2025年3月4日発行 http://www.devforum.jp/
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ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス dev-info
皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「開発支援の行方」 荘所真理 (世界銀行/DevInfo編集幹事/ワシントンDC在)
【2】ワシントンDC開発フォーラム新着情報チェック
●ウクライナ復興担当副首相兼地方・国土発展大臣との間で、戦争被害からの早期回復(エネルギー分野等)、インクルーシブな復興(地方自治体支援、経済活性化)を支援することを目的とした供与額88億円の無償資金協力「緊急復旧計画(フェーズ4)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
●英国は、対外援助の予算をGNI比0.5%から0.3%に削減し、防衛費増額の財源に充てることを発表しました。これを受けて、ドッズ開発担当相が辞任しています(記事、記事)。
●神田眞人アジア開発銀行第11代総裁が着任しました(記事)。
●国連生物多様性会議が開催され、2030年まで毎年2000億ドルを生物多様性を守るために確保することが合意されました(記事)。
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【1】 ワシントンDC開発フォーラム便り
「開発支援の行方」 荘所真理 (世界銀行/DevInfo編集幹事/ワシントンDC在)
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2025年がスタートして2ヶ月が経ちましたが、1月20日に発足したトランプ新政権による米国の外交および対外支援に対する大幅な方向転換には驚きを隠せません。特に、USAID(米国国際開発庁)による海外支援の削減や優先順位の見直しは、開発業界に大きな打撃をもたらしています。
私の知人であるUSAID職員は、新政権からの突然の通知により業務停止を余儀なくされ、1ヶ月以内に本国へ帰国せよとの指令を受けていました。USAIDの支援を受けていた人々や、支援に携わる団体(NGOやシンクタンク、開発援助機関)、さらに現地でプロジェクトを運営する人々(コンサルタント、技術専門家など)に至るまで、多くの人々の生活に影響を及ぼしています。政府機関の業務や効率性の見直しは定期的に必要だとは思いますが、今回のようにすべてが唐突に行われたことに大変な衝撃を受けています。
このような流れも影響してか、対外援助に関する議論がさまざまな媒体で見聞きされるようになりました。国はなぜ対外援助を行うのでしょうか?国益や国際的な信用、世界の平和と繁栄、人道的な責任など、さまざまな考え方があります。国内における経済的困難や社会問題が深刻化すると、自国の資源を国内の問題に優先的に使うべきだという意見が強まることがあります。しかし、国内が厳しい場合でも、対外援助を完全に否定するのではなく、国際的な責任を果たしつつバランスの取れたアプローチをとることが必要だと私は考えています。
さて、今後開発の世界はどのように変わっていくのでしょうか。私が所属する世界銀行は、米国が最大の出資国であるため、トランプ政権の政策の影響を受ける可能性が今後少なからずあるとみています。開発業界で働く私たちの願いは、支援している国の人々がより良い社会で生活できることです。所属する組織の方針や方向性はもしかしたら変わっていくかもしれませんが、自分にできることがある限り、またお役御免と言われない限り、この業界に関わっていければと思います。
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【2】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev-Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘こちら までご連絡ください。
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– 日本関連 –
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●国際連合児童基金(UNICEF)イエメン共和国代表との間で、無償資金協力「タイズ県における持続的な教育サービスの提供を通じた不就学児童及び就学児童のための学習効果向上計画(UNICEF連携)」(供与額6.42億円)に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
●国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)在バングラデシュ事務所代表との間で、供与額2.50億円の対バングラデシュ無償資金協力「コックスバザール県及びバシャンチャール島におけるミャンマーからの避難民のための基礎的な住環境及び保健医療サービスの整備並びに生計の向上計画(UNHCR連携)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
●ウクライナ復興担当副首相兼地方・国土発展大臣との間で、戦争被害からの早期回復(エネルギー分野等)、インクルーシブな復興(地方自治体支援、経済活性化)を支援することを目的とした供与額88億円の無償資金協力「緊急復旧計画(フェーズ4)」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
●国際連合開発計画ベトナム事務所代表との間で、ベトナム国家イノベーション・センター(NIC)の活性化を支援するための供与額2.99億円の無償資金協力「ベトナム国家イノベーション・センター活性化計画」に関する書簡の署名・交換が行われました(記事)。
●国際協力機構(JICA)は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と連携し、国別研修「大阪・関西万博を通じた博覧会及び国際会議開催能力向上」を開始しました。本研修は、日本国際博覧会の開催にあわせて、7か国の開発途上国からの研修員を受け入れ、国際会議やイベント等を開催する際の準備や企画運営に関するノウハウを習得し、将来各国が国際会議等を開催する際に中心的な役割を担う人材の育成・能力向上を目的としています(記事)。
●外務省は、各種分野の任期付き職員、非常勤職員を募集しています(記事)。
●開発に関する人材募集情報がPartnerページに掲載されています(記事)。
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– バイ・ドナー関連 –
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●英国は、対外援助の予算をGNI比0.5%から0.3%に削減し、防衛費増額の財源に充てることを発表しました。これを受けて、ドッズ開発担当相が辞任しています(記事、記事)。
●AFDは、自身の活動に対する評価をどのように実施しているかHPで紹介しています(記事)。
●GIZは、IT技術者不足に悩むドイツ企業と、ガーナやルワンダなどのIT技術者をマッチングさせる活動を支援しています(記事)。
●欧州委員会(EC)は、ロシアのドローン攻撃で損傷したチェルノブイリ原発の修復のため3700万ユーロを拠出することを発表しました(記事)。
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– 国際機関関連 –
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●神田眞人アジア開発銀行第11代総裁が着任しました(記事)。
●アジア開発銀行と世界銀行は、協調融資を提供する公共セクター・プロジェクトにおいて協力を深めるため、新たに画期的な完全相互信頼枠組み(FMRF)構築を目指すことで合意しました(記事)。
●アフリカ開発銀行はコンゴ共和国のエネルギー支援を目的とした1500万ドルのグラントを承認しました(記事)。
●米州開発銀行は、JICAと共同でラテンアメリカ、カリブ海地域の発展に寄与するトラストファンドを立ち上げました(記事)。
●日本/世界銀行は、共同大学院奨学金制度(JJ/WBGSP)の応募を受け付けています(締切)(記事)。
●世界銀行は、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)とミッドキャリア(MC)を募集しています(記事)。
●国連生物多様性会議が開催され、2030年まで毎年2000億ドルを生物多様性を守るために確保することが合意されました(記事)。
●国連は、ハイチでギャングによる暴力により100万人以上が避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。
●国連は、コンゴDRCの1100万人の支援のための25億ドルの計画を発表しました(記事)。
●UNAIDSは、アメリカによる資金拠出の停止の影響をまとめた報告書を発表しました(記事)。
●国連などは、ガザ地区の復興のためには532億ドルが必要であると分析した報告書を発表しました(記事)。
●国連は、スーダンの支援のために60億ドルのアピールを発表しました(記事)。
●国連などは、ウクライナの復興のためには524億ドルが必要であると分析した報告書を発表しました(記事)。
●国連諸機関は、ソマリアで極度の飢餓状態にある人数が4月以降100万人程度増加するという予想を発表しました(記事)。
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-シンクタンク・NGO・財団関連 –
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●SDGs教材×ファシリテーションフェスタが3月20日に開催されます(記事)。
●Save the Childrenは、コロンビアで紛争により毎日500人近くの子供が避難を余儀なくされていると報告しています(記事)。
●英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の専門家が、USAIDの閉鎖や英国の援助削減など欧米が対外援助から撤退していく動きについてコメントしています(記事)。
●英NGOネットワークBondは、英国の対外援助削減について公約違反であると批判するとともに、議員からの批判の声などをHPで紹介しています(記事)。
●英サセックス大学IDSは、英国の対外援助削減は「壊滅的な打撃」をもたらすと批判しています(記事)。
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2025年3月4日発行