2019年10月22日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
「アフリカ布に魅せられて」(荘所真理 世界銀行/DevInfo編集幹事/シエラレオネ在住)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
「国連は、現時点で分担金の70%しか支払われておらず、深刻な資金不足に陥っていると報告しています」
「グローバルファンドに対して、向こう3年間で140億ドルの資金提供が表明されました」他
【3】東京発~世界銀行からのお知らせ
(1) セミナーのお知らせ
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:アフリカ布に魅せられて
執筆:荘所真理(世界銀行/DevInfo編集幹事/シエラレオネ在住)
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今年の初めから西アフリカに位置する小さな国シエラレオネで生活しています。シエラレオネはずっと昔の大学院時代に数日間だけ一人旅をした国。縁があって10年以上ぶりに戻って来ることができました。1991年から約10年続いた内戦や2014年に流行したエボラ出血熱で国の基盤や公共サービスは未だに脆弱です。高い乳幼児死亡率、失業率、貧困率など様々な問題を抱えていますが、それとは対照的に、国民性はおおらかで明るく、イスラム教徒、キリスト教徒、そして土着信仰の人々が平和裏に共存しています(例えば現大統領はキリスト教徒ですが、大統領夫人はイスラム教徒)。シエラレオネ人の普段着や正装の装いは、そのポジティブな性格を表すような鮮やかでカラフルなデザインがアフリカ布にプリントされたものが多いです。結婚式などでは参列者がみんな同じ布で作った服を着ます。アフリカ布(アフリカンプリント)はマーケットの至る所で売られていますが、種類やデザインが豊富で同じものに再び出会うことがほとんどありません。私もそんなアフリカ布に魅せられ、こちらでは自分で買った、またプレゼントとして貰った(こちらでは布をプレゼントすることがよくあります)布で街のテーラーに仕立ててもらったカラフルな服を来ています。普段はそれほど派手な色を着ない私ですので、シエラレオネで着ている服を見た人はびっくりするかもしれません。でもなぜかアフリカではそんな元気色がしっくりくるのです。
アフリカンプリントはアフリカらしい鮮やかなデザインが多いので、てっきり伝統的なアフリカ文化が由来だと思っていたのですが、実はヨーロッパの植民地支配の歴史が関わっていて、その起源はアジアにあるそうです。インドネシアを植民地化したオランダが、東南アジアの伝統的なろうけつ染めという染色技法で染め上げた布(バティック)に着目し、1800年代、このバティックを大量生産し流通させようと工程の機械化に取り組みました。しかし、インドネシアではうまく成功せず、新たな販売先として同じく植民地化を進めていた西アフリカ諸国をターゲットにし、デザインをアフリカ向けに変更し、生産・販売を開始したのがアフリカンプリントの始まりなのだそうです。その後1900年代半ばからは西アフリカでも生産されるようになり、カラフルなデザインのアフリカンプリントが次第にアフリカ各地に広まっていくことになったそうです。興味深いことに、実は1960-70年代にはアフリカンプリントが京都でも製造され、アフリカに輸出されていたそうです(並木誠士・上田文・青木美保子著『アフリカンプリント―京都で生まれた布物語』参照)。
毎年9月は国連総会、このエッセ―を書いている週末(10月18-20日)はIMF・世界銀行年次総会があり、世界各国の政府高官、援助関係者、研究者、メディア、市民社会団体が一同に会します。仕事柄どんな開発議論がなされているか注目していますが、参加者の正装衣装のファッションチェックも欠かさずしています。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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●第74回IMF・世界銀行年次総会で麻生財務大臣が総務演説を行いました。
https://www.mof.go.jp/international_policy/imf/annual_meeting/wb_imf_191018th.htm
●日本政府、アジア開発銀行、世界保健機関(WHO)は、来年5月韓国仁川で第53回ADB年次総会が開催される機会に、UHCファイナンスに関する閣僚級シンポジウムを共催する予定です。
●外務省は、15か国の国別開発協力方針に対するパブリックコメントを募集しています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/news/index.html
●WFPシエラレオネ事務所との間で、供与額2億円の無償資金協力「食糧援助(WFP連携)」に関する書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007917.html
●WFPモザンビーク事務所との間で、供与限度額3億9,300万円の無償資金協力「モザンビークにおける仮想農業市場の設置を通じた小規模農家の生計向上計画(WFP連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_007912.html
●JICAは、環境社会配慮ガイドラインレビュー調査に対する意見を募集しています。
https://www.jica.go.jp/information/info/2019/20191016_01.html
●国際協力・開発業界での就職・転職者を対象に開催される「国際協力キャリアフェア2019」が12月7日東京で開催されます(申し込み締切12月6日)。
●外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/index.html
●開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています。
http://partner.jica.go.jp/RecruitSearchForPrsn
●2020年度JPO派遣候補者選考試験の予告が発表されました(募集は2、3月を予定)。
https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/dl-data/2020JPO_announcement_20190820.pdf
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– バイ・ドナー関連 –
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●USAID及びIDBは、10月21日、ベネズエラ及びラ米・カリブ地域の支援のための資金調達における新たなグローバル・イニシアチブを発表しました。
●USAID長官は、John Deere社、マスターカード社、コーネル大学と、世界的な飢餓と貧困削減のための新たなパートナーシップを発表しました。
●USAIDは、地域的パートナーの強化及び多様化のための新たなパートナーシップ・イニシアチブを発表しました。
●RMIT大学は,産業技術総合研究所との共同で,気候変動の脅威に対する国際的対策として,持続可能なカーボンフリーによる解決策の促進を目指したプロジェクトを実施しています。
●DFIDとビル&メリンダ・ゲイツ財団は、食料危機への対策として農業科学研究への支援を行うと発表しました。
●AFDの支援により、パスツール研究所が東南アジアで実施しているデング熱やレプトスピラ症の対策事業がHPで紹介されています。
https://www.afd.fr/en/southeast-asia-faced-rise-emerging-diseases
●欧州連合(EU)は、FAOの活動に900万ユーロを追加拠出すると発表しました。
●同じくEUは、2020-2022年に、HIV、結核、マラリア対策のため、グローバルファンドに5億5000万ユーロを拠出すると発表しました。
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– 国際機関関連 –
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●WHOは、予防可能だった視力の問題に苦しむ人口が10億人を超えると報告しています。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1048762
●国連は、現時点で分担金の70%しか支払われておらず、深刻な資金不足に陥っていると報告しています。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1048782
●WHOは、4つの低所得国で42%の妊婦が出産時に不適切な扱いを受けていた事を明らかにした論文を発表しました。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1048842
●グローバルファンドに対して、向こう3年間で140億ドルの資金提供が表明されました。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1048991
●UNHCRと世界銀行の協力で、国連難民データセンターが設立されました。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1049001
●IOMは、ハリケーンに襲われたバハマの支援のために1000万ドルのアピールを発表しました。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1049131
●ユニセフは、世界子供白書2019を出版し、世界で2億人の子供が栄養状況に問題がある事を明らかにしました。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1049261
●FAOは、世界で8億人が肥満状態にあり、その経済的損失は年に2兆ドルにも及ぶと報告しています。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1049361
●第一回目の The Global Investors for Sustainable
Development Alliance (GISD)の会合が開催されました。
https://news.un.org/en/story/2019/10/1049411
●UNHCRは、 南スーダンで洪水が発生し、20万人に被害が出ていると報告しています。
●ユニセフは、シリア北東部での紛争の激化により7万人の子供が難民となったと報告しています。
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– シンクタンク・NGO関連 –
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●12月12日にNGO・外務省定期協議会 2019年度「第2回ODA政策協議会」が開催されます。
●11月28日にNGO・外務省定期協議会 2019年度「第2回連携推進委員会」が開催されます。
●Save the Childrenは、ブルキナファソの紛争により3万人ほどの子供が避難をし、飢餓の危機に瀕していると報告しています。
https://www.savethechildren.net/news/children-who-fled-violence-burkina-faso-verge-hunger
●Save the Childrenは、アフリカの角地域が過去35年間で最悪の干ばつに見舞われ650万人が支援を必要としていると報告しています。
●Save the Childrenは、イエメンで燃料危機が深刻化していると報告しています。
https://www.savethechildren.net/news/fuel-shortages-deepen-crisis-yemen-%E2%80%93-save-children
●Center for Global Development(CDG)は「開発手段としてのバリューチェーン:悲観的な世界的傾向、アフリカの楽観主義及び、行動のためのアイデア」と題したブログを公表しました。
●CDGは、IMF/世界銀行年次会合におけるCDGの貢献に関し、ウェブキャストでその模様を公開しています。
https://www.cgdev.org/blog/cgd-events-imf-world-bank-fall-meetings
●10月21日、ウィルソンセンターは、ウィルソンセンターアフリカプログラムにおいて、「中央アフリカの平和構築:農業普及サービス」の議論を行いました。
●ブルッキングス研究所は、イベント「誰も置き去りにしない:持続可能な開発目標の特定策」を開催し、SDGs達成に向けて、主要プレーヤーの役割等について議論を行いました。
Leave no one behind: Time for specifics on the sustainable development goals
●ジェトロ・アジア経済研究所は、現在、海外客員研究員(有給)を募集しています(応募期間:2019年11月22(金曜まで)
https://www.ide.go.jp/Japanese/Recruit/vrf.html
●英シンクタンクODIは、アフリカ4か国(エチオピア、ケニア、ルワンダ、ウガンダ)における包括的難民支援枠組みの進捗について報告書を発表しました。
●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、ジンバブエ経済についての報告書を発表しました。
●ロンドン大学LSEで行われた、環境活動家と気候変動についてのディベートの記録が公開されています。
http://www.lse.ac.uk/lse-player?id=4743
●ルワンダの虐殺を取り上げた研究が、オックスフォード大学の大学副総長による賞(Public
Engagement with Research Award)を受賞しました。
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【3】 東京発~世界銀行からのお知らせ
(1)
セミナーのお知らせ
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(1) セミナーのお知らせ
■女性事業者の制約を解消する:アフリカの経済生産性向上の視点から
世界銀行グループTICADセミナーシリーズ第25回
日時:2019年10月23日(水)午前7時45分~午前8時45分
場所:世界銀行東京事務所 http://ow.ly/Ok6kd
内容:世界銀行は2019年3月に報告書「女性事業者の制約を解消する:アフリカの経済生産性向上の視点から」(Profiting from Parity : Unlocking the Potential of Women’s Business in Africa)を発表しました。マークス・ゴールドステイン世界銀行アフリカ地域総局チーフエコノミスト室主任エコノミストがテレビ会議で同報告書の主なポイントをワシントンよりご説明し、皆様のご質問にお答えします。
詳細・お申込み: http://wrld.bg/u0xt30pF1W6
■東アジア・大洋州地域 半期経済報告書
世界銀行モーニングセミナー(第50回)
日時:2019年10月25日(金)午前7時45分~午前8時45分
場所:世界銀行東京事務所http://ow.ly/Ok6kd
内容:10月10日発表予定の「東アジア・大洋州地域
半期経済報告書」(East Asia and Pacific Economic Update, October 2019)を取りまとめるアンドリュー・メイソン世界銀行東アジア・大洋州地域担当チーフエコノミスト室リードエコノミストが、ワシントンよりテレビ会議で同報告書の主なポイントをご紹介し、皆様からのご質問にお答えします。
詳細・お申込み:http://wrld.bg/UQ5230pFXPf
■海洋ごみと海洋プラスチック問題解決に向けた課題とアプローチ
国際シンポジウム
日時:2019年11月13日(水)午後2時~午後6時
場所:北九州国際会議場 メインホールhttps://convention-a.jp/access/
内容:世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は北九州市及び公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)とともに、海洋プラスチックごみ問題に関する国際シンポジウムを開催いたします。本シンポジウムは国内外の自治体関係者や環境分野の専門家、実務者が集う、知見共有とネットワーク構築のプラットフォームを提供・構築することを目的としており、海洋プラごみに関する2つのテーマ「海洋プラごみ管理における国内外の課題と取組み」と「海洋プラごみ管理における官民連携」について議論します。
詳細・お申込み: http://wrld.bg/q3Ht30pJKUs
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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と
「メーリングリスト(devforum)」
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2019年10月22日発行