬のネットワーキング・カンファレンス12月26日(オフ会)in 東京 with
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(1)勉強会開催速報: 「国連における精神保健政策および障害者の権利」
国連フォーラムでは、東京大学KOMEXと合同で、東京にて2015年12月9日(水)19時より、国連大学グローバルヘルス研究所(クアラルンプール)コーディネータである堤敦朗氏をお招きし、「国連における精神保健政策および障害者の権利」と題し勉強会を開催致しましたので、その速報をお伝えします。
今回の勉強会ではまず、井筒先生に本勉強会と主催団体について簡単なご紹介を頂いた後、国連大学グローバルヘルス研究所でご活躍されている堤氏に、国連における精神保健概念についての歴史、仙台防災会議はじめ様々な機会に国連専門家会議等を開き、精神保健や障害者の権利等に関して国連のフレームワークづくりに従事してきた過程等について伺いました。世界では、殺人や戦争を合わせたのと同じくらい「自殺」で命を落とす人数が多い、というプレゼンテーション冒頭で提示された事実は大変ショッキングなものでした。そして、SDGsに「精神保健」が含まれたことを知った瞬間の堤氏の喜びのご様子からもそれまで堤氏が困難な道を忍耐強く歩いてこられたご様子が伺えるように感じられました。
堤氏のプレゼンテーションの後、「質疑応答で終わらない挑戦的な議論」を目指して、積極的なやりとりが行われました。持続可能な開発目標(SDGs)にも記載の入った「精神保健」ですが、その概念は生物学的・心理学的・社会的側面等が包含されるため複雑とも捉えられやすく、まだ数値目標も明記されていません。その定義の意義、また多様な「精神障害」や「メンタル・ヘルス」をまとめて扱うことの妥当性への疑問、そもそもそれを社会的問題として大きく取り上げることでスティグマ効果があるのでは等の意見が提示されました。精神保健の分野は国連創設当時から「健康」の定義にも含まれ、その重要性が認識されながらも、具体的な施策においてはその方向性において合意がとられにくく実施されにくい分野であったことは勉強会での質疑・議論にも反映されていたように思われます。今回SDGsの一つに精神保健が含まれたことは、まさにこの「実施」に向けての第一歩、入り口にたったということであり、今後障害やメンタル・ヘルス等のそれぞれの多様な事例に対する分析、それを測るためのインディケーター等の更なる開発を進めていく必要であると堤氏から説明がありました。中でも、職場のうつなどの予防・早期発見の重要性や、障害を「医学モデル」ではなく「社会モデル(疾病等の医学的コンディションが障害を生むのではなく、社会が合理的な配慮を行わないために生じるバリアゆえ障害となる)」(例えば、車椅子で使用できる交通機関や道が整備されれば、通勤や買い物等の障害はなくなる)で捉えることの大切さをめぐる意見が多くありました。このような予防施策・社会変革をどのように実現していくのか、それぞれの社会全体で考えていくべきことであり、誰も社会から排除されない「インクルーシブ」な社会をいかに築いていくかが今後の最重要課題の一つであると実感しました。では、本分野を日本において一般にセンシタイゼーションするにはどのようにしたらよいのか、という質問に対して、映画・音楽などの芸術・文化の分野が大きな力を発揮するのではないかという議論が盛り上がりました。フランスの事例、日本の事例など、国際・国内のベスト・プラクティスを共有していく必要性があり、また、社会人のプロボノプロジェクトを活性化していくなどビジネスの巻き込みも不可欠ではないかという経験に基づいた具体的施策や意見が多く参加者から共有されました。
勉強会の詳細につきましては、後日、国連フォーラムのウェブサイト(http://www.unforum.org/)に議事録を掲載する予定です。是非ご覧ください。
(2)先日、国連フォーラム共同代表の田瀬さんが、持続可能な開発目標(SDGs)についてハーバード・ビジネス・レビュー紙に寄稿いたしました。
http://www.dhbr.net/articles/-/3833
田瀬さんはこの中で、2015年に達成期限を迎えたMDGsは、途上国を対象として極度の貧困をはじめとする様々な問題に直面する人々がより「人間らしい」生活を送れるようにするという目標であったが、今年の9月に採択されたSDGsはその対象が先進国まで含んだ地球に生きる人類全てにとってよりよい未来を実現するための努力目標であると説明しています。さらに、ビジネスとの観点から、官(政府)だけではなく民(ビジネス)がこれらの開発目標に積極的に関与する必要性を述べています。特に「欧米の企業はSDGsを巨大なビジネスチャンスの到来だと認識」し、「SDGsの策定につながったワーキンググループの活動に積極的に関わってきた」のに対して、日本企業は感心が低いのではないかという問題提起をしています。例えば、目標11「包摂的で安全かつ強靭で持続可能な都市及び人間居住を実現する」や、目標9「強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」という目標に対して、防災分野では世界に群を抜いている日本がビジネスチャンスと捉え、世界のルール作りにもっと積極的に関与していくべきだと指摘しています。
SDGsは全部で17の分野別目標とそれに紐づく169のターゲットがあります。先に紹介した目標9、11の他にも、例えば私が研究している教育分野では目標4「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」という目標が合意されました。MDGsまでの教育開発は教育の機会拡充に焦点が当てられていましたが、今後は、SDGsとともに、新しい市民社会を作り上げていくための、グローバルな視野を持つ地球市民を育成するために教育を行うという持続可能な開発のための教育が議論されていくと考えています。現在、国連フォーラムのMLには7000人以上の方々が登録しており、様々な専門性を持つ方々が集まっておられます。ぜひ、この機会にみなさんの関心/専門分野とSDGsについて、コメントをいただけないでしょうか。それによって、SDGsと今後の国際社会がどのようになっていくのか、具体的に議論ができれば嬉しいです。みなさんの積極的なご意見をお待ちしています。
(3)スリランカ スタディプログラム 報告プロセス始動!
2015年国連フォーラム スリランカ スタディプログラムの報告会を全国行脚で開催中です。
記事掲載:http://www.unforum.org/project/ssp/index.html
(4)国連フォーラム・DC開発フォーラム合同
冬のネットワーキング・カンファレンス12月26日(オフ会)in 東京 with
GRIPSのご案内
(※編集担当より 次章【3】に詳細を記載しています。)
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今後とも国連フォーラムをよろしくお願いいたします。
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【3】 ワシントンDC開発フォーラム
国連フォーラム・DC開発フォーラム合同 冬のネットワーキング・カンファレンス(旧オフ会、12/26開催@六本木)
第249回BBL:12月14日(月)「開発途上国における安全な水へのアクセス現状とJICAの取り組み」の開催報告
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● 12/26 国連フォーラム・DC開発フォーラム合同 冬のネットワーキング・カンファレンス(旧オフ会)のご案内
今冬の国連フォーラム・DC開発フォーラム合同オフ会は12/26に六本木のGRIPS政策研究大学院大学で開催致します。参加申込は12月22日までです。
オフ会の詳細はこちら http://www.unforum.org/offkai/17-notice.html
(ワシントンDC開発フォーラム幹事 真鍋希代嗣)
2015年12月14日(月)、DC開発フォーラムでは、宮崎明博氏(JICA地球環境部)をお迎えして「開発途上国における安全な水へのアクセス現状とJICAの取り組み」をテーマにBBLを開催しました。
開催報告は以下のサイトからご覧いただけます。
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【4】 ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:「日本人の平和への思いを南スーダン人に届ける」
執筆:(紀谷昌彦 在南スーダン日本国大使館/ジュバ在住)
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南スーダンに赴任して8か月。平和の大切さを日々実感している。
独立から4年。危機発生から2年。首都ジュバは安定しているが,一部の地域は治安の悪化で,食糧不足など厳しい状況が続く。国家財政も,原油価格の下落で歳入が減少。予算の多くは治安部門にとられて,インフラや教育・保健にはなかなか回らない。人々は,普通の生活をしようと努力している。しかし,政治も経済も全てが減速し,発展への第一歩を踏み出せないでいる。
そのような中,平和の回復に向けて新たな歩みが始まった。本年8月には南スーダンの当事者間で合意が署名された。11月には治安枠組も合意に至って,クリスマス直前の今週から反政府派がジュバに戻り,年初には国民統一暫定政府を作ろうとしている。いよいよ国づくりを本格化させる時がきた。今,南スーダンの人たちは,平和が本当に実現し定着することを,心から望んでいる。
日本は,何ができるのか。何をすべきなのか。今年は折しも戦後70年。総理は,歴史の教訓を深く胸に刻み,より良い未来を切り開き,世界の平和と繁栄に力を尽くす決意を表明する談話を発表した。談話の中で,4つの決意を述べている。紛争を平和的・外交的に解決すること。女性の人権が傷つけられない21世紀にするため世界をリードすること。途上国支援を強化して平和の礎となる繁栄を実現すること。「積極的平和主義」の旗を高く掲げて世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献すること。この南スーダンの地で,日本はまさにこれらの取り組みを進めている。どうすれば,更に強化・発展できるのか。
それには,様々な事業の実施とあわせて,日本人の平和への思いを南スーダン人に届けることが大事だ。支援するだけでなく,その背景にある思いもきちんと伝えることで,双方の心と心が通い合い,将来に向けての歯車が回りだす。
11月下旬,日本政府の支援で,国連ユニタール広島の南スーダン研修がジュバで始まった。20名の南スーダン政府・市民社会の若手・中堅職員が,ジュバと東京・広島で計3週間のマネジメント研修を受ける。開始式で,南スーダン外務大臣は,日本の戦後復興の経験に言及しつつ,平和な社会を構築する方途を考え,必要なスキルを習得するよう激励した。来年の1月下旬には,研修員は東京と広島を訪問して,戦後復興の歩みを実感し,日本の幅広い関係者とも意見交換を行う。来年3月には,ジュバでその成果を報告し,修了式を迎える。「南スーダン」と「日本」を,「国連」と「広島」が結びつける試みだ。
日本人と南スーダン人が平和への思いを突き合わせ,南スーダンの平和のために日本が何をできるのかを共に考える。支援は一方向ではない。事業を通じて,南スーダン人が学ぶだけでなく,日本人も自らの価値と使命について,認識を新たにできるのではないか。
日本は,自らが平和で豊かなだけでは完結しない。それを持続可能なものとするために,世界も変えていく取組が不可欠だ。日本の平和への思い,戦後復興の経験は,それを実現するための貴重な財産だ。この財産を南スーダンで生かすとともに,南スーダンから今の平和の課題を学ぶことで,共に平和で豊かな世界を創り上げていく。
日本人の平和への思いを南スーダン人に届けること。そこから新たな一歩を踏み出したい。
【参考】
国連ユニタール広島・南スーダン研修事業
https://www.unitar.org/hiroshima/ja
在南スーダン日本国大使館facebook
https://www.facebook.com/embassyofjapan.ss
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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と
「メーリングリスト(devforum)」
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2015年12月22日発行