ワシントンDC開発フォーラムでは4月27日(水)に世界銀行・藤本千尋さんを迎え、第41回ワークショップ「世界銀行の資金調達の変化:想いでお金は動くのか」をワシントンDCにて開催しました。
発表内容の要約は以下の通りです。
- 世界銀行資本市場部の役割。世界銀行(以下世銀)ではメンバー国主資金も受け入れているが債券発行により市場から資金の借り入れも行っており、資本市場部はこの借り入れを担っている。
- 世銀債の特徴は50年以上AAAを維持している事。この格付けを維持することが非常に大切であり、この為主資金を貸出資金として使わず、市場から調達してきた資金のみを使用。また、1947年以来、57種類の通貨で債券を発行してきた。
- 世銀の信用力の元は、1)堅実な貸出方針 2)緻密なリスクマネージメント 3)潤沢な流動性維持 4)メンバー国からの出資金である。
- 世銀債の投資家には、保険会社、中央銀行、ペンション、資産マネージャー、政府が主であるが、個人投資家もいる。特に、日本人の個人投資家を比較的多い。
- グリーンボンドに関して。2007年にスェーデンとノルウェーのこうてき年金が北米の投資銀行を通して世銀に提案。グリーンプロジェクト限定で資金が使われる仕組み。対象プロジェクトは途上国の温室効果ガスの排出削減及び温暖化による影響に対処する世銀の開発プロジェクトを含む。グリーンボンドは2007年には発行額が10億米ドル程度だったのが、2015年には450億米ドルまで拡大。2015年時点での投資家は企業及び銀行投資者が多い。多くの投資家から自分たちの投資金がどのような社会的インパクトを生んだのか知りたいとの要望がありビデオ作成。(日本語版パンフレットはこちら。)
- 世銀債の今後。グリーンボンドは面白い試みではあるが、世銀債はグリーンボンドでなくても社会的インパクトがある。この事実をしっかりアピールしていく必要があるとのこと。