2019年3月12日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
「OCHAは、ISILの最後の支配地から依然として数千人単位で避難民が発生しており、状況は予断を許さないと報告しています」
「ブルッキングス研究所は、HP上で、 国際女性の日に際し開発における女性について言及しています」他
【2】GRIPS開発フォーラム:
●第31回エチオピア・ジブチ出張報告
【3】東京発~世界銀行からのお知らせ
(1) 最貧国の雇用問題、かつてなく深刻に
(2) 2019年 世界銀行グループ日本人職員(日本政府が支援するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)とミッドキャリア)募集中(締切:3月27日)
(3) セミナーのお知らせ
【4】ワシントンDC開発フォーラム便り
「公共調達について」(表将幸 経済協力開発機構・公共ガバナンス局/パリ在住)
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【1】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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●外務省は、2018年版開発協力白書日本の国際協力を公表しました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007164.html
●JICAは、事後評価を通じた学びを事業改善につなげる観点から、事業効果の実績検証に留まらず、効果発現のプロセスに着目し確認する「プロセスの分析」を実施しています。その取組みの一環として、「簡易プロジェクト・エスノグラフィー」(文化人類学や社会学等で用いられるエスノグラフィーをJICA事業向けに簡素化したもの)の作成ハンドブックを公開しています。
https://www.jica.go.jp/information/info/2018/20190307_02.html
●ユネスコとの間で、供与総額2億2,700万円の無償資金協力「東ティモールにおける理数科初等教育強化計画」に関する交換公文の署名が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007114.html
●シエラレオネとの間で、供与額2億円の無償資金協力(食糧援助)に関する書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007124.html
●国連人口基金(UNFPA)との間で、供与額1億6,300万円の無償資金協力「スリランカ女性及び若者のための性及び生殖に係る健康及び権利並びに性別に基づく暴力に係る情報及びサービスへのアクセス改善計画(UNFPA連携)」に関する書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007148.html
●世界食糧計画(WFP)との間で、供与額2億2,700万円の無償資金協力「ハイチにおける地産地消型学校給食配布計画」(WFP連携)に関する書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007130.html
●JICA研究所は、研究プロジェクト「日本の開発協力の歴史」バックグラウンドペーパーを公開しています。
https://www.jica.go.jp/jica-ri/ja/news/topics/20190306_01.html
●外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/index.html
●開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています。
http://partner.jica.go.jp/RecruitSearchForPrsn
●JICAでは、新卒採用(2020年4月入構、締切4月18日)、社会人採用(2019年9月~2020年1月入構、締切6月11日)の応募を受付中です。
https://www.jica.go.jp/information/info/2018/20190301_01.html
●青年海外協力隊、シニア海外協力隊の2019年春募集を行っています(4月3日締切)。
https://www.jica.go.jp/volunteer/application/index.html
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– バイ・ドナー関連 –
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●米国際開発局(USAID)は、ロヒンギャ難民に対し新たな支援を行うと発表しました。
●英国国際開発庁(DFID)は、アフリカ地域でのクリーンエネルギー推進支援のための新たな基金を発表しました。
https://www.gov.uk/government/news/uk-aid-to-give-clean-energy-boost-to-africa
●英政府とヨルダン政府は、ヨルダンへの投資や成長を支援するための会議をロンドンで開催しました。
●イタリア政府は、欧州連合による持続可能なエネルギー支援に対し、追加的に500万ユーロを拠出することを発表しました。
●欧州委員会(EC)は、女性の性と生殖に関する健康と権利のために2500万ユーロを拠出することを発表しました。
●オーストラリア外務貿易省(DFAT)は、国際女性の日に際し、水と衛生分野の重要性と同省の取り組みを紹介しています。
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– 国際機関関連 –
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●40以上の開発機関等のナレッジプラットフォームであるGlobal
Delivery Initiative (GDI) は、脆弱・紛争影響地域における事業実施のチャレンジをテーマとしたケーススタディコンペを開催しています。入選ケースはGlobal
Delivery Initiativeのライブラリに掲載されるほか、特に優秀なケースの提出者(3-4名)は2019年6月に開催されるGDI年次会合(場所は調整中)に出席するための旅費が支給されます(3月29日締切。米州開発銀行、イスラム開発銀行、韓国開発研究院、世界銀行共催)。
http://www.globaldeliveryinitiative.org/events/gdi-case-study-competition
●OECDは、最新エコノミックアウトルック中間報告”Interim
Economic Outlook”を発表しました。その中で、世界経済が鈍化し重大なリスクが続いており、特に欧州諸国における成長の弱体化は予想以上だと指摘しています。
●世界銀行グループとパンデミック緊急ファシリティ(PEF) は、コンゴ民主共和国政府と国際的パートナーによるエボラ出血熱への対応に最大8千万ドルのグラント拠出を承認しました。
●世界銀行は、報告書”Women, Business and the Law 2019:
A Decade of Reform”を発表しました。その中で、世界全体で女性に認められている法的権利は数にして男性の4分の3に過ぎず、そのために就業や起業、更には経済面で本人や家族に最良となる決断を下す上での制約となっていると指摘しています。
●アフリカ開発銀行は、6月11日から14日に赤道ギニアで2019年年次総会を開催します。
●アジア開発銀行は、バヌアツ政府との間で、新ワクチン導入のための融資と贈与に調印しました。
https://www.adb.org/news/adb-signs-loan-and-grant-agreements-introduce-new-vaccines-vanuatu
●アジア開発銀行は、インド政府との間で、ムンバイのメトロ新ラインの支援のため9億2600万ドルの融資に調印しました。
https://www.adb.org/news/adb-india-sign-926-million-loan-two-new-mumbai-metro-lines
●米州開発銀行は、調達ポリシー拡大のためのコンサルテーションを実施します。
●世界銀行グループは、日本政府が支援するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)とミッドキャリア(MC)ポジションの募集を受け付けています(3月27日締切)。
http://www.worldbank.org/ja/news/feature/2019/01/07/dfsp2019-jpo-and-mc
●ILOは、過去27年間で男女の労働参加率のギャップは2%程度しか改善していないと報告書の中でレポートしています。
https://news.un.org/en/story/2019/03/1034221
●国連北朝鮮事務所は、前年比で食料生産が10%下落し約400万人が食糧支援を必要としていると報告しています。
https://news.un.org/en/story/2019/03/1034181
●OHCHRは、ブルンジ事務所を政府からの圧力により閉めざるを得なくなったことに対して遺憾の意を表明しています。
https://news.un.org/en/story/2019/03/1034081
●OCHAは、ブルキナファソでの武力衝突により過去二か月間で7万人の避難民が発生したと報告しています。
https://news.un.org/en/story/2019/03/1034151
●WHOは、緊急支援対策の部局を設置するなど組織改革を実施しました。
https://news.un.org/en/story/2019/03/1034161
●国連と赤十字は、14カ国での紛争下での性的暴力に対応するために、2700万ドルのアピールを発表しました。
https://news.un.org/en/story/2019/02/1033482
●OCHAは、ISILの最後の支配地から依然として数千人単位で避難民が発生しており、状況は予断を許さないと報告しています。
https://news.un.org/en/story/2019/03/1033882
●OCHAは、経済危機と干ばつに見舞われているジンバブエで530万人が支援を必要としており、2億3400万ドルのアピールが発表されました。
https://news.un.org/en/story/2019/02/1033812
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– シンクタンク・NGO関連 –
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●国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長のコメントが、朝日新聞「ODA事業にNGO参入を」の記事に掲載されています。
https://www.asahi.com/articles/DA3S13911113.html
●Oxfamは、複数の国際NGOの代表としてイエメン支援には42億ドル必要であるのに際し、まだ世界中からの資金が26億ドルにしか達していないと懸念を示しています。
●ブルッキングス研究所は、HP上で、 国際女性の日に際し開発における女性について言及しています。
The Women’s Global Development and Prosperity Initiative: Will it work?
●国境なき医師団は、リビアに返された移民や難民が増加しその健康状況が急激に悪化していると警告しています。
●アジア経済研究所は、2020年度採用 研究職員(地域研究・開発研究)の応募を受け付けています(締切4月15日)。
https://www.ide.go.jp/Japanese/Recruit/res.html
●セーブザチルドレンは、イエメンで紛争と暴力により10人に1人の子どもが故郷から避難していると指摘しています。
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=2884
●英シンクタンクODIは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのためのツールキットを発表しました。
●同じくODIは、ルワンダにおけるコンゴ難民についての報告書を発表しました。
●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、避難民や難民に対するエネルギー供給についての報告書を発表しました。
https://www.chathamhouse.org/publication/innovative-financing-humanitarian-energy-interventions
●同じくチャタムハウスの専門家が、紛争地域におけるヘルスケアとテロ対策についてコメントしています。
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【2】GRIPS開発フォーラム:
●第31回エチオピア・ジブチ出張報告
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●第31回エチオピア・ジブチ出張報告
GRIPS開発フォーラムは、2月18日~23日に、エチオピア産業政策対話の一環で、JICAと共にエチオピア現地調査を行いました。今回は、エチオピア新政権のキーパーソンとの面談に加え、商工省での自動車セミナー、およびPSI主催の開発政策フォーラム(生産性について)を開催しました。
また、エチオピアの物流問題を検討するため、2月24日~27日にジブチ調査も行いました。詳細は出張報告をご覧ください。
エチオピア・ジブチ出張報告
http://www.grips.ac.jp/forum/af-growth/support_ethiopia/document/2019.02_ET_DJI/ETreport31_web.pdf
各種セミナーのプログラム・資料等
http://www.grips.ac.jp/forum/af-growth/support_ethiopia/support_ethiopia2_phase3.htm
GRIPS開発フォーラム
飯塚美恵子
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【3】東京発~世界銀行からのお知らせ
(1) 最貧国の雇用問題、かつてなく深刻に
(2) 2019年 世界銀行グループ日本人職員(日本政府が支援するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)とミッドキャリア)募集中(締切:3月27日)
(3) セミナーのお知らせ
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(1) 最貧国の雇用問題、かつてなく深刻に
世界では、最貧国を中心に、今後10年間で約6億人分の雇用が必要になると予測されています。世界銀行グループの基金で最貧国を支援する国際開発協会(IDA)の、雇用創出に向けた各国の取組み支援について、西尾昭彦 開発金融総局担当副総裁のブログでご覧ください。
ブログ:http://wrld.bg/Uo9y30nXYZ2
(2) 2019年 世界銀行グループ日本人職員(日本政府が支援するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)とミッドキャリア)募集中(締切:3月27日)
世界銀行グループは、日本政府が支援するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)6ポジションとミッドキャリア5ポジションで、引き続き日本人職員を募集しています。いずれのプログラムも、最初の2年間の勤務期間を日本政府が支援し、その後、勤務評価に基づき1年延長が可能です。またさらにその後、世銀の正規職員となる可能性があります。エントリー通過された方にのみ応募書類をお送りしますので、ぜひお早めにエントリーをお済ませください。エントリー締切は3月27日です。
【募集職種】
<JPO>(2019年4月1日現在で35歳以下の方が対象)
• 貧困分析等
• 信託基金業務
• エネルギー
• 経済分析:南アジア地域
• 教育:南アジア地域
• 交通:グローバル交通安全ファシリティ
<ミッドキャリア>
• 上級金融専門官(水)
• 防災専門官
• 海洋空間計画専門官(環境)
• 上級水産専門官
• 国際金融公社(IFC)コンプライアンス専門官
(3) セミナーのお知らせ
■世界銀行の保健・栄養・人口セクターにおける取り組みと今後の展望:東アジア・大洋州地域を中心に
世界銀行ランチタイムブリーフィング(第1回)
日時:2019年3月18日(月)午後12時15分~午後1時15分
場所:世界銀行東京事務所 http://ow.ly/Ok6kd
内容:2019年日本人採用リクルートミッションのために来日するエニス・バリス世界銀行保健・栄養・人口グローバルプラクティス
東アジア・大洋州地域担当プラクティスマネージャーより、保健・栄養・人口セクターにおける世界銀行グループのグローバル戦略、特に東アジア・大洋州地域が直面する課題、世界銀行グループの取り組み状況と今後の計画をご説明し、皆様のご質問にお答えします。
詳細・お申込み: http://wrld.bg/enQS30nXZvS
■世界銀行グループで働く
キャリアセミナー(東京開催)
日時:2019年3月18日(月)午後6時~午後7時30分
場所:上智大学四谷キャンパス 2号館
17階 国際会議場 http://ow.ly/OPQV30nWZi3
内容: 2019年日本人採用プログラムの面接のために来日する世界銀行グループ人事担当副総裁が学生・大学院生や若手プロフェッショナルの皆様を対象に、世界銀行(国際復興開発銀行及び国際開発協会)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)が求める人材像および様々な採用制度についてご紹介します。
詳細・お申込み:http://wrld.bg/UaRw30nWZ0V
■世界経済見通し(GEP):曇り模様
世界銀行モーニングセミナー(第27回)
日時:2019年3月19日(火)午前7時45分~午前8時45分
場所:世界銀行東京事務所 http://ow.ly/Ok6kd
内容:世界銀行が1月8日に発行した「世界経済見通し(GEP):曇り模様」(Global Economic Prospects: Darkening Skies)をとりまとめたフランジスカ・オーネゾルゲ
世界銀行 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 見通しグループ マネージャーが、ワシントンよりテレビ会議で同報告書の主なポイントをご紹介し、皆様からのご質問にお答えします。
詳細・お申込み:http://wrld.bg/TX0A30nY16n
■ 世界銀行のガバナンスセクターにおける取り組みと今後の展望
世界銀行ランチタイムブリーフィング(第2回)
日時:2019年3月19日(火)午後12時15分~午後1時15分
場所:世界銀行東京事務所 http://ow.ly/Ok6kd
内容:世界銀行では、途上国の政府が効率的で、オープンで、インクルーシブで、アカウンタビリティーのある機関・制度を構築できるよう、様々な融資・助言・技術協力を提供しています。今回のランチタイムブリーフィングでは、ガバナンスセクターにおける世界銀行グループのグローバル戦略、世界銀行グループの取り組み状況と今後の計画をご説明し、皆様のご質問にお答えします。
詳細・お申込み:http://wrld.bg/5xk530o0ydv
■世界銀行グループで働く
キャリアセミナー(京都開催)
日時:2019年3月20日(水)午後6時15分~午後7時30分
場所:キャンパスプラザ京都 第1会議室
http://ow.ly/WsrS30nWZio
内容: 2019年日本人採用プログラムの面接のために来日する世界銀行グループ人事担当副総裁が学生・大学院生や若手プロフェッショナルの皆様を対象に、世界銀行(国際復興開発銀行及び国際開発協会)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)が求める人材像および様々な採用制度についてご紹介します。
詳細・お申込み:http://wrld.bg/k3fH30nY0Eg
■シリア難民の移動に関する経済・社会分析
世界銀行モーニングセミナー(第31回)
日時:2019年4月2日(火)午前7時45分~午前8時45分
場所:世界銀行東京事務所 http://ow.ly/Ok6kd
内容:世界銀行が2019年2月に発表した報告書「シリア難民の移動に関する経済・社会分析」(The Mobility of Displaced
Syrians: An Economic and Social Analysis)の著者であるハルン・オンダ―世界銀行マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス上級エコノミストが、ワシントンよりテレビ会議で同報告書の主なポイントをご紹介し、皆様からのご質問にお答えします。
詳細・お申込み:http://wrld.bg/roRL30nXYOj
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【4】 ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:公共調達について
執筆:表将幸(経済協力開発機構・公共ガバナンス局/パリ在住)
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これを読まれている皆様の中には、「公共調達」(英名:Public Procurement)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。公共調達を一言でいうと、「公共部門による買い物=予算で確保された資金を実際に使用する手続き」と言えます。「公共部門」
は各国の定義によるものの、一般的には、中央政府のみでなく、地方政府、公益法人、国営企業なども含みます。
私達が日常生活で買い物をする際には、自分の好きなメーカーやブランドの商品を自由に購入します。しかし、政府を含む公共部門の場合には、その財源が国民(国民及び法人)の税金であることから、その使途には透明性が確保される必要があります。政府が道路工事を発注する際に、競争(入札手続き)を経ずに特定の施工業者と直接契約したら、納税者でもある他の施工業者は当然「不公平だ」と文句を言いますよね。そのため、公共調達は公平性、透明性、迅速性、効率性などを確保して、関心のある業者は誰でも参加できる競争入札(最善なオファーを提示した業者が落札業者として選定される)を原則としなければいけません。
調達カテゴリーは大きく物資(goods)、役務(service)、工事(works)に大きく分類されます。国立病院を例にとると、病院の建物という規模の大きいものから、医療機器、薬物、針などの医療器具、病院内の清掃サービス契約など多岐に渡ります。公共調達で入札(競争手続き)を経て実際の契約に至るまでには、「入札までの準備段階(調達対象物の市場調査や調達上の入札条件確定等)、「入札段階(業者への入札公告、入札評価、落札業者決定作業等)、「契約管理段階(契約後から完了までの進捗管理、
修正契約、支払い手続き等)」の3つのプロセスを得ることになります。
公共調達は、OECD諸国GDPの12%(メキシコ5.1% ~オランダ20.2%)、EU諸国GDPの14%と経済上のインパクトが非常に大きい政府活動です。また、同時に、腐敗・汚職に最も脆弱な政府活動とされています。昨今では、公共調達の占める経済規模から、Strategic Procurement(戦略的調達)の主流化が欧州を中心として公共調達における主要課題となっています。Strategic Procurementとは、従来のように物資を迅速かつ効率的に調達(これを調達のPrimary objectiveと呼んでいます)するのみでなく、政府の他の政策を推進する手段として公共調達を活用(これを調達のSecondary objectiveと呼んでいます)することを指します。具体的には、環境、中小企業支援、イノベーション推進、社会的責任などの政策が対象となっています。例えば、環境政策推進のために環境に優しい商品を積極的に購入する、多くの国で全企業の99%を占める中小企業がより入札に参加できるように契約単位(ロット)を分割する、社会的責任の一環でILO協定(児童労働禁止、雇用機会の平等)を遵守する企業のみ入札に参加できるようにしたり、契約後の生産段階でのモニタリング(労働搾取が行われていないか等)を契約上の条件とするなど、様々なアプローチがあります。
「公共調達」というととても地味で掴みどころのないイメージがあるかもしれませんが、国際機関での案件実施に大きな影響を与えるのみでなく、今後はStrategic Procurementも主流化してくると思います。これを機会に、公共調達の役割について興味を持っていただければ幸いです。
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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と
「メーリングリスト(devforum)」
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ワシントンDC開発フォーラムでは、本フォーラムの開催する勉強会等のイベント関連情報 (案内・レジュメ・議事録)をはじめとする活動情報に加え、グローバルな途上国の開発関連情報と日本の取り組みに関する最新の情報を、「DC開発フォーラム 情報サービスメールマガジンDev-info」として、電子メールにて隔週で配信しています。
[バックナンバー] 2002年7月以降の全てのバックナンバーは下記のリンクからご覧いただけます。
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2019年3月12日発行