2023年11月28日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
「Boboから開発を考える」行澤隆(JICAフランス事務所 / フランス在住)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
スーダン政府は、国連特別政治ミッションであるUNITAMSを撤退するよう国連に通告しました(記事) 他
【3】ワシントンDC開発フォーラム
『水×農業×気候変動』プレーブック作成を通じて見えた課題と展望
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:Boboから開発を考える
執筆:行澤隆(JICAフランス事務所 / フランス在住)
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ジェントリフィケーション(Gentrification)という単語をご存じでしょうか。一般的には「ある地域の地価が上がり高級化すること」といった意味で、高級化してしまったためもともと住んでいた人々が移転せざるを得なくなってしまう、という都市問題も含むようです。英米では70年代から注目されてきたそうですが、私の住むフランスでのジェントリフィケーションは他国と比べると遅かったとされています。その理由として、フランスの都市圏では80年代まで家賃が政府に統制されていたため不動産が投資の対象として見られていなかったこと、低所得者向けの社会住宅の整備ノルマが各自治体に課されていること、都市整備がしっかりしていたため低所得者層の住むエリアが大都市にはもともと少なかったこと、などが挙げられています。
しかし現在のパリではこの現象は確実に進んでいます。たとえば、以前は低所得者層が多く治安の悪かった工場や倉庫地帯がおしゃれなレストラン街になったり、庶民的なエリアにあった八百屋さんが有機食品を扱う高級スーパーに変わったり、老朽化したアパートが綺麗に改装されて大幅に値上げして売られたりしています。フランスでのこの現象の原動力は、「Bobo」と呼ばれる若い世代です。Boboとは、Bourgeois(ブルジョワ)ながらBohème(ボヘミアン)な生活を好む人たちのことを指すフランス語のスラングで、彼らをターゲットにしたファッションブランドや飲食店なども増え、ひとつのライフスタイルとして定着しています。Bobo は良家の出身者や社会的地位の高い職業についている人も多いですが、住む場所は堅苦しい高級住宅街ではなく、社会的マイノリティや移民なども多い多様性にあふれた地区を好みます。こうした地区は低所得者も多く、そこで Boboをターゲットとした再開発が進むことで、もともとの住人は住む場所を失ってしまうのです。
現在パリでは、2024年の五輪開催に向けて会場の整備が進められています。特にパリ北部郊外の低所得者が比較的多くあまり治安も良くないとされる地区にメインスタジアムが置かれ、その周辺に選手村が建設される計画となっています。政府は五輪をパリ都市圏再生の起爆剤として位置付けています。この地域が優先的に整備されることにより生活環境向上や治安改善などの効果は見込めるかもしれませんが、こういった郊外の街でもジェントリフィケーションが引き起こされていることを指摘する声もあります。
街が変わっていくのは街が生きている証拠でもあり、資本主義の必然でもあるかもしれません。またそれに伴い、治安が改善するなどの良い効果が生まれているのも事実です。ただ、フランス革命を経て基本的人権という概念を世界で初めて提唱したフランスだからこそ、21世紀の人権とも言える居住権に配慮した新しい「再開発」のアイデアを期待したいところです。また、現在「開発」途中の途上国でもその先には「再開発」があるかもしれません。ジェントリフィケーションも含めた様々な都市問題に取り組んだ先進国の経験が、将来的に途上国の「再開発」に貢献できれば、と、そんなことを五輪に向けた再開発が進む秋のパリで思います。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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- キルギス共和国との間で、供与額10.87億円の無償資金協力「灌漑用水路の運用及び維持のための機材整備計画」に関する書簡の交換が行われました(記事)。
- ベトナム社会主義共和国との間で、ベトナム海上警察(VCG)教育訓練センターに対し訓練関連機材を供与する、供与額5億円の無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の交換が行われました(記事)。
- スリランカ民主社会主義共和国との間で、2件の無償資金協力(無償資金協力「経済社会開発計画」水産品のコールドチェーン関連機材等の供与、供与額:2億円、無償資金協力「気象ドップラー・レーダーシステム整備計画」の追加贈与、供与額:1.6億円)に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- 国際協力機構(JICA)は、国際通貨基金(IMF)能力開発局とアフリカ向けの債務管理能力強化に向けた連携事業を実施するための基本合意書を締結しました(記事)。
- JICAは、フィリピン共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「公的保険改善を通じた自然災害に対する公共資産の強靭性向上プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました(記事)。
- 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
- 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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- 米国国際開発庁(USAID)は、ナゴルノ・カラバフ情勢の影響を受けている人々に対する410万ドルの追加人道支援を発表しました。この追加資金により、2020年以降、ナゴルノ・カラバフに対する米国の人道支援総額は約2,800万ドルに達しました(記事)。
- 豪州政府は、太平洋における性と生殖に関する健康と権利を支援する新たなパートナーシップを発表しました(記事)。
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– 国際機関関連 –
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- OCEDの最新の報告書によると、2022年は気候に関連する災害が増加した一方で、OECD加盟国及びパートナー国内の気候変動に関連する活動が鈍化したと報告しています(記事)。
- 世界銀行と国際的なパートナーは、気候変動対策と開発途上国におけるエネルギー・アクセス強化のため、低炭素エネルギー・キャリアであるクリーン水素の世界的普及を加速させる行動アジェンダの実施を呼びかけています(記事)。
- 世界銀行は、カンボジアの安全な水、公衆衛生を支援するための1億6300万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
- 米州開発銀行は、ラテンアメリカ、およびカリブ海地域への送金額が2020年の記録を上回り1550億ドルに達すると予想した報告書を発表しました(記事)
- アフリカ開発銀行は、リビア政府との同国の開発支援を目的とした技術支援で協力していくことを記した合意書に署名しました(記事)。
- アフリカ開発銀行は、チャドの水公衆衛生改善支援を目的とした、340万ユーロの贈与を承認しました(記事)。
- アジア開発銀行は、インドネシアのプライマリヘルスケア変革を支援するための3億5000万ドルの融資プロジェクトを承認しました(記事)。
- アジア開発銀行は、ゲイツ財団からの800万ドルの公衆衛生支援の追加支援を受けました(記事)。
- コンゴ民主共和国東部での紛争の激化により、過去6週間で45万人が避難しています(記事)。
- IOMは、パキスタンからの退去を迫られているアフガニスタン難民の支援を訴えています(記事)。
- WFPは、資金不足によりチャドでの食糧支援をカットせざるを得なくなる恐れがあると報告しています(記事)。
- OHCHRは、ミャンマーで都市部にまで戦火が拡大し過去一か月で20万人が避難を余儀なくされたと報告しています(記事)。
- UNHCRは、アフリカの角地域を襲っている洪水により、避難民が被害を受けていると報告しています(記事)。
- OHCHRは、スーダンのダルフール西部で民族に基づく襲撃が過激化していると報告しています(記事)。
- スーダン政府は、国連特別政治ミッションであるUNITAMSを撤退するよう国連に通告しました(記事)。
- WMOは、温室効果ガスの排出状況を分析した報告書を出版しました(記事)。
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– シンクタンク・NGO関連 –
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- Plan Internationalは、気候変動が女子教育に与える影響を分析した報告書を出版しました(記事)。
- Save the Childrenは、10年前と比較して子供の飢餓が20%増加し、1760万人が飢餓に瀕していると報告しています(記事)。
- 世界開発センターは、ワーキンググループシリーズ「アフリカ共通市場はいかにしてデジタル経済、イノベーション・エコシステム、サプライチェーン、地域協力を強化できるか?地域経済統合の促進」を開催します(記事)。
- 世界経済フォーラムとアクセンチュアの共同で発行された「ネット・ゼロ・インダストリー トラッカー2023」は、鉄鋼、セメント、アルミニウム、アンモニア、その他の化学製品を除く、石油・ガス、航空、海運、トラック輸送の8産業について、ネット・ゼロ・エミッションに向けた進捗状況を分析。同報告書によると、より持続可能でカーボンニュートラルな未来への移行には、2050年までに13兆5,000億ドルの投資が必要となり、特に生産、エネルギー、運輸セクターで必要と分析しています(記事)。
- 韓国KDIスクールは、世界銀行と共催で12月6-7日、「第1回KDIS-WB成長のための財政政策ワークショップ」を開催します(記事)。
- アジア財団は、オーストラリア国立大学(ANU)開発政策センターと協力し、12月5日から7日まで、2023年オーストラレーシア援助会議を開催します。今年は、地域主導の開発、ジェンダー平等と社会的包摂、気候変動へのレジリエンス、援助の有効性などについて議論します(記事)。
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【3】 ワシントンDC開発フォーラム
『水×農業×気候変動』プレーブック作成を通じて見えた課題と展望
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DC開発フォーラムでは、様々な分野で活躍するプロフェッショナルをお招きし、その知見をもとに参加者の皆様と自由に議論するワークショップを不定期に開催しています。
第74回となる今回のゲストは、スタンフォード大学経営大学院の熊平智伸(くまひら・とものぶ)氏。今夏、Project Mizu というリサーチグループを立ち上げて、様々な業界で活躍する約30人の実務家・研究者たちとともに、気候変動が水と農業の関連に及ぼす影響と、適応策に関する包括的なリサーチプロジェクトを展開し、11月には、その成果をもとに約150のSolution をまとめたプレーブックとして「Water-Agriculture Nexus: Forefront of Climate Adaptation」を発表しました。
レポート:https://docsend.com/view/t5nusawks332an38
発表記事:https://medium.com/@projectmizu/stanford-project-mizu-unveils-pioneering-playbook-for-climate-adaptation-in-water-and-agriculture-6a0e4d28e678
【テーマ】
「水×農業×気候変動:プレーブック作成を通じて見えた課題と展望」
気候変動は、世界で最重要課題の一つとなっています。異常気象や自然災害などその影響は日本のみならず世界各地で顕在化しています。気候変動に関連した数多ある議論の中で、特に水資源と農業の問題は、その脆弱性と人々の生活への影響の甚大さから、より一層深刻さを増しています。農業は人間による淡水消費の約70%を占め、気候変動による影響は、水資源の希少性、人口増加への対応、貧困対策、といった多面的な課題への対応と切り離して語れません。
ゲストの熊平さんには、Project Mizuというユニークな取り組みをされた経緯を解説してもらった上で、水と農業を巡る気候変動への適応について、包括的な観点で全体像を整理して頂き、研究プロジェクトを通じて見えた現在世界が直面する課題と今後の展望について概観してもらいます。
【スピーカー】
熊平智伸(くまひら・とものぶ):
スタンフォード大学経営大学院・Doerr School of Sustainability
三菱商事で金融・PE投資事業に従事した後、ケニアの小規模農家向け林業スタートアップ「Komaza」に参画し、CFOとして投資家からの資金調達や戦略策定を担った。2022年にスタンフォード大学経営大学院に進学。気候変動や公衆衛生、政策、教育など、世界の重要課題に取り組んだ実績を持つ修士・博士課程学生を対象とした「ナイト・ヘネシー奨学生」に日本人として初めて選ばれた。ブラウン大学(国際関係学部)卒。アキュメン・フェロー、ボッシュ財団フェロー。
【日時】米国東部時間:2023年12月8日(金)午後19:00-20:00
日本時間 :2023年12月9日(土)午前 9:00-10:00
【会場】Microsoft Teamsのビデオ会議システムを活用して開催します。詳細は事前に参加登録者にメールにてお送りいたします。
【会費】1ドル(サーバ維持費としてカンパを募っています。振込方法については参加登録者への案内メールにてお伝えします)
【参加登録】
参加ご希望の方は、下記登録フォームより12月7日(木)までに必ず参加登録をお願い致します。
登録にご不明の点がある場合、または、当日朝までに会場案内のメールが届かない場合は、ワークショップ担当(dev.forum.workshop@gmail.com)まで、ご連絡ください。
過去のワークショップの内容はこちらでご覧いただけます。
http://www.devforum.jp/?page_id=1269
皆様のご参加をお待ちしております。
DC開発フォーラム・勉強会担当 小栗
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ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と
「メーリングリスト(devforum)」
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2023年11月28日発行
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