2022年9月6日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
「シエラレオネの暴動を経験して」 荘所真理(世界銀行/DevInfo編集幹事/シエラレオネ在住)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
第8回アフリカ開発会議(TICAD8)がチュニジアで開催(記事)
国連は、洪水に見舞われたパキスタンの支援のために1億6千万ドルのアピールを発表(記事) 他
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:シエラレオネの暴動を経験して
執筆:荘所真理 (世界銀行/DevInfo編集幹事/シエラレオネ在住)
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第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)がチュニジアで開催されました。新型コロナやウクライナ情勢を受け、深刻な影響を受けるアフリカの開発をどう支援していくか様々な議論がなされました。
私が住んでいるシエラレオネは、他のアフリカ諸国同様、新型コロナによる打撃、さらにロシアによるウクライナ侵攻により、食料や燃料の価格が高騰し、厳しい経済状況が続いています。そんな中、3週間ほど前に、不満を募らせた人々による反政府デモが国内数か所で同時発生し、最終的には警察と衝突し死者が出る暴動にまで発展しました。私は当日オフィスで普通に仕事をしていました。各地でデモが発生しているという情報がSNSを通して続々と入ってきてはいましたが、またいつものことだろうとあまり気にかけていませんでした。午後12時過ぎに突如オフィスでインターネットが使えなくなり、後になって政府がインターネットを遮断したと知ることとなりました。午後1時過ぎには、事務所代表から今後デモが拡大する可能性もあるので早々に帰宅するようにという指示がありました。職員は玄関前に集められ、武装警官に警護されながら帰宅しました。午後3時には国内全土に対する外出禁止令が発令されました。その間もあちこちで暴動が起きていることを知らせるメッセージがSNSを通じて送られてきました。
幸い緊迫した状況は数日で収まりましたが、シエラレオネはアフリカの中でも比較的平和だと言われていただけに、今回の暴動は衝撃的でした。参加者の多くは若者で、SNSを通してデモが計画、実行されたようです。興奮したデモ参加者が警察と衝突し暴徒化し、非常に残忍な方法で警察官をリンチして殺害しました。どこまで計画されていたかは定かではありませんが、なぜこのような暴動が起きたのか?経済、雇用状況に対する国民の不満が高まっているのは確かです。大統領選を来年に控え政治的なものが関係している可能性もあります。
私が最もショックだったのは、SNSで誘導され善悪の判断ができないまま若者が暴徒化してしまったということです。私はここシエラレオネで政府の教育計画の策定や実行を支援する仕事をしていますが、まだまだ課題は山積みです。TICAD8でも強調されていたように、国の安定、持続的成長には人的資源への投資が不可欠です。どうすれば国民が正しい知識を持ち、正しい判断をして、正しい方法で声をあげ、行動できるようになるのか。今回の暴動は教育の役割を考えさせられる出来事となりました。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
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– 日本関連 –
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- 第8回アフリカ開発会議(TICAD8)がチュニジアで開催されました(記事)。
- 財務省は、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)のビジネスフォーラム内「EPSA5ローンチイベント」において、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」(EPSA)の拡充を発表しました(記事)。
- 対パレスチナ日本政府代表事務所と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)との間で、パレスチナ難民に対するUNRWAを通じた食糧援助として、総額2億円の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました(記事)。
- ルワンダ共和国との間で、供与額5.5億円の自動指紋照合システム供与のための無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の交換が行われました(記事)。
- ウズベキスタン共和国との間で、「園芸作物バリューチェーン強化計画(フェーズ2)」のためのドル建て借款の供与(供与限度額2億ドル)に関する書簡の交換が行われました(記事)。
- 独立行政法人国際協力機構(JICA)と日本マイクロソフト株式会社は、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みを推進するため、包括連携協定を締結しました(記事)。
- TICAD8開催に合わせて、The Japan Times(2022年8月26日付朝刊)にTICAD8特集が組まれました(記事)。
- JICAでは、中学生・高校生を対象に、開発途上国の現状や、途上国と日本のつながりについて理解を深め、国際社会の中で日本、そして自分たち一人ひとりがどのように行動するべきかを考えるエッセイを募集しています(締め切り9月11日)。募集テーマ:「世界とつながる私たち 未来のための小さな一歩」(記事)。
- 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
- 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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- USAIDはエクアドル政府との開発目的協定の改訂に署名しました。これにより米国からエクアドル政府に対する約2,000万ドルの追加支援が行われます(記事)。
- 米国ミレニアム挑戦公社(MCC)は、モンゴル大統領と共に、同国初の水リサイクルプラントの起工式を実施しました(記事)。
- カナダ政府は、パキスタンの洪水に対する人道支援として500万ドルの資金提供を発表しました(記事)。
- 豪州政府は、オーストラリア・アフリカ・ウィーク開催に向けたステートメントを発出しました(記事)。
- 韓国外務省及びKOICAは、第15回ソウルODA国際会合を開催しました(記事)。
- 英国は、ロヒンギャ問題に関し、ミャンマー国軍に関係する企業に対する新たな制裁を発表しました(記事)。
- 英国は、パキスタンの洪水被害に対して1500万ポンドの支援を発表しました(記事)。
- 世界水週間に合わせ、AFDは、「ダカール 2022イニシアティブ」についてHPで紹介しています(記事)。
- GIZは、VRを活用した、ブルキナファソとカメルーンにおける農業支援の様子をHPで紹介しています(記事)。
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– 国際機関関連 –
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- 経済協力開発機構(OECD)と国際エネルギー機関(IEA)は、共同で行った分析を発表しました。その中で、多くの国々が非効率な化石燃料補助金を廃止するという長年の公約と、エネルギー価格高騰から家計を守る努力とのバランスを取るのに苦労する中、主要諸国は石炭、石油、天然ガスの生産と消費への助成を大幅に増やしていると指摘しています(記事)。
- マルパス世界銀行総裁はTICAD8の開会式において、日本のIDA第20次増資(IDA20)に対する大きな貢献や、9月に東京で行われるIDA20第20次増資開始に当たっての記念行事の主催について感謝するとともに、世界銀行グループは、長年にわたるパートナーとしてアフリカを支援し、様々な分野で緊密に協力を進めていくと述べました(記事)。
- 世界銀行はネパール政府との間で、強靭で包括的な開発を支援するための1億ドルの資金に調印しました(記事)。
- アジア開発銀行は、スリランカの食料安全保障の改善と、女性や子どもに焦点を当てた貧困層や脆弱層の保護のために、進行中のプロジェクトから資金再配分を行い、2億ドルの緊急支援融資を承認しました(記事)。
- アジア開発銀行は、2022年度版「アジア・太平洋地域主要指標」(Key Indicators for Asia and the Pacific 2022)を発表しました。その中で、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、アジア・太平洋地域における貧困との戦いの成果を2年以上後退させ、この地域の多くの人々は、以前にも増して貧困からの脱却が困難な状況となっていると指摘しています(記事)。
- アフリカ開発銀行と日本政府は、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)において、「アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ」(EPSA)において50億ドルの財政支援で協調していくことを発表しました(記事)。
- ナイジェリアのステイクホルダーは、アフリカ開発銀行の国別戦略文書を承認しました(記事)。
- 米州開発銀行は、ブラジルのアラゴアス州のデジタルトランスフォーメーション促進支援を目的とした1500万ドルの融資プロジェクトを承認しました(記事)。
- FAOは、最新の食糧価格インデックスを発表し5カ月連続で食料価格は下落していると報告しています(記事)。
- 国連大学は、自然災害による被害を分析した報告書を出版しました(記事)。
- WMOは、アフリカの角地域の旱魃が5年目に突入するという予報を発表しました(記事)。
- OCHAは、チャドを前例がないほどの洪水が襲っており34万人が影響を受けていると報告しています(記事)。
- ユニセフは、ウクライナで少なくとも972人の子供が死亡または負傷した事を確認したが、実際の数はもっと多いだろうと報告しています(記事)。
- 国連は、洪水に見舞われたパキスタンの支援のために1億6千万ドルのアピールを発表しました(記事)。
- WHOのアフリカ地域会合が開催され、感染症対策に関する新戦略が宣言されました(記事)。
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– シンクタンク・NGO関連 –
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- 9月21日に2022年度第1回NGO-JICA協議会が開催されます(記事)。
- Save the Childrenは、シリア北部で紛争が激化し子供達に被害が出ていると報告しています(記事)。
- Save the Childrenは、洪水に見舞われているスーダンに対して一層の支援を訴えています(記事)。
- 世界経済フォーラムは、COVID-19、格差の拡大、世界的な紛争を受け、都市がどのように資金調達を行い、都市変革事業を実現できるかについて、4つの報告書を発表しました(記事)。
- 日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団は、9月8日ホノルルにて“Migration with Dignity from the Pacific Islands Countries – Climate Change, Pandemics, Livelihood and Infrastructure –”を開催します(記事)。
- JETROアジア経済研究所は、10月15日よりアジア経済研究所連続専門講座「『SDGs時代の経済・社会開発』連続専門講座」を開催します(記事)。
- 英ODIは、アフリカにおける廃棄物管理についての報告書を発表しました(記事)。
- 同じくODIは、気候変動と難民、紛争についての報告書を発表しました(記事)
- 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、ザンビアのヒチレマ大統領によるアフリカの民主主義についてのインタビュー動画を公開しました(記事)。
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2022年9月6日発行