2024年10月29日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
「効果的なコミュニケーションとは」中山愛美(ワシントンDC)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
レバノン情勢の影響によるシリアにおける人道状況の悪化を受けて、日本政府はUNHCR及びWFP等を通じ、人道支援を実施(記事)
英国、EU、カナダは、ミャンマーの軍事政権およびその関係者に対する新たな制裁措置を発表(記事)
UNDPは、イスラエルの侵攻によりガザの発展が70年遅れたと分析(記事)
Oxfamは、世界銀行の環境分野における投資のうち、40%程度の金額が不十分な記録により監査することが出来ないと報告(記事) 他
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
タイトル:効果的なコミュニケーションとは
執筆:中山愛美(ワシントンDC)
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ワシントンDCでの生活も4年目になり、現在、私は中南米・カリブ地域のクライアントに対して技術協力や投融資業務を行っています。日々、多様な文化的背景を持つ同僚たちと仕事をする中で、コミュニケーションの難しさを感じることが多くあります。世代も国籍も異なる環境で働くなか、単に言葉が通じれば良いわけではなく、こちらの意図が相手に正確に伝わっているか不安に感じる場面が少なくありません。
私は元々、日本で市場調査や財務助言業務をしてきたこともあり、物事を正確かつ詳細に説明することに重きを置いてきました。例えば、会議中に提案や説明を行う際も、できるだけ多くのデータや根拠を盛り込むよう心掛けているのですが、その結果、情報を端的に伝えられず、必要以上に細かく説明してしまう傾向があり、ある時ふと「果たして相手にしっかり伝わっているのだろうか?」と不安に感じるようになりました。
そんな中、先日、日本に一時帰国した際、本屋さんで出身大学の教授である今井むつみ先生の『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』という本が目に留まりました。この本は、まさに「どうして上手く伝わらないのか」にフォーカスし、認知科学や言語学の視点から効果的に伝えるポイントを探っているものでした。例えば、同じ単語を使っても、相手の経験や背景が異なると概念のズレが生じることがあり、この違いを意識せずに説明しても「何度説明しても伝わらない」状況に陥ってしまう原因とされています。
また、本書では「スキーマ(schema)」の重要性についても説明されていました。スキーマとは、情報を理解するための枠組みやひな型のようなもので、私たちは新しい情報に出会うと無意識にこのスキーマを参照し、自分の既存の知識と照らし合わせながら理解しようとするそうです。そのため、効果的に情報を伝えるためには、相手の立場や先入観、感情などを考慮し、相手がどのような理解の枠組みを持っているのかというスキーマに寄り添って話をすることで、共有の理解の基盤を築きやすくなるとのことでした。
なんとなく分かっているつもりでしたが、同書を読んでいると改めて理解が及んでいなかったなと痛感しました。実践して自分のものにするのは容易ではないですが、まずは意識するところから始めて、常に謙虚な姿勢でコミュニケーションに臨むよう心がけたいと思います。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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- UN Women (The United Nations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women))との間で、供与額3.96億円の無償資金協力「ハイチ共和国平和及び社会的結束のための女性のリーダーシップ向上計画(UN Women連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- レバノン情勢の影響によるシリアにおける人道状況の悪化を受けて、日本政府は、新たに1,000万米ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及び国連世界食糧計画(WFP)等を通じ、生活必需品、食料、水・衛生等の分野で人道支援を実施します(記事)。
- 際連合人口基金(UNFPA)在バングラデシュとの間で、5億円を供与額とする対バングラデシュ無償資金協力「コックスバザール県及びノアカリ県におけるミャンマーからの避難民及びホストコミュニティのための女性・平和・安全保障アジェンダ推進計画(UNFPA連携)」に関する交換公文の署名・交換が行われました(記事)。
- 国際協力機構(JICA)は、エクアドル電力公社との間で、「チャチンビロ地熱開発事業(フェーズⅠ)」を対象として、円借款貸付契約に調印しました(記事)。
- 外務省はオンライン国際機関就職セミナー「ナイロビで働く」を11月20日に開催します(記事)。
- 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
- 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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- 英国、EU、カナダは、ミャンマーの軍事政権およびその関係者に対する新たな制裁措置を発表しました(記事)。
- シリアの人道部隊「ホワイト・ヘルメット」の活動10周年にあたり、英国や米国など同組織を支援する国際ドナーが声明を発表しています(記事)。
- デンマークは、SDGs投資ファンド第2ラウンドを立ち上げます。2018年に創設された第1ラウンドでは、27件総額5億ユーロの投資が行われ、4万の雇用を創出するなどの成果を挙げています(記事)。
- 欧州委員会のウルピライネン委員(国際パートナーシップ担当)はエチオピアを訪問し、アフリカ連合との関係強化を図りました。EUとAUのパートナーシップは、来年25周年を迎えます(記事)。
- 欧州連合(EU)は、世銀IMF年次総会において、IMFのグローバルな財政パートナーシップ(GPFP)への1500万ユーロの拠出など持続可能な開発に向けた様々な大投資を発表しました(記事)。
- USAID長官は世界銀行と会談し、バングラデシュ、ブータン、インド、スリランカにおける鉛汚染の影響を緩和するためのUSAID・世界銀行の協力を含む開発優先事項に関する調整について議論を行いました(記事)。
- 米国MCC及びザンビアは、農業セクター振興のため4億9100万ドルの協定に調印しました(記事)。
- カナダ政府は、途上国の小規模金融機関を支援するため2940万ドルの資金拠出を発表しました(記事)。
- 豪州政府は、オーストラリアの人道支援活動の長期的な方向性と焦点を定める「人道支援方針」を発表しました(記事)。
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– 国際機関関連 –
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- WFPは、ハイチで約540万人が急性の栄養不良状態にあるが、支援に必要な約5億6千万ドルのうち、42%しか資金が集まっていないと報告しています(記事)。
- UNICEFは、ポリオに感染した子供の85%は紛争国や脆弱国に住んでいると分析しています(記事)。
- 国連は、女性と紛争に関する報告書を出版し、8つの政策的示唆を提言しています(記事)。
- UNEPは、温室効果ガスの排出状況に関する年次報告書を出版しました(記事)。
- UNFPAは、ロシアの侵攻が始まった2014年以来、ウクライナの人口が1千万人減少したと報告しています(記事)。
- UNDPは、イスラエルの侵攻によりガザの発展が70年遅れたと分析しています(記事)。
- UNDPなどは、世界の貧困人口11億人のうち半数近くは紛争地に住んでいると分析しています(記事)。
- UN Womenは、社会保障へのアクセスの男女差を分析した報告書を出版しました(記事)。
- UNICEFは、栄養食品による支援を拡大するために1億6500万ドルの資金を必要としています(記事)。
- 国際貿易機関、IMF、OECD、国連貿易開発会議、世界銀行の5つの国際機関は、気候変動に関する共同レポート“Working Together for Better Climate Action: Carbon Pricing, Policy Spillovers, and Global Climate Goals,”を発表しました(記事)。
- IMFは世界経済見通し最新版を発表しました(記事)。
- 世界銀行はジェンダー戦略2024-2030を発表しました(記事)。
- 世界銀行はハイチの持続可能なエネルギー政策を支援するための2000万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
- アジア開発銀行は、アジア・太平洋地域の対象プロジェクトに資金提供を行うため、生物多様性・自然保護テーマ債を初めて発行しました(記事)。
- アジア開発銀行は、自己資本規制水準を強化し貸出能力を向上させる目的で、アフリカ開発銀行と10億ドル、米州開発銀行と15億ドルのソブリン向けエクスポージャー交換協定に署名しました(記事)。
- アジア開発銀行は、新たなコーポレートのモニタリング指標、枠組みなどを承認しました(記事)。
- アフリカ開発銀行は、モザンビークの最初の風力発電プロジェクト(5400万ドル)を承認しました(記事)。
- 米州開発銀行は、ラテンアメリカ、カリブ海地域の官民連携インフラ開発に関する報告書”Infrascope 2023/2024”を発表しました(記事)。
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– シンクタンク・NGO関連 –
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- 英ODIは、気候変動が島嶼国に与える影響についての報告書を発表しました(記事)。
- 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、11月の気候変動COP26を展望する報告書を発表しました。ホスト国であるアゼルバイジャンの経済は化石燃料に依存しており環境保護活動の経験も浅く、大きなリーダーシップを発揮することは難しいとしています(記事)。
- 英NGOネットワークBondは、国際開発における人々の安全の確保についての記事を公開しました(記事)。
- Oxfamは、世銀・IMFのローンを受けた殆どの国が医療や教育への政府支出を削減していると分析しています(記事)。
- Oxfamは、世界銀行の環境分野における投資のうち、40%程度の金額が不十分な記録により監査することが出来ないと報告しています(記事)。
- Oxfamは、ビリオネアが90分間で排出する炭素の量は、平均的な人の一生分に匹敵すると報告しています(記事)。
- 52のNGOは、イスラエルのガザ侵攻に対して共同声明を発表しています(記事)。
- Save the Childrenは、西部・中央アフリカを襲った構図により1千万人の子供が不就学になっていると報告しています(記事)。
- Save the Childrenは、紛争と餓死の関係を分析した報告書を出版しました(記事)。
- Oxfamは、G20の財務大臣会合に対してコメントを発表しました(記事)。
- グローバル開発センターは10月31日、元USAID長官ゲイル・スミス氏(2015-2017年)及びマーク・グリーン氏(2017-2020年)を招き、米国の対外援助効果について議論を行います(記事)。
- グローバルインフラストラクチャー研究財団は、2024年11月28日(木)14時~15時半に、オンラインセミナー「神々の島バリの多文化共生:インドネシア国内移民との共存の物語」を開催します(記事)。
- 世界経済フォーラム第4回年次都市変革サミットは、ビジネスリーダーや政策立案者が集い、地政学的状況の変化において重要性を増す都市の役割について議論しました(記事)。
- RIETIは、非常勤職員の募集を公表しました(記事)。
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2024年10月29日発行