【dev-info】 2024年8月20日号(WHO、mpoxが国際的な公衆衛生の危機であると宣言 他)

2024年8月20日発行 http://www.devforum.jp/

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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info

皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「パラリンピックの裏側で・・・バリアフリー化の進まないパリ」

( JICAパリ事務所 / パリ在住 行澤 隆)

 

【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック

  • エスワティニ王国との間で、16億1,300万円を供与限度額とする無償資金協力「中等学校整備計画」に関する書簡の交換が行われました。また、国連世界食糧計画(WFP)エスワティニ事務所との間で、エスワティニに対するWFPを通じた食糧援助として、供与額2億円の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました(記事)。
  • 世界銀行は、グローバルサウスの雇用危機に対応するためのハイレベル委員会を立ち上げました(記事)。
  • 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、Covid-19の教訓をアフリカにおけるエムポックス流行への対応に生かす必要があると指摘しています(記事)。

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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り

「パラリンピックの裏側で・・・バリアフリー化の進まないパリ」

( JICAパリ事務所 / パリ在住 行澤 隆)

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今パリではパラリンピックへの期待が高まっています。そこで今回はフランスのバリアフリー事情と障がい者の社会進出事情に関して考察してみたいと思います。

パリを歩くとすぐに気づくのが、日本と比較してバリアフリー化が遅れているということ。車椅子同士がすれ違うことのできるような広い歩道があるのは大通りに限られており、通常の通りは歩道があっても人一人がやっと通れる程度の幅しかなく、さらに車がびっしりと縦列駐車されています。また一見優雅な石畳の道も車椅子やベビーカーにとっては便利とは言えません。網の目のように張り巡らされた地下鉄も、バリアフリー化を達成できている駅はパリ交通公団(RATP)によると全体の9%。それもパラリンピック開催を控えてバリアフリー化を加速化させた結果の数値であり、2022年の達成率は3%に過ぎなかったようです。実際に幼児を持つ私の友人は、ベビーカーでの地下鉄移動は実質不可能と言ってバスに乗っています。また、旅行者の大きなスーツケースを周りの人が階段を引き上げるのを手伝っている光景によく出くわしますが、エレベータやエスカレーターがないために周りの人に頼るしかないわけです。

私の肌感覚ではありますが、東京の方がパリよりも街中で障がい者を目にすることが多い印象があります。フランスの労働法では従業員数が20名以上の企業に対しては6%の障がい者雇用比率(日本は40名以上の企業に2%)が定められていることを鑑みると、もっと街中で障害者を見ることがあってもいいのではと思います。障がい者雇用促進のための様々な政策を実施している組織(AGEFIPH)のデータによると、2022年のフランス全国で雇用されている障がい者は全就労人口の約4%。20名以下の企業には障がい者雇用義務がないこと、雇用義務のある企業においても、一定の納付金と引き換えに障がい者雇用義務が免除される制度が用意されているため、障害者雇用が順調に伸びない状況があるようです。

2022年の就労年齢に達した障がい者の失業率は12%で、健常者の失業率約7.2%より高い結果となっています。 フランスはフランス革命を経て基本的人権という概念を世界で初めて提唱した国であり、障がい者の人権を確保する一助となる障がい者雇用制度や差別防止法などが多数制定されています。その一方で、パリのバリアフリー化の遅れに見られるように、ハード面での対応では世界をリードする状況にはありません。今回のパラリンピックでこの現状が広く認識され、誰もがより生活のしやすいパリ、旅行のしやすいパリ、さらには途上国の都市計画のモデルになるパリになっていくことを願うばかりです。

 

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【2】 開発フォーラム新着情報チェック

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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を

|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、

└――┘こちら までご連絡ください。

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– 日本関連 –

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  • エスワティニ王国との間で、16億1,300万円を供与限度額とする無償資金協力「中等学校整備計画」に関する書簡の交換が行われました。また、国連世界食糧計画(WFP)エスワティニ事務所との間で、エスワティニに対するWFPを通じた食糧援助として、供与額2億円の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 日本政府は、エルニーニョの影響による史上最悪規模の干ばつで、深刻な食料不安に直面している南部アフリカ地域のザンビア、ナミビアに対する人道支援として、計250万米ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました(記事)。

 

  • ツバルとの間で、サイバーセキュリティ機材供与のための無償資金協力「経済社会開発計画」(限度額5億円)に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 国際連合女性機関在ウガンダ事務所との間で、供与額5.62億円の無償資金協力「難民居住地及びホストコミュニティにおける女性・平和・安全保障アジェンダ実施計画(UN Women連携)」に関する書簡の交換が行われました(記事)。

 

  • 国際協力機構(JICA)は、キルギス共和国政府との間で、「ビシュケク市内三次病院における医療機材整備計画」及び「国際空港航空交通管制施設整備計画」を対象として、無償資金協力の贈与契約を締結しました(記事)。

 

  • JICAが出資する「アジアインフラパートナーシップ信託基金2 (Leading Asia’s Private Infrastructure Fund 2: LEAP 2)」を活用し、アジア開発銀行が、ジョージアにおいて水道事業を運営するGeorgia Global Utilities JSCの発行するグリーンボンドに投資しました(記事)。

 

  • JICAでは、社会人採用(2025年1月~4月入構)の応募を受付中です(締切9月16日)(記事)。

 

  • 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。

 

  • 平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業の令和6年度「プライマリー・コース」日本人研修員の募集が開始されました(締切9月19日)(記事)。

 

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– バイ・ドナー関連 –

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  • 米国は南スーダンに対する約9500万ドルの追加人道支援を発表しました(記事)。

 

  • 米国ミレニアム・チャレンジ・コーポレーション(MCC)CEOは6億4900万ドルのインドネシア・インフラ・金融コンパクトの立ち上げを発表しました(記事)。

 

  • カナダは、フェミニスト外交政策およびフェミニスト国際援助政策に基づき、アフリカ大陸におけるパートナーシップに対するカナダのアプローチについて、公開協議を行うことを発表しました(記事)。

 

  • モンテネグロにおける、欧州連合(EU)とUNDPの20年間にわたるパートナーシップの成果がHPで紹介されています(記事)。

 

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– 国際機関関連 –

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  • 国際通貨基金(IMF)は同サイト上ブログの中で、「債務返済の増大によって多くの国で切実に必要とされる投資の余力が低下している中、財政余地を拡大し、十分な国際支援を維持し、債務返済コストを削減するために緊急の行動が求められている」と指摘しています。IMFと世界銀行は、低所得国や他の脆弱国が成長の支援と強靭性の構築のために政府予算の余地を拡大すべくそうした圧力の管理に取り組むのを支援するために、共同で行動パッケージを提案していると紹介しています(記事)。

 

  • 世界銀行は、グローバルサウスの雇用危機に対応するためのハイレベル委員会を立ち上げました(記事)。

 

  • アジア開発銀行は、タジキスタンの母子保健を支援するための3000万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。

 

  • アフリカ開発銀行は、アルジェリアの国別フォーカスレポートを発表し、2024年のGDP成長率は3.7%、2025年は4%であると報告しています(記事)。

 

  • 米州開発銀行は、エクアドルのマクロ安定化支援を目的とした5億ドル融資を承認しました(記事)。

 

  • 世界銀行は、日本人を対象とした2024年世界銀行グループリクルートミッションの応募を開始しました(締切9月16日)(記事)。

 

  • WFPは、ジンバブエでエルニーニョによる気候変動により760万人が食糧不足に陥る恐れがあると報告しています(記事)。

 

  • UNHCRは、スーダンで避難民が洪水に見舞われており、更なる避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。

 

  • ILOは、若年失業率が15年ぶりの低い水準になったものの、地域によって大きな差があると報告しています(記事)。

 

  • WHOとユニセフは、ガザ地区でポリオが蔓延する恐れが高いと警告しています(記事)。

 

  • ユニセフは、気候変動が子供に与える影響を分析した報告書を出版しました(記事)。

 

  • WHOは、mpoxが国際的な公衆衛生の危機であると宣言しました(記事)。

 

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– シンクタンク・NGO関連 –

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  • Save the Childrenは、アフガニスタンで2024年に入ってから気候変動の影響で家を追われた人数が既に2023年のそれを超えたと報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、ウクライナの紛争による子供の死傷者数が今年に入って40%も増加していると報告しています(記事)。

 

  • Save the Childrenは、ハイチで紛争により毎週5人の子供が死傷していると報告しています(記事)。

 

  • 複数の人道支援NGOが、イエメンで拘束された人道支援関係者を開放するように訴えています(記事)。

 

  • 自治体とNGOの国際協力活動を支援する「自治体国際協力促進事業(モデル事業)」の募集が始まりました、締切は10月末(記事)。

 

  • アジア財団は、2024年度のウィリアム・P・フラー平和構築フェローを発表しました(記事)。

 

  • ブルッキングス研究所はイベント「プリゴージン死去から1年、アフリカにおけるワグナー・グループとロシア」を開催します(記事)。

 

  • RIETIは、同研究所の成果普及・広報活動に係る業務を行う非常勤職員を募集しています(記事)。

 

  • JETROアジア経済研究所は、研究職(研究マネージメント業務担当)を募集しています(記事)。
  • 英経済問題研究所は、英国のODIの一部が、英国の一部地域よりも豊かな地域に費やされていることを指摘する報告書を発表しました(記事)。

    ●英ODIは、アフリカの貿易と工業化のグリーン化についての報告書を発表しました(記事)。

    ●英NGOネットワーク・ボンドは、効果的な紛争解決と平和構築へのロードマップと題したブログ記事を公開しました(記事)。

    ●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、バングラデシュの政変についてコメントしています(記事)。

    ●同じくチャタムハンスの専門家が、Covid-19の教訓をアフリカにおけるエムポックス流行への対応に生かす必要があると指摘しています(記事)。

 

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