2025年2月4日発行 http://www.devforum.jp/
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「AU委員長選挙・南アG20・TICAD9 ― 2025年、アフリカはどう動くのか」 砂原遵平(アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD))
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
- ブリュッセルで開催されたEU宇宙会議において、欧州委員会(EC)は「アフリカ-EU宇宙パートナーシップ計画」を発表しました。1億ユーロを投じて、EUとアフリカの宇宙協力を深化させます(記事)。
- アジア開発銀行は、「Asian Development Outlook(アジア経済見通し)」の最新版を発表しました。その中で、米国の貿易、財政、移民政策の変更が、アジア・太平洋地域の開発途上国における成長を鈍化させ、インフレ圧力を高める可能性があると指摘しています(記事)。
- 英ODIは、人道主義の罠と題した報告書を発表しました。エチオピア、ミャンマー、シリア、グアテマラにおける調査をもとに、人道支援と人権の分断ー人道支援が世界の現状をありのままに受け入れることの正当化につながるリスク等について検討しています(記事)。
- ブルッキングス研究所は、USAIDの国務省への統合が米国の戦略的利益を損なう理由についてCommentaryを公表しました。外交と開発は目的・手法が異なるため、統合は非効率であり、過去の例からも開発機能が損なわれるリスクや、議会はUSAIDの独立を守るべきであるとコメントしています(記事)。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「AU委員長選挙・南アG20・TICAD9 ― 2025年、アフリカはどう動くのか」 砂原遵平(アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD))
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2025年はTICADイヤー。アフリカ開発に関する議論がますます盛り上がりを見せる中、アフリカ連合(AU)においても、2025年は転換点となる年になりそうです。その中でも2つのポイントを踏まえつつ、TICAD9を前にAUの動きを整理してみました。
- AU委員長選挙:アフリカ大陸の舵取りを担うリーダーの選出
アフリカ連合(AU)は、アフリカ55か国が加盟する地域機関であり、2002年7月に「アフリカ統一機構(OAU)」から発展・改組されて発足しました。2025年2月のAUサミットでは、長らくAUを率いてきたムーサ・ファキ委員長(元チャド首相)の後任を選出する選挙が行われます。すでに選挙戦は佳境を迎えており、候補者にはケニアの元首相ライラ・オディンガ氏などが名を連ねています。また、インフラ、貿易、農業、教育など複数のセクターのCommissioner(委員)も選挙により交代が行われる予定です。新たな委員長・各委員がどのような政策ビジョンを掲げ、アフリカの政治・経済統合をどのようにリードしていくのか。TICADイヤーの文脈とも絡めて、注目すべき選挙となります。
- G20初のアフリカ開催:南アフリカが議長国として主導
G20は、これまで主に先進国や新興国で開催されてきましたが、2025年、初めてアフリカでの開催が実現し、南アフリカが議長国を務めます。また、2023年AUが正式にG20に加盟したことで、アフリカの視点や課題をグローバルな経済議論の中で発信する機会が広がりを見せています。 気候変動、債務問題、インフラ投資、貿易促進など、アフリカが直面する課題に対し、南アG20の場でどのような議論が展開され、具体的な成果につながるのかが注目されます。
- TICAD9と国際情勢
AU委員長選挙を通じた大陸リーダーシップの再編、G20初のアフリカ開催による国際経済におけるアフリカの存在感の拡大。この歴史的な変化の中で、日本とアフリカの関係もまた、新たなフェーズへと進むことが求められるのだと思います。G20に加盟したAUが、TICAD9を通じてどのような優先課題を提示し、日本との協力をどのように強化していくのかが注目です。
1月トランプ政権の誕生、2月にはドイツ総選挙など、アフリカ開発にも影響を及ぼす可能性のある国際的な動きが続きます。こうした世界情勢の変化がアフリカにどのような影響を与え、日本との関係性にもどのように作用するのか。TICAD9は、アフリカと日本が戦略的パートナーとして共に歩む新たな時代を築くための重要な舞台となる事を願っています。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘こちら までご連絡ください。
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– 日本関連 –
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- 国際連合開発計画ザンビア事務所との間で、無償資金協力「避難民の再定住地及びホストコミュニティにおける基礎インフラ整備計画(UNDP連携)」(供与額8.41億円)に関する書簡の交換が行われました(記事)。
- キリバス共和国政府との間で、供与額2.36億円の無償資金協力「経済社会開発計画」(インフラ整備機材)に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- モロッコ王国政府との間で、供与額20.03億円の無償資金協力「スイラケディマ新世代漁港整備計画」に関する書簡の書名・交換が行われました(記事)。
- 南スーダン共和国政府との間で、南スーダン公共放送公社において機材(撮影機材及び編集機材等)を整備するための6,240万円を限度とする一般文化無償資金協力「南スーダン公共放送公社におけるテレビ番組制作機材整備計画」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
- 国際協力機構(JICA)は、米国財務省、米国国際開発庁(USAID)、国際開発金融機関(MDBs)と「極暑に焦点をあてた気候変動への強靭性のためのファイナンスに関する行動計画」を発表しました(記事)。
- JICAは、ウズベキスタン共和国政府との間で、「保健医療サービス改善事業」を対象として、円借款貸付契約に調印しました(記事)。
- 外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
- 開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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- 米国の政府効率化省(DOGE)を率いる実業家のマスク氏は、2月3日、トランプ大統領がUSAIDの閉鎖を承認したと発表しました。USAIDのHPでは、2月7日から一部を除く全職員が全世界で休職となることが通知されています。(記事、記事)
- 英国のドッズ開発担当大臣は、ロンドン証券取引所で講演し、金融セクターとのパートナーシップを通じてSDGs達成に取り組むと発表しました。政府は最大1億ポンドを拠出し、SGDsに取り組む企業による新たな投資を創出することを目指します(記事)。
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英国は、ミャンマーに対する人道支援を2,245万ポンド増額すると発表しました(記事)。
●AFDは、アフリカ経済2025(L’économie africaine 2025)を発表しました。また、著者によるインタビュー記事をHPで公開しています(記事、記事)。
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AFDは、「ミッション300アフリカ・エネルギー・サミット」において、アフリカにおけるエネルギー・アクセスの支援に10億ユーロを拠出すると発表しました(記事)。
●デンマークのIFU(途上国のための投資基金)は、バングラデシュの大手薬局チェーンAKPLSに1250万ドルの投資を行います。これにより、今後5年以内に年間800万人がより良い医療サービスを受けられる見通しです(記事)。
●ブリュッセルで開催されたEU宇宙会議において、欧州委員会(EC)は「アフリカ-EU宇宙パートナーシップ計画」を発表しました。1億ユーロを投じて、EUとアフリカの宇宙協力を深化させます(記事)。
●EUとブータンのパートナーシップ40周年を記念し、ECはブータンに対する1,700万ユーロの追加支援を発表しました。この追加支援を含めて、2021-2027年の支援総額は4,800万ユーロとなります(記事)。
- カナダ政府は、「中小組織向けLIFT」プロジェクトを通じて150以上のカナダのNGOを支援するため、3,850万ドルを投資することを発表しました(記事)。
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– 国際機関関連 –
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- タンザニア連合共和国、アフリカ連合、アフリカ開発銀行グループ、世界銀行グループが主催し、アフリカ30カ国の国家元首や政府首脳が参加した「ミッション300アフリカ・エネルギー・サミット」がタンザニアで開催されました(記事)。
- 世界銀行は、同ウエブ上のブログで、貧困削減の阻害要因を分析し、早急に軌道修正するための方向性を示した新報告書「Leveling the Playing Field – Addressing Structural Inequalities to Accelerate Poverty Reduction in Africa(競争条件の平準化:アフリカの貧困削減加速に向けた構造的格差の解消)」について論じています(記事)。
- アジア開発銀行は、「Asian Development Outlook(アジア経済見通し)」の最新版を発表しました。その中で、米国の貿易、財政、移民政策の変更が、アジア・太平洋地域の開発途上国における成長を鈍化させ、インフレ圧力を高める可能性があると指摘しています(記事)。
- アフリカ開発銀行とKPMG南アフリカは、アフリカ大陸におけるエネルギープ改革に関する外貨リスクを軽減するための画期的なアプローチに関する報告書「New Mechanism for Mitigating Currency Risk to Support Africa’s Energy Transition」を発表しました(記事)。
- 米州開発銀行は、バルバドスの弱者支援を目的とした社会政策を支援する1億ドルのプロジェクトを承認しました(記事)。
- 国連は、紛争が続く東部コンゴで医療がひっ迫し、食料も底をつきつつあると警告しています(記事)。
- FAOとWFPは、レバノンで165万人が深刻な食糧危機に陥っていると分析した報告書を出版しました(記事)。
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-シンクタンク・NGO・財団関連 –
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- 英ODIは、人道主義の罠と題した報告書を発表しました。エチオピア、ミャンマー、シリア、グアテマラにおける調査をもとに、人道支援と人権の分断ー人道支援が世界の現状をありのままに受け入れることの正当化につながるリスク等について検討しています(記事)。
- 英サセックス大学IDSは、トランプ大統領によるUSAID閉鎖に向けた動きについて深刻な影響があるとブログで警告しています(記事)。
- Oxfamは、貧困層の生活が殆ど変わらない一方で大富豪が急速に富を増やしている現状を分析した報告書を出版しました(記事)。
- 11のNGOは、レバノンでの停戦合意が無条件で無期限延長されるように共同で声明を発表しています(記事)。
- Save the Childrenは、コロンビアの一部地域で紛争が激化し、学校閉鎖によって46000人の子供が学校へ行けなくなっていると報告しています(記事)。
- ブルッキングス研究所は、USAIDの国務省への統合が米国の戦略的利益を損なう理由についてCommentaryを公表しました。外交と開発は目的・手法が異なるため、統合は非効率であり、過去の例からも開発機能が損なわれるリスクや、議会はUSAIDの独立を守るべきであるとコメントしています(記事)。
- アジア財団は、DBS財団と共同で西カリマンタンの女性のためのエンパワーメント・プログラムを開始しました(記事)。
- JETROアジア経済研究所は、3月4日、地方講演会「大阪・関西万博で世界に伝えたいことー持続可能な社会と経済とはー」を開催します(記事)。
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