【dev-info】 2024年5月28日号(国連諸機関、パレスチナのラファからの避難民が2週間で81万人を超えたと報告 他)

2024年5月28日発行 http://www.devforum.jp/

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「Concessional Financingと国際協力のただならぬ関係」(世界銀行 日本理事室/ワシントンDC 大谷 壮矢(おおたに そうや))

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

  • 国際協力機構(JICA)は、G7各国の開発金融機関等とともに、気候変動や食料安全保障をはじめとする地球規模の複合的危機に対して、協調して対応していく旨の共同声明を発表しました(記事)。
  • 国連諸機関は、パレスチナのラファからの避難民の数が2週間で81万人を超えたと報告しています(記事)。   他

【3】GRIPS開発フォーラム

  • 新・東アジアの開発経済学
  • 「これから」の国際協力を議論 PREX x JICA関西シンポジウム報告

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「Concessional Financingと国際協力のただならぬ関係」(世界銀行 日本理事室/ワシントンDC 大谷 壮矢(おおたに そうや))

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開発金融の世界で仕事をしていると、よく「Concessional Financing」という言葉に出くわします。日本語では「譲許的融資」などと言われるものです。今回は国際協力とこの「Concessional Financing」の関係について、少し深掘りしてみたいと思います。

通常、金融機関から借り入れを行う場合、必ず金利というものが発生します。自動車ローンや住宅ローンなどをイメージしてもらえればわかりやすいですが、こうした借り入れは短期間でのまとまった出費を抑えられる一方で、その分返済総額は本来の金額よりも大きくなってしまいます。世銀などの開発金融機関の融資も例外ではなく、通常の市場レートに比べれば多少緩やかではあるものの、基本的に金利が伴います。

こうした利息は、借入国側からすると実は大変な負担となります。例えば、A国が自国の教育セクター強化のために、世銀から4億ドルを借りたとします。IBRDの金利を5.5%ぐらいと仮定して、例えば返済期間35年で借りた場合、利息はなんと3億ドル(!)近くまで膨れ上がります。IBRDの融資はある程度経済力のある中所得国が対象とは言え、借入国政府としてはとてつもなく大きな決断を伴うと言えます。こうした負担を軽減するべく、低所得国を対象としたIDAでは、この金利がぐっと抑えられています。現在のレートで約1.4%。「ゼロじゃないのか」と思われるかもしれませんが、借入期間中の物価変動を加味すれば、ほぼゼロに近いレートと言えます。これにより、同じ借入でも、借入国政府の負担はグッとさがるというわけです。これが、「Concessional Financing」と言われるものです。

最近では、こうした金融手段を活用した新しい取り組みもあります。世銀に設置されたGlobal Concessional Financing Facility(GCFF)では、難民受け入れを行う中所得国に対し、支援対象のプロジェクトが難民の人たちにも裨益することを条件に、利息分のコストを肩代わりするという取り組みを行っています。これにより、借入国は、(中所得国にも関わらず、)実質的にIDAから借りているかのような金利でIBRDの融資を受けることができるようになります。こうした取り組みは、借入国だけでなく、国際社会全体にもメリットをもたらします。というのも、多くの難民受け入れ国では、自国民の生活を守ることで手一杯となるあまり、難民対策の優先度が相対的に下がってしまうケースが多く見られます。こうした国に対して、国際社会としてGCFFを通じて資金を流すことで、難民受け入れによる財政的負担を分散させると同時に、受け入れ国の難民政策を間接的に後押しすることができるのです。

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘こちら までご連絡ください。

 

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– 日本関連 –

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  • 第33回欧州復興開発銀行(EBRD)は年次総会を開催しました。日本国総務演説が外務省サイト上に公開されています(記事)。

 

  • ブータン王国日本国特命全権大使との間で、2件の無償資金協力(「モンガル県における主要国道一号線橋梁架け替え計画(供与限度額:16.34億円)、人材育成奨学計画(供与限度額:2.04億円)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。

 

  • 国際連合人間居住計画事務局長室官房長との間で、9億400万円を供与額とするシリアに対する無償資金協力「アレッポ及びホムスにおけるインフォーマルな居住地の住環境改善計画(UN連携/UN-Habitat実施)」に関する交換公文の署名が行われました(記事)。

 

  • キリバス共和国漁業海洋資源開発省代表代行との間で、キリバスに対する無償資金協力「経済社会開発計画」(医療機器及び浚渫船の追加供与)に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。

 

  • 国際協力機構(JICA)は、G7各国の開発金融機関等(フランス開発庁(AFD)、フランス経済協力振興投資公社(PROPARCO)、英国国際投資公社(BII)、イタリア預託貸付公庫(CDP)、カナダ開発融資機関(FinDev Canada)、ドイツ復興金融公庫(KfW)、米国国際開発金融公社(USDFC)、欧州投資銀行(EIB)、欧州開発金融機関協会(EDFI)、国際協力銀行(JBIC)及びJICA)とともに、気候変動や食料安全保障をはじめとする地球規模の複合的危機に対して、協調して対応していく旨の共同声明を発表しました(記事)。

 

  • 国際協力機構(JICA)は、ブータン王国政府との間で「モンガル県における主要国道一号線橋梁架け替え計画」を対象として16億3,400万円を限度とする無償資金協力の贈与契約を締結しました(記事)。

 

  • 外務省は、9か国(アンゴラ、ウガンダ、カメルーン、カンボジア、コソボ、チャド、バルバドス、マラウイ、モーリタニア)の国別開発協力方針(案)に関する意見を募集しています(記事)。

 

  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

 

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 英国は、カタールに避難しているパレスチナ人への医療サービス提供などの支援を行うことを発表しました(記事)。
  • AFDは、2023年の年次報告書を発表しました。グループ全体で110億ユーロ以上の新規プロジェクトへの融資、気候変動対策への融資コミットメントが25%増加、生物多様性目標を2年前倒しで達成などの成果を報告しています(記事)。

 

  • 欧州連合(EU)とネパールは、農村部の電化を支援する新たな事業を開始しました(記事)。

 

  • USAIDは、気候変動対策、食糧安全保障、若者のエンパワーメントを推進するため、モロッコとの新たなパートナーシップを発表しました(記事)。

 

  • 米国ミレニアム・チャレンジ公社(MCC)はケニア政府との間で、同国都市モビリティと成長に関する、6,000万ドルの事業を開始しました(記事)。

 

  • カナダ政府は、シリアにおける人道支援資金として5,540万ドルの拠出を発表しました。これにより、カナダは2024年にシリアと近隣諸国に対する国際支援資金として、総額1億4,715万ドルを拠出することになります(記事)。

 

  • 豪州政府は、カナダ、EU、韓国、マルタ共和国、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、英国、米国と共に、ミャンマーにおける紛争の激化、特に民間人への被害の拡大に対する深い懸念について、共同声明を発出しました(記事)。

 

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– 国際機関関連 –

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  • 国際通貨基金(IMF)は、同サイト上で「女性のエンパワーメントが日本と韓国の出生率と経済成長を押し上げうる」と題したブログを公開しています(記事)。

 

  • 世界銀行は、カンボジアのよりよい雇用のための4千万ドルのスキルプロジェクトを承認しました(記事)。

 

  • アジア開発銀行(ADB)とマスダール(Abu Dhabi Future Energy Company PJSC – Masdar)は、ウズベキスタンのブハラ州に位置するヌル・ブハラ・グリーンフィールド太陽光発電所および電池エネルギー貯蔵システムの施設建設に向けて、4,650万ドルの融資契約に調印しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行はケニアで年次総会を開始しました(記事)。

 

  • ユニセフは、ウクライナでの戦争で子供の死者数が2千人を超えたと報告しています(記事)。

 

  • IDMCは、2023年の国内避難民の数は約7600万人であったと報告しています(記事)。

 

  • 国連諸機関は、パレスチナのラファからの避難民の数が2週間で81万人を超えたと報告しています(記事)。

 

  • WFPは、南部アフリカを干ばつが襲っており、マラウイ・ジンバブエ・ザンビアの約500万人を支援するために約4億ドルが必要だと報告しています(記事)。

 

  • ユニセフは、ハイチで約4割の医療機関が機能しておらず、医療システムが崩壊の危機に瀕していると報告しています(記事)。

 

  • WHOは、新型コロナにより世界の平均寿命が1.8歳縮み、10年分以上の健康面の進展が吹き飛んだことになると報告しています(記事)。

 

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • Oxfamは、イスラエルに関する南アフリカの訴えを支持した国際司法裁判所の判断に対して賞賛のコメントを表明しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、EUが域内で活動する大企業に対してデューデリジェンスの際に子供の人権を考慮することを義務付けたことに賞賛のコメントを表明しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、洪水に見舞われたアフガニスタンで4万人の子供が住居を追われたと報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、ブルキナファソで食糧支援が行われなければ飢餓に瀕する子供の人口が4倍に増加しかねないと報告しています(記事)。

 

  • 英ODIは、ナイジェリア北東部の教育についての報告書を発表しました(記事)。

    ●英国の開発系NGOネットワークBONDは、開発コミュニケーションを再構築する新しいアプローチを発表しました(記事)。

    ● 2024年5月24, 25日に、オックスフォード大学でアフリカカンファレンス2024が開催され、ケニアのオディンが元首相が基調講演を行うなど、2日間にわたり活発な議論が交わされました(記事)。

    ● 持続可能な開発に関する国際研究所(IISD)は、人的資本、自然資本、生産資本、金融資本、社会資本など様々な資本に基づいたエチオピア、インドネシア、トリニダード・トバゴの総合的な富についての報告書を発表しました(エチオピアインドネシア。、トリニダード・トバゴ)。

 

  • 世界経済フォーラムは、旅行・観光業に関する新しい調査結果を公表しました。同報告によると、COVID-19関連の渡航制限の解除と需要の掘り起こしにより、国際観光客の到着数と旅行・観光業の世界GDPへの貢献は今年、パンデミック以前の水準に戻ると予想されています(記事)。

 

  • アジア財団は、ベトナムにおける女性起業家を中心とした新たなビジネス支援事業を開始しました(記事)。

 

  • Centre For Global Developmentは、2024年開発リーダー会議(DLC)に関する概要を公表しました(記事)。

 

  • ブルッキングス研究所は、若者の間で広がる男女格差について記事を公表しました(記事

 

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【3】GRIPS開発フォーラム

  • 新・東アジアの開発経済学

大野健一は四半世紀前に出版した「東アジアの開発経済学」の改定版を出しました。当時と比べると中国の巨大化、日本の長期停滞、デジタルやSDGsの進展など、アジアを取り巻く状況もずいぶん変わりました。

有斐閣のリンク

  • 「これから」の国際協力を議論 PREX x JICA関西シンポジウム報告

太平洋人材交流センター(PREX)機関誌、『PREX NOW』5月号(Vol. 276)で、去る2月7日に開催されたPREX×JICA関西 シンポジウム「世界とともに歩む 国際協力=日本と世界をつなぐヒト・コト」を特集しています。

PREXシンポジウム特集号はこちら

JICAのHP開催報告

 

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2024年5月28日発行