【Devinfo】 2021年5月4日号(OECD、新報告書『成長に向けて 2021年版:活力ある復興 Going for Growth 2021: Shaping a Vibrant Recovery 』を発表 他)

2021年5月4日発行 www.devforum.jp/

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス -dev-info -
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
米国のコロナ対応に見る、「失敗を受容する姿勢」の強み
田中幸夫(世界銀行グループ、ワシントンDC)

【2】 ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
● G7外相会合(於ロンドン)で、途上国に住む女性の就職や起業の支援のため、2年間で150億ドルの拠出が合意される見通し
● OECD、新報告書『成長に向けて 2021年版:活力ある復興 Going for Growth 2021: Shaping a Vibrant Recovery 』を発表 他

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
米国のコロナ対応に見る、「失敗を受容する姿勢」の強み
田中幸夫(世界銀行グループ、ワシントンDC)
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コロナ禍で迎える2度目の春となりました。報道にもある通り、私の住む米国では4 月以降一気にワクチン接種が進み、同僚たちの間でも「ワクチン打った?」「2回目はいつ?」が挨拶代わりとなりつつあります。

このワクチン、州政府が運営する集団接種会場に加え、医療機関、民間の薬局チェーンなど様々な接種チャンネルがあり、住民はそれぞれのチャンネルに自分で申し込みをします(殆どがネット申し込み可)。最もワクチン割当数の多い(=順番が回ってくる確率の高い)州営集団接種会場は、1回のオンライン申込みで州内複数ある会場にまとめて登録可能(空きが出た会場から順次予約の招待が届く)となっていました。しかし実際に蓋を開けてみると申し込み後いつまで経っても予約可能の連絡が来ない人がいたり、逆にとある会場で既に接種を済ませた人に別の会場から予約可能の連絡が来たり、、、どうやら会場間の調整・連携は当初喧伝されていたほどうまく取れていなかったようです。

実は、このような手落ち感(?)は米国在住者にとってさほど珍しいものではありません。何事も事前に慎重かつ綿密な計画・調整を欠かさない日本とは対照的に、米国では物事が直前かつ簡単に決められることが少なくありません。例えば子供の学校でも、保護者集会が数日前に突然アナウンスされたり、何とか都合を合わせて行ってみたら参加者はまばらだったりと、日本的な姿勢で対応すると振り回されることもしばしばです。しばらく住んでいると慣れて対応の仕方がわかってくるのですが、日本から来たばかりの人の中にはアメリカ社会のこういったeasy goingさを目の当たりにして「アメリカって途上国的…」という感想を抱く方も少なくありません(かくいう私もその一人でした)。

しかし、この危なっかしいほどの大胆さ・失敗を恐れず果敢に前進する姿勢こそアメリカの持つ強みである、とある時から感じるようになりました。上述のワクチン予約システムは確かに完成度こそ高くないかもしれませんが、それでも「迅速にワクチン接種を展開する」という目標を達成するには十分であり、「複数サイトから予約招待が来る」という欠点を補って余りあるといえます。逆に、不具合のないシステム作りをしようとしたら、ワクチン配布の初動は遅れていたことでしょう。

別の例を挙げると、パンデミック発生当初、私の住む地域の学区は完全オンライン授業に切り替わり、生徒用のパソコンが必要な家庭向けにクロームブックの無料貸与が行われました(対象生徒は 10 万人以上)。日本だったら機器の紛失・破損が発生しないよう、何重もの対策が練られるところですが、こちらは貸与時の本人確認もそこそこに、返却方法に至っては「まだ決めてないから、今後の連絡を待って」というカジュアルさ。もちろんこれにより回収率は多少下がるかもしれませんが、完璧な制度の準備・運用にかかるコストや時間のロスを考えると、今回のやり方は「肉を切らせて骨を断つ」ものだったと評価できるのかなと思います。また、意思決定が早いぶん、不具合が見つかってからの軌道修正も早い点もアメリカ式の強みであると感じます。

我々日本人は幼い頃から「失敗しないこと」がよしとされ、受験でも仕事でも、完璧を目指すために準備を惜しまないことが美徳とされてきました。これは間違えなく日本人の強みと言えるでしょう。しかし、物事には完璧さより簡潔さ・迅速さの方が求められるケースも少なくありません(今回のパンデミックはその最たる例でしょう)。また、失敗を恐れるあまり、大胆なアイデアを引っ込めて無難な選択をし、結果リターンも少ない、というのも我々が陥りがちなパターンです。オンラインビジネスの巨人 Amazon 社は快進撃の裏側で無数の失敗事業の立ち上げ・撤退を繰り返していると言います。変化の大きな現代社会では、旧来的な日本人の強みを活かしつつも、時にはその美徳から脱却して大胆になる、そして社会全体が失敗に対して寛容になることがこれまで以上に求められているように感じます。

皆さま世界各地でパンデミックの影響と格闘されていることと思います。収束まではまだ暫くかかりそうですが、今回の教訓を生かしつつ、よりよい社会のあり方を模索していきましょう。

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘こちら <devinfo.mailmagazine@gmail.com>までご連絡ください

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– 日本関連 –
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●ボスニア・ヘルツェゴビナとの間で、供与額5 億円の国境管理・治安対策関連機材のための無償資金協力(「経済社会開発計画」)に関する書簡の交換が行われました(記事 <www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000811.html>)。

●国連児童基金(UNICEF)を通じ、中南米及びアフリカの計31 か国を対象に、各国国内でのワクチン接種体制を構築する「ラスト・ワン・マイル支援」として、保冷設備や運搬用車両等の機材供与等を通じてコールド・チェーンの整備を支援する約 3,900万ドル(約42億円)の緊急無償資金協力を実施することを決定しました(記事 <www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000803.html>)。

●ソロモン諸島との間で、署名・交換済みの無償資金協力「ホニアラ国際空港整備計画」(43億6,400 万円)について、新型コロナウイルス感染拡大に伴う工期延長等の事情から、贈与の限度額を47億2,900万円に変更することに関する書簡の交換が行われました( 記事 <www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press22_000138.html>)。

●ネパールとの間で、無償資金協力「公立高次病院医療機材整備計画」(供与額9.96億円)に関する書簡の交換が行われました(記事 <www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press24_000099.html>)。

●国際協力機構(JICA)は、欧州復興開発銀行と、開発途上国の民間セクターに対する協調投融資促進のための覚書を締結しました(記事 <www.jica.go.jp/press/2021/20210428_10.html>)。

●2004年にニジェールの小学校23校で始まったJICAの「みんなの学校」プロジェクトは今、アフリカ8カ国・約5万3000 校の小中学校に拡大し、子どもたちの学習環境が改善されています(記事 <www.jica.go.jp/topics/2021/20210428_01.html>)。

●令和3年度NGO事業補助金の応募を受け付けています(5月14日締切)(記事 <www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/shimin/page22_001154.html>)。

●外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事 <www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/index.html>)。

●開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事 <partner.jica.go.jp/RecruitSearchForPrsn>)。

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– バイ・ドナー関連 –
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● 米国政府は、インドにおけるCOVID-19感染者の急増に対応するため、緊急物資の空輸を発表しました(記事 <www.usaid.gov/news-information/press-releases/may-1-2021-united-states-airlifts-more-emergency-supplies-to-help-india-address-deadly-surge-of-covid-19-cases> )。

●米国ミレニアム挑戦公社及びマイクロソフト社は、データラボ及びeコミュニティの構築におけるMoUに署名しました(記事 <www.mcc.gov/news-and-events/release/release-042721-microsoft-and-mcc-sign-mou> )。

●カナダ政府は、インドにおけるCOVID-19感染者急増に対応した資金援助を公表しました(記事 <www.canada.ca/en/global-affairs/news/2021/04/canada-announces-funding-support-in-response-to-covid-19-in-india.html> )。

●豪州政府は、豪州・ベトナム経済交流促進助成金パイロット事業を開始します(記事 <www.dfat.gov.au/news/news/australia-vietnam-enhanced-economic-engagement-grant-pilot-program> )。

●ロンドンで開催されたG7外相会合では、途上国に住む女性の就職や起業の支援のため、2年間で150億ドルの拠出を行うことが合意される見通しです(記事 <www.gov.uk/government/news/g7-to-boost-girls-education-and-womens-employment-in-recovery-from-covid-19-pandemic> )。

●AFDは、アフリカの生物多様性保全と気候変動対策をテーマに、アフリカのスタートアップからの提案を募集しています(記事 <www.afd.fr/en/actualites/innovating-climate-and-biodiversity-5th-edition-afd-digital-challenge> )。
●同じくAFDは、太平洋諸国の気候変動対策についての提案も募集しています。太平洋島嶼国の組織や団体の他、国際NGOが応募することができます(記事 <www.afd.fr/en/actualites/kiwa-initiative-call-ideas-2021-now-open-regional-projects> )。
●国際協力についてのEU市民の意識調査、Eurobarometerが発表されました(記事 <ec.europa.eu/international-partnerships/news/eurobarometer-april-2021_en> )。
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– 国際機関関連 –
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●OECDは、新報告書『成長に向けて 2021年版:活力ある復興Going for Growth 2021: Shaping a Vibrant Recovery 』を発表し、パンデミック以前から存在した弱点と、パンデミックによってもたらされたそれを分析し、政策当局が根本的な刷新を行う機会を得るための各国の状況に沿った助言を行っています( 記事 <www.oecd.org/tokyo/newsroom/policy-reset-can-deliver-a-stronger-more-resilient-equitable-and-sustainable-post-pandemic-recovery-oecd-says-japanese-version.htm> )。

●国際通貨基金は、持続可能な開発目標(SDGs )の達成を支援するために、長期的な成長を加速させ、歳入動員を図り、民間投資を呼び込む政策面での選択肢を発展途上国が評価できる枠組みを同HP 上で提案しています(記事 <www.imf.org/en/Publications/Staff-Discussion-Notes/Issues/2021/04/27/A-Post-Pandemic-Assessment-of-the-Sustainable-Development-Goals-460076> )。

●世界銀行とバングラデシュ政府は、バングラデシュにおける雇用創出を目的とした2億5,000万ドルの支援に合意しました(記事 <www.worldbank.org/en/news/press-release/2021/04/22/world-bank-helps-bangladesh-create-better-jobs-and-ensure-resilient-recovery-from-the-covid-19-pandemic> )。

●米州開発銀行は、ブラジルのデジタル化推進を支援するための10億ドルの条件融資を承認しました(記事 <www.iadb.org/en/news/brazil-boost-digital-transformation-idb-support> )。

●アフリカ開発銀行は、エチオピアの幼児の栄養状態改善を支援するための3120万ドルの贈与プロジェクトを承認しました(記事 <www.afdb.org/en/news-and-events/press-releases/ethiopia-african-development-fund-provides-312-million-boost-nutrition-and-end-child-stunting-43379> )。

●アジア開発銀行は、新報告書” Creating Livable Asian Cities”を発表し、アジア地域の都市化について銀論しています(記事 <www.adb.org/news/improve-quality-life-economic-opportunities-cities-build-sustainable-future-adb> )。

●アジア開発銀行(ADB)は、7月11-13日に、東京にリクルートミッションを派遣し、将来ADB に入行を希望する人への業務説明会と採用面接を行います。業務説明会への参加、採用面接への申し込み期限は6月27日(記事 <www.adb.org/news/events/adb-recruitment-outreach-mission-japan>)。

●UNAIDSは、2030年の目標実現に向けた10の提言からなる報告書を発表しました(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1091032>)。

●UNDPは、新型コロナとクーデターの影響で、ミャンマーの人口の半数程度が貧困に陥る恐れがあると報告しています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1091002>)。

●WFPは、マダガスカルの75万人への食糧支援のために7400万ドルの資金を必要としています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090922>)。

●UNICEFは、中央アフリカの選挙に伴う動乱で、37万人の子供が非難を余儀なくされたと報告しています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090812>)。

●UNFPAやUNAIDSなどが、イギリス政府の拠出金カットに対して懸念を示しています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090892>)。

●ILOは、職場環境の安全確保と新型コロナ対策を論じた報告書を出版しました(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090772>)。

●UNICEFは、新型コロナにより遅れが出ている他の感染症に対するワクチン接種を促進するための戦略を発表しました(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090592>)。

●UNICEFは、コンゴDRCイツリ地域の紛争で子供達に大きな影響が出ていると報告しています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090612>)。

●ECOSOCは、島嶼部開発への資金援助が不足していると訴えています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090532>)。

●UNHCRは、気候変動と難民の発生を分析したデータを発表しました(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090432>)。

●WHOは、新型コロナにより90%の国で医療システムに弊害が出ていると報告しています(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090512>)。

●国連は、火山が噴火したセントビンセントの支援のために2900万ドルのアピールを発表しました(記事 <news.un.org/en/story/2021/04/1090182>)。

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– シンクタンク・NGO関連 –
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●第5回災害時の連携を考える全国フォーラムが5月26日に開催されます(記事 <www.janic.org/blog/2021/04/28/jvoad_forum/>)。

●「PSEAH性的搾取・虐待・ハラスメントからの保護実践ハンドブック」が公開されました(記事 <www.janic.org/blog/2021/04/27/ngo_study2020_pseah/>)。

●Save the ChildrenとGPEは、SDGsが成立して以来約4億人の子供が識字を身に付けそこなったと報告しています(記事 <www.savethechildren.net/news/393-million-children-unable-read-world%E2%80%99s-shocking-lost-potential> )。

●Save the Childrenは、7億人以上の子供が気候変動リスクの高い国に住んでいると報告しています(記事 <www.savethechildren.net/news/climate-crisis-710-million-children-live-countries-high-risk> )。

●250のNGOが、世界の軍事費の26時間分で世界から飢餓を撲滅できるという書簡を公開しました(記事 <www.oxfam.org/en/press-releases/aid-organisations-call-governments-give-single-days-military-spending-fight-hunger> )。

●Oxfamは、新型コロナによる失業で世界的に女性は8000億ドルを失ったと報告しています(記事 <www.oxfam.org/en/press-releases/covid-19-cost-women-globally-over-800-billion-lost-income-one-year> )。

● Center for Global Dveclopmentは、インドにおけるCOVID-19人道危機に伴う3 つの緊急措置を記載したブログポストを公表しました(記事 <www.cgdev.org/blog/india-needs-focus-three-urgent-actions-mitigate-its-covid-19-humanitarian-crisis> )。

●ブルッキングス研究所は、東アジアサプライチェーンにおける脆弱性とレジリエンスに関するパネルディスカッションを開催しました(記事 <www.brookings.edu/events/vulnerability-and-resilience-the-future-of-east-asian-supply-chains/> )。

●JETROアジア経済研究所は、オンライン講座「次世代食料供給の担い手-ラテンアメリカの農業経営体」を開催します(記事 <www.ide.go.jp/Japanese/Event/Seminar/210518.html>)。

●RIETIは、「バングラデシュ:後発開発途上国からの卒業とその影響」と題したディスカッションペーパーを公表しました(記事 <www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/21040015.html>)。

●英ODIは、国際開発金融機関の株主を増やす改革案についての報告書を発表しました(記事 <odi.org/en/publications/new-shareholders-for-multilateral-banks-a-viable-approach-to-increase-development-finance/> )。
●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、スーダンの経済情勢についての音声解説を公開しました(記事 <www.chathamhouse.org/2021/04/africa-aware-sudans-economic-stabilization> )。

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2021年5月4日発行