2024年12月24日発行
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス
-(dev-info)-
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】ワシントンDC開発フォーラム便り
荻田聡(世界銀行/シンガポール在住)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
「コックスバザール県及びバシャンチャール島におけるミャンマーからの避難民及びホストコミュニティのための生活改善計画(IOM連携)」に関する書簡の署名・交換(記事)
米国は、スーダンに約2億ドルの追加人道支援を発表(記事)
UNRWAは、ガザでの戦死者の数が45000人を超えたと報告(記事)
シリアの課題は、2011年にリビアが直面した課題よりもさらに大きいと、チャタムハウスの専門家が指摘(記事) 他
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
執筆:荻田聡(世界銀行/シンガポール在住)
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2024年も残りわずかになってしまいました。みなさんこの一年をどのように過ごされましたでしょうか?私は去年シドニーからシンガポールに引っ越し、こちらでの生活もようやく落ち着いて軌道に乗ってきたところです。
昨年のDevinfoではツバルの空港について書きましたが、今年もまたツバルのことを書きたいと思います。今回は海上交通の話です。
ツバルという単語は「8つの島」という意味があり、かつては8つの有人島で構成されていました。現在は人が住む島が1つ増えて9つの島があります。多くはサンゴ環礁の島です。首都があるフナフチ島以外の離島には空港はありません。よって唯一の交通手段は海上交通手段であるフェリーのみで、食料や燃料など生活に必要なほとんどの物資がフェリーで離島に運搬されています。離島はフナフチから100-500㎞ほど離れており、一番近い島でも5時間、一番遠い島までは2日間かかります。フェリーは2-6週間おきの不定期の運航でいつ次の便が来るかは直前までわかりません。運行中のフェリーも老朽化が激しく、来年にはADBの支援による新しい日本製フェリーの運航が開始される予定です。
海上運輸にて大きな障害となっているのは港湾施設です。離島へのフェリーは全長60mほどありますが、この大きさの船が直接接岸できる埠頭はどの離島にもありません。そこでフェリーは離島につくと海岸から100mほど離れた海の上で停泊し、フェリーと一緒に運ばれてきた長さ10mほどの小さなボートをクレーンで海に降ろし、そこに乗客や荷物をまず載せてからボートで離島に接岸します。離島に着くごとにこのような作業をするので時間がとてもかかりますし、波が高いときはフェリーからボートへの乗り換えは大変危険で過去には荷物が水中に落下したり死亡事故も起きており文字通り命がけです。
私が担当している世界銀行の案件では離島の港湾の改良工事を行う予定です。ただ大型フェリーが直接接岸できるような施設は非常に高価でかつサンゴ礁など環境への悪影響を伴います。現在は小型ボートが着岸する施設すらも不足していることから、まずは小型ボートが安全に接岸できる施設を計画しています。フェリーからボートへの危険な乗り換えは依然として残りますが、これも安全な乗り換えができるような改善策を調査し実施する予定です。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘devinfo.mailmagazine@gmail.com までご連絡ください
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– 日本関連 –
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- バングラデシュ人民共和国との間で、供与額5億円の対バングラデシュ無償資金協力「第四次初等教育開発計画」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- 世界食糧計画カメルーン事務所代表との間で、供与額2億円の無償資金協力「カメルーン食糧援助(WFP連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- 外務省、国際協力機構(JICA)、国際連合開発計画(UNDP)の共催で、国連大学ウ・タント国際会議場において、国際協力70周年記念シンポジウムがハイブリッド開催されました(記事)。
- 国際移住機関(IOM)在バングラデシュ事務所代表との間で、供与額5億円の無償資金協力「コックスバザール県及びバシャンチャール島におけるミャンマーからの避難民及びホストコミュニティのための生活改善計画(IOM連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- JICAは、2024年9月に募集した中小企業・SDGsビジネス支援事業について、合計57件の採択を決定しました(記事)。
- 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
- 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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- USAID、ソマリアの食料安全保障を支援するために2900万ドルの追加拠出を発表しました(記事)。
- 米国は、スーダンに約2億ドルの追加人道支援の発表を行いました(記事)。
- 米国ミレニアム・チャレンジ・コーポレーション(MCC)は、12月18日に開催された四半期会合で、リベリアを新たなパートナー国として選出しました(記事)。
- カナダ政府は、カリブ海地域の包摂的で持続可能な経済に貢献する労働力の構築を支援するため、カリブ海未来技能基金を設立し、最大300万ドルの拠出を発表しました(記事)。
- 豪州・パプアニューギニア二国間安全保障協定が発効しました(記事)。
- 英国は、シリアに対する5000万ポンドの人道支援を発表しました(記事)。
- 英国は、フィジー、ソロモン諸島、サモアにおけるソーシャルメディアの利用や人権、民主主義についての報告書を発表しました(記事)。
- AFDは、12月3日に世銀、カザフスタンと共催したOne Water SummitについてHPで報告しています(記事)。
- GIZは、シリアにおける人道支援活動についてHPで紹介しています(記事)。
- 欧州委員会(EC)は、コンゴ民主共和国(DRC)との原材料に関する戦略的パートナーシップのロードマップを承認しました(記事)。
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– 国際機関関連 –
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- OECDは、成人のスキルに関するサーベイ”Survey of Adult Skills”の結果を公表し、OECD諸国の成人読解、数学力は低下または低迷傾向にあると指摘しています(記事)。
- 世界銀行は、2025年1月に報告書「世界経済見通し(Global Economic Prospects)」を発表予定です。その中で、経済成長率の持続的な上昇がない限り、わずか6カ国しか「低所得国」から「中所得国」へ移行できない見通しであると指摘しています(記事)。
- 世界銀行は、ウクライナの経済、財政安定支援を目的とした、10億5000万ドルの財政支援を承認しました(記事)。
- アジア開発銀行は、報告書「アジア経済見通し(Asian Development Outlook)」を発表しました。その中で、アジア・太平洋地域の経済成長は今年と来年にかけて安定的に推移する見通しだが、トランプ次期大統領政権下で見込まれている米国の政策変更が、同地域の長期的な経済見通しに影響を与える可能性があると指摘しています(記事)。
- アジア開発銀行とカタール政府は、学校に通っていない子どもを支援するための1億ドルの教育基金を立ち上げました(記事)。
- アフリカ開発銀行は、ザンビアの経済的ガバナンス支援を目的とした1.08億ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
- アフリカ開発銀行は、コートジボアールの若者雇用促進を支援するための1.39億ユーロのプロジェクトを承認しました(記事)。
- 米州開発銀行は、アルゼンチンの公共財政管理支援を目的とした6000万ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
- UNRWAは、ガザでの戦死者の数が45000人を超えたと報告しています(記事)。
- 国連諸機関は、二度の地震に見舞われたバヌアツの支援を進めています(記事)。
- ILOは、移民労働者の統計を更新し、世界の労働者の5%弱は移民労働者であると報告しています(記事)。
- UNICEFは、モザンビークの紛争地にサイクロンが襲来し、9万人の子供に影響が出ていると報告しています(記事)。
- UNICEFは、出生登録状況は改善しているものの、依然として1億5千万人が登録されていないままだと報告しています(記事)。
- UNODCは、新型コロナ禍で一時減少した人身売買の件数が、貧困・紛争・気候変動により再び上昇したと分析しています(記事)。
- WHOは、政府の医療支出が全世界的に減少した事を分析した報告書を出版しました(記事)。
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– シンクタンク・NGO関連 –
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- ブルッキングス研究所は、今後4年間の中国による中東戦略の予測に関する記事を発出しました(記事)。
- 世界経済フォーラム(WEF)が発表した新レポートは、製造業やサプライチェーンへの投資において立地が魅力的となる要因を特定するための包括的な枠組みを、政府や企業に提供しています(記事)。
- JETROアジア経済研究所は、1月16日、オンライン講座「政治的変化を求めたスリランカ――2024年大統領・国会議員選挙から分かること――」を開催します(記事)
- RIETIは常勤研究員(政策エコノミスト)の公募のお知らせを公表しています(記事)。
- 企業向けツール「公正な社会の実現に向けた対話のためのチェックシート」が公開されました(記事)。
- 英ODIは、島嶼開発途上国をめぐる地政学的競争や2国間援助などの状況についての報告書を発表しました。(記事)。
- ODIは、トルコの石炭産業が直面する低炭素化リスクについての報告書を発表しました(記事)。
- 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家は、シリアの課題は、2011年にリビアが直面した課題よりもさらに大きいと指摘しています(記事)。
- 英IIEDは、2024年に発表した報告書のハイライトをHPで紹介しています(記事)。
- ロンドン大学LSEで、選挙の年を終えての民主主義の現状をテーマに開催されたイベントの記録が公開されています(記事)。
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「メーリングリスト(devforum)」
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2024年12月24日発行