【dev-info】2023年12月26日号(COP28の成果と課題、ルワンダにアフリカ初となるメッセンジャーRNAワクチンの生産施設が完成 他​)

2023年12月26日発行

http://www.devforum.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

-(dev-info)-

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

【1】ワシントンDC開発フォーラム便り

「世界銀行改革って?」大谷壮矢(世界銀行 日本理事室/ワシントンDC)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

欧州連合 (EU) は、アフリカにおけるワクチンや医薬品の製造やアクセスを強化するため、ルワンダへの支援を強化します。ルワンダのキガリでは、ドイツのビオンテック社によるアフリカ初となるメッセンジャーRNAワクチンの生産施設が完成しました(記事

UNMISSの代表は、南スーダンが来年末に選挙を実施するには厳しい状況にあるとコメントしています(記事)

英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家は、COP28の成果や今後の課題について解説しています(記事) 他

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

 

タイトル:世界銀行改革って?

執筆:大谷壮矢(世界銀行 日本理事室/ワシントンDC)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最近巷を賑わせている「World Bank Evolution(世界銀行改革)」というイニシアティブをご存じでしょうか。2022年10月に開催された世銀の年次総会にて、日米を含む複数ドナー国(=先進国)が音頭を取る形で始まったこのイニシアティブは、気候変動やパンデミック、紛争等、一か国では収まりきらない「Global Challenge(地球規模課題)」に対してもっと効率的且つ効果的に対応できるよう、世銀を「進化」させることを目指しています。

というのも、従来の世銀のオペレーションモデルは、いわゆる「country-driven」と呼ばれ、基本的にクライアント国(=被支援国)のニーズを踏まえてプロジェクト形成を行うアプローチをとってきました。こうしたアプローチは、被支援国に最大限寄り添った開発を可能とする一方で、気候変動やパンデミック、紛争に起因する移民・難民等、外部性の高い課題に対しては必ずしも上手く対応しきれない側面があります。例えば、アフリカのとある地域で人々を死に至らしめる未知の感染症の拡大が確認されたとして、ある一国の中で根絶やしにできたとしても、隣接する各国も同様に根絶できなければ、危機リスクはなくなったとは言えません。このように、地域レベル、あるいは世界レベルで一丸となって対応しなければならない課題にあっては、一国のニーズだけを根拠に開発協力をしていては、かえって遠回りになってしまうことすらあり得るのです。

上記を聞くと、「なるほど、それは大変だ!改革しないと!」と思われるかもしれませんが、現実はそんなに甘くはありません。なぜなら、リソースはいつだって有限だからです。現在の開発課題に上乗せで地球規模課題に対応するには、それ相応の資金が必要となりますが、近年の国際的な不況でドナー国のお財布の紐は締まるばかりです。一方のクライアント国側は、地球規模課題という「長期的には大切と思われる課題」と、目の前の貧困の削減という「短期的に死活的な課題」の、一見すると相反する二つの課題の間でバランスをとらなければなりません。いかに世銀の融資余力を高めつつ、短期的課題を犠牲にせずに地球規模課題にも取り組める環境を作れるかがカギとなります。

1年間の集中的議論の末、本年の10月にマラケシュで開催された年次総会では、世銀の融資能力を大幅に拡大するためのいくつかの重要な決定がなされました。一方で、改革の議論はまだまだ道半ば。創出した融資余力を、どのようにオペレーションに繋げられるかは、ここからの議論にかかっています。意味のある「進化」を遂げることができるのか、それとも「口だけの改革」で終わってしまうのか。引き続き世銀改革から目が離せません。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【2】 開発フォーラム新着情報チェック

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください

┏━━━━━━━━━━━┓

– 日本関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

  • 令和6年度予算政府案が閣議決定されました。主なポイントは、安全保障対応と邦⼈保護、警備体制等を強化。日本企業の強みを生かしたオファー型協力や民間資金等を活用した効果的ODAを導⼊(記事)。
  • 国際協力機構(JICA)は、日ASEAN特別首脳会議を機に、「JICA-ASEAN知の共創・連結性イニシアティブ」を発表しました(記事)。
  • 日本は、国際協力機構(JICA)を通じて、パレスチナ・ガザ地区における緊急人道支援・保健医療分野におけるニーズを調査するため、隣国のエジプト(カイロ)に医師等から構成される調査チームを派遣します(記事)。
  • 日ASEAN特別首脳会議の機会に行われた日・ベトナム首脳会談において、ベトナム社会主義共和国教育訓練大臣との間で、412億2,370万円を限度とする円借款(「交通渋滞及び大気汚染の緩和」)、及び総額25億1,500万円を限度とする無償資金協力2件(「医療サービスの質向上」、「人材育成」)に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • トルコ共和国との間で、円借款「中小零細企業のための震災後支援計画」(供与限度額200億円)に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • 世界保健機関(WHO)在アフガニスタン事務所代表との間で、供与額10.32億円の無償資金協力「中核病院における感染症対応能力強化計画(WHO連携)」に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • 国際連合児童基金(UNICEF)事務局との間で、10億3,200万円を供与額とする無償資金協力「震災及び紛争の影響を受けた地域における社会サービスの改善計画(UNICEF連携)」に関する交換公文の署名が行われました(記事)。
  • 国際協力機構(JICA)は、2023年9月に募集した中小企業・SDGsビジネス支援事業について、合計68件の採択を決定しました(記事)。
  • 外務省国際機関人事センター主催のJPO派遣候補者選考試験説明会が1月25日19時から開催されます(記事)。
  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

┏━━━━━━━━━━━┓

– バイ・ドナー関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

  • 英国は、食糧安全保障の強化や貧困削減のため、国際農業開発基金(IFAD)に6670万ポンドを拠出します(記事)。
  • AFDは、今年の開発分野のハイライトとして森林サミットなど7つのイベントを紹介しています(記事)。
  • AFDは、気候変動に対して脆弱な国に向けた1億7000万ユーロ規模の支援パッケージを提供します(記事)。
  • スウェーデン国際開発協力庁(Sida)は、2022年の援助の概要をHPで紹介しています。援助の総額は54億6000万ドルで、援助の規模が大きい上位5カ国はウクライナ、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、ソマリア、エチオピアでした(記事)。
  • 欧州連合(EU)は、アフリカにおけるワクチンや医薬品の製造やアクセスを強化するため、ルワンダへの支援を強化します。ルワンダのキガリでは、ドイツのビオンテック社によるアフリカ初となるメッセンジャーRNAワクチンの生産施設が完成しました(記事)。
  • EU、ドイツ、アフリカの角の国々は、EUによる8300万ユーロの支援などを含む、新たなEU Alliance for the Horn of Africa Initiativeに合意しました(記事)。

┏━━━━━━━━━━━┓

– 国際機関関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

  • WFPは、スーダン南部で紛争が拡大しており食糧支援を一時中断せざるを得なくなったと報告しています(記事)。
  • WHOは、デング熱が拡大し5000名以上が死亡しており、これまでデング熱が見られなかった国でも感染が起こる可能性があると警告しています(記事)。
  • UNICEFは、西武と中部のアフリカの子供達の人道支援のために18.9億ドルのアピールを発表しました(記事)。
  • COP28が閉幕し、化石燃料からの移行のためのロードマップが採択されました(記事)。
  • ユニセフは、世界中の9400万人の子供への緊急支援のために93億ドルのアピールを発表しました(記事)。
  • UNMISSの代表は、南スーダンが来年末に選挙を実施するには厳しい状況にあるとコメントしています(記事)。
  • ユニセフは、新型コロナ禍でのワクチン忌避の広まりにより欧州・中央アジアで麻疹が拡大していると報告しています(記事)。
  • ユニセフは、複合危機が続くレバノンで子供の不就学や児童労働が増加していると報告しています(記事)。
  • OECDは、新報告書「図表でみる年金2023年版(Pensions at a Glance 2023)」を発表しました。その中で、OECD諸国では65歳以上人口の割合が2050年までに27%に達すると予測、高齢者の雇用と雇用可能性の促進は、年金制度の持続可能性を確保し、労働力不足に対処するための重要な鍵を握っていると指摘しています(記事)。
  • 国際通貨基金(IMF)は、同サイト上で、AIのマクロ経済学と題した記事を掲載しています(記事
  • 世界銀行は、総額3,500万ドルの支援パッケージの一環として、衝突の影響を受けたガザ地区の人々への緊急援助活動に新たに2,000万ドルを提供すると発表しました(記事)。
  • 世界銀行は、報告書「International Debt Report国際債務報告書」の最新版を発表しました。その中で、世界的に40年ぶりの金利上昇が進む中、2022年、途上国による公的対外債務と公的保証債務の返済額は過去最高水準となる4,435億ドルに達したと、指摘しています(記事)。
  • アジア開発銀行(ADB)は、中国とインドの堅調な内需が予想を上回る成長をけん引したことを受け、アジア・太平洋地域の開発途上国の経済見通しを上方修正しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、カメルーンの電力セクター改革支援を目的とした7400万ユーロの融資を承認しました(記事)。
  • アフリカ開発銀行は、ペルーのプノ地域の水衛生セクター支援のための条件ローンを承認しました(記事)。

┏━━━━━━━━━━━┓

– シンクタンク・NGO関連 –

┗━━━━━━━━━━━┛

  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家は、COP28の成果や今後の課題について解説しています(記事)。
  • 英ODIも、COP28の成果と課題をHPで総括しています(記事)。
  • 英ODIは、途上国における気候変動への適応のための資金調達についての報告書を発表しました(記事)。
  • 英サセックス大学IDSは、HPで開発分野の1年のレビューを行っています(記事)。
  • Oxfamは、22億ドルのプレッジがなされた難民フォーラム閉幕に際してコメントを発表しています(記事)。
  • Oxfamは、COP28閉幕に際してコメントを発表しています(記事)。
  • Save the Childrenは、アフガニスタンで3人に1人の子供が危機的な水準の飢餓状態にあると報告しています(記事)。
  • Save the Childrenは、紛争下での子供の暴力が前年比で13%も増加したと分析した報告書を出版しました(記事)。
  • Save the Childrenは、ガザ地区で一日当たり1万2千人の子供が避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

ワシントンDC開発フォーラム「情報サービス(dev-info)」と

「メーリングリスト(devforum)」

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

ワシントンDC開発フォーラムでは、本フォーラムの開催する勉強会等のイベント関連情報 (案内・レジュメ・議事録)をはじめとする活動情報に加え、グローバルな途上国の開発関連情報と日本の取り組みに関する最新の情報を、「DC開発フォーラム 情報サービスメールマガジンDev-info」として、電子メールにて隔週で配信しています。

[バックナンバー]

2002年7月以降の全てのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。

[メール配信登録]

本情報サービスの配信をご希望の方は、こちらからご登録ください。

[記事掲載依頼]

本情報サービスへの記事掲載をご希望の方は、こちらまでご相談ください。

[登録解除]

本サービスの登録解除をご希望の方はこちらに空メールを送り解除いただきますようお願い致します。

[情報交換メーリングリスト]

本フォーラムでは、毎回のBBLについての意見交換の他、より広くグローバルな開発戦略と日本の関わりに関する 意見交換や情報交換を行うために、「ワシントンDC開発フォーラム・メーリングリスト(devforum)」を運営しています。参加をご希望の方は、こちらのフォームより参加申請を行ってください。

[DC開発フォーラム全般に関するお問い合わせ]

登録に際するエラーや、dev-infoやdevforumをはじめ、DC開発フォーラムの活動についてご質問・ご意見等ございましたら、お気軽にこちらまでご連絡いただけますと幸いです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

編集担当:小林隼人/荘所真理/畠山勝太/伊藤千春/石野瑠花/浅海誠/砂原遵平

発行:ワシントンDC開発フォーラム

DC開発フォーラムHP: http://www.devforum.jp/

Facebookページ:    http://on.fb.me/rtR9Le

twitterアカウント: @DC_dev_forum

2023年12月26日発行