2020年6月2日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:「資金調達から見た世銀のコロナ対応」
藤本千尋(世界銀行・資金調達部勤務・ワシントンDC在住)
【2】 ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
「アジア開発銀行年次総会開催」
「WHOは資金基盤を拡大するためにWHO財団を設立」他
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:「資金調達から見た世銀のコロナ対応」
藤本千尋(世界銀行・資金調達部勤務・ワシントンDC在住)
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私の住んでいるワシントンDCでは、漸くコロナによるロックダウンからレストランや商店の限定的な営業が許されるフェーズ1に5/29に移行しました。週末にはレストランの屋外のテーブルで久しぶりに外食を楽しむ人々で活気にあふれていました。そんな矢先に、ミネソタの事件をうけたデモが活発化。暴徒化するデモに対する措置で夜間外出禁止例が発令されました。この数か月、社会の状況が本当に目まぐるしく変わり、ふと気づくと季節も初夏に変わっていました。
コロナ危機を受けて、世銀グループ(国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA))では矢継ぎ早に各国政府や企業に対する支援を表明し、来年6月までに1,600憶ドルの資金提供が可能であると発表しました。一方で世界的な危機のさなか、どうやって世界銀行グループがこのような資金が準備できたのかと疑問に思う方もいるかもしれません。
世界銀行(IBRD・IDA)では保守的に資金を運用しており、こういった緊急の貸出のニーズに対して充分な資金を常に保有しています。そのために最悪の事態、例えばマーケットから資金調達ができない状況が仮に1年続いたとしても貸出を続けられるだけの余力を残すように運用しています。コロナ危機発生後に発行した世銀(IBRD)債券は、投資家からの需要が過去最高の125億ドルを記録、複数の債券発行を通じて一週間で合計150憶ドルを調達することができ、世銀の資金運用に対する信用力を裏付けることとなりました。この信用は、単なる債券への支払い能力だけではなく、危機に対応できる能力への期待もあると思います。さらに、災害や感染症などの緊急事態を想定して2017年に発行したパンデミックボンドも今回発動され、IDA対象国に必要な資金を供給することができました。
このような危機はもちろん起きて欲しくはないですが、世銀調達・運用戦略ではこのような危機を常に想定することで、今回もスムーズに資金を提供できることができました。金融は経済活動の血液とよく例えられますが、まさに血液の循環を維持する役割を果たしています。もちろん、血液循環で一番重要な役割である心臓、すなわちプロジェクトを回し続けている世銀の同僚、そして各国政府スタッフの存在は重要不可欠です。世界各国にいる世銀スタッフは昼夜問わず働き続け、各国政府と一丸となって想像をはるかに超えるスピードでプロジェクトの準備・実施をしています。彼らが資金不足を心配することなくプロジェクトの遂行に集中できるように、今後も迅速かつ柔軟に資金管理を行っていきたいと思います。そしていつの日にか、こんな日もあったねと笑いながら振り返られる日が来ることを祈っています。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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●国連主催の「新型コロナウイルス時代とその後における開発資金ハイレベルイベント」がオンライン形式で開催され,安倍内閣総理大臣がビデオメッセージを通じて参加しました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page4_005160.html
●ブータンン王国との間で、総額1億7,400万円を供与限度額とする無償資金協力「人材育成奨学計画」に関する書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008457.html
●ネパールとの間で、無償資金協力「数値標高モデル及びオルソ画像整備計画」(供与限度額:11億7,000万円)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008453.html
●モルディブ共和国との間で、5億円を供与額とするモルディブのテロ・治安対策能力強化のための支援に関する無償資金協力(「経済社会開発計画」)の書簡の交換が行われました。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008449.html
●外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/index.html
●開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています。
http://partner.jica.go.jp/RecruitSearchForPrsn
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– バイ・ドナー関連 –
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●USAIDは、コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱を抑制するため、2,300万ドルの追加的人道支援を発表しました。
●ケアンクロス米国ミレニアム挑戦公社(MCC)長官は、ジョンズホプキンス大学が主催するバーチャルフォーラムの基調講演において、MCCが分析的活動を通じ、いかにその使命を果たしているかについて説明を行いました。講演の模様は以下のリンクより。
Video: Johns Hopkins University Government Analytics Breakfast Forum
●カナダ政府は、アフリカ・デー(5月25日)に際し、アフリカ諸国における様々な分野で関係を強化する意向を示しました。
https://www.canada.ca/en/global-affairs/news/2020/05/statement-in-celebration-of-africa-day.html
●豪州政府は、太平洋諸島フォーラムと協力し、世界的サプライチェーンの混乱の中で、“Pacific Humanitarian Pathway”を設立に向けたイニシアチブに取り組んでいます。
https://www.dfat.gov.au/news/news/working-together-combat-covid-19-pacific
●英政府は、イエメンの人道支援および新型コロナウィルス対策として、1億6千万ポンドの支援を行います。
https://www.gov.uk/government/news/yemen-new-uk-aid-will-help-stop-the-spread-of-coronavirus
●紛争国におけるCOVID-19流行の社会経済影響について、AFDが解説しています。
https://www.afd.fr/en/actualites/covid-19-and-countries-conflict-serious-social-and-economic-impact
●スウェーデン国際開発協力庁(Sida)は、国際ワクチン研究所に63万ドルの支援を行いました。支援は、マダガスカルおよびブルキナファソでのCOVID-19対策に利用されます。
https://eurekalert.org/pub_releases/2020-05/ivi-its051920.php
●欧州員会(EC)とドイツ連邦経済協力開発省 (BMZ) は、COVID-19流行に対するデジタルソリューションのコンテスト「#SmartDevelopmentHack」の受賞者を発表しました。
●欧州連合(EU)は、コロナ禍での雇用創出と透明性の向上を目的に、モンゴルに対して5080万ユーロの支援を行っています。
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– 国際機関関連 –
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●OECDは、コロナウイルス危機との闘いの前線にいる女性たちと題したレポートをweb上で公開しています。
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/ja%20Women%20at%20the%20core%20of%20the%20fight.pdf
●同じくOECDは、COVID-19検査:外出制限措置を解除するためにと題したレポートをweb上で公開しています。
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/ja_Testing_for_Covid_may_4.pdf
●世界銀行は、サヘル地域の女性のエンパワメントを促進する3億7600万ドルのプロジェクトを承認しました。
●アフリカ開発銀行は、セネガルのCOVID-19対策支援を目的とした8800万ドルのプロジェクトを承認しました。
●米州開発銀行はエルサルバドルのCOVID-19対策支援を目的とした2500万ドルの融資を承認しました。
https://www.iadb.org/en/news/idb-approves-loan-address-covid-19-pandemic-el-salvador
●アジア開発銀行は、COVID-19関連のサプライチェーンに関する報告書を発表しました。
https://www.adb.org/news/adb-study-maps-supply-chains-key-products-covid-19-response
●同じくアジア開発銀行は、初めてとなるバーチャル形式での年次総会を開催し、ADBの財務事項について承認を取り付けました。
●WHOとUNHCRは、難民の医療支援のための協定をより強化する形で更新しました。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1064672
●国連は、新型コロナに関する正確な情報を迅速に提供するためのイニシアティブを立ち上げました。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1064622
●UNDPは、新型コロナの人間開発に与える影響をまとめた報告書を発表しました。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1064542
●WHOは、資金基盤を拡大するためにWHO財団を設立しました。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1064962
●WFPは、新型コロナの影響により中南米で1400万人の食糧事情が悪化する恐れがあると報告しています。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1065032
●国連諸機関は、イエメンにおける新型コロナ支援のために24.1億ドルのアピールを発表しました。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1064992
●WHOとUNICEFは、乳幼児向けミルクの過剰な広告に関する報告書を発表しました。
https://news.un.org/en/story/2020/05/1064972
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– シンクタンク・NGO関連 –
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●JANICは、市民の自由と新型コロナウイルス感染拡大に関する調査報告書の日本語訳を発表しました。
●Plan Internationalは、30カ国での調査を基に新型コロナが女性と少女を取り巻く環境を悪化させていると報告しています。
https://plan-international.org/news/2020-05-28-coronavirus-making-periods-worse-girls-and-women
●Oxfamは、ブルキナファソで新型コロナと紛争により100万人の女性が危機的状況に陥っていると報告しています。
●Save the Childrenは、経済危機と新型コロナによりレバノンの学校閉鎖が既に半年にも及んでいると警告しています。
●Save the ChildrenとUNICEFは、新型コロナの影響により貧困家庭で暮らす子供の数が8600万人増加する可能性があると報告しています。
●Center for Global Developmentは「米国なき世界保健機関とは何か」と題したブログポストを公表しました。
https://www.cgdev.org/blog/what-world-health-organization-without-united-states
●ブルッキングス研究所は、①ナミビアにおけるコロナウイルスの規制緩和政策、②アフリカ開発銀行総裁の調査に関する理事会同意、③コンゴ民主共和国の安全保障上の更新等について、ブログ記事を公表しました。
Africa in the news: COVID-19, DRC, and African Development Bank updates
●ウッドロウ・ウィルソンセンターは、ラテンアメリカのジェンダー格差に対するCOVID-19の影響と題したウェブキャストを公表しました。パンデミックは、ラテンアメリカにおける既存のジェンダー格差に大きな影響を与えており、政府が講じたロックダウンによって、今後は地域格差にも悪影響を与えています。
https://www.wilsoncenter.org/event/webcast-impact-covid-19-gender-disparities-latin-america
●アジア財団は、COVID-19の抑制に関するベトナムの成功要因について、ブログ記事を公表しました。
https://asiafoundation.org/2020/05/27/vietnam-a-covid-19-success-story/
●英ODIは、開発金融機関による保健衛生分野への投資についての報告書を発表しました。
●同じくODIは、ボトムアップ型の人道支援についての報告書を発表しました。
https://www.odi.org/publications/16991-ground-it-s-about-time-local-humanitarian-action
●英サセックス大学IDSは、新たな研究紀要を発表しました。
https://bulletin.ids.ac.uk/index.php/idsbo/issue/view/243
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2020年6月2日発行