DC開発フォーラムでは、2014年4月7日(月)、ワシントンDCにて、JICA東北 震災復興担当職員・永見光三氏をお迎えして、「東日本大震災の経験と途上国での復興・防災支援」のテーマのもと、第240回BBLを開催致しました。議事録は以下をご覧ください。
2014年4月7日(月)午後12時15分より
ゲストスピーカー:
永見光三氏(JICA東北 震災復興担当職員)
1.プレゼンテーション:「東日本大震災の経験と途上国での復興支援」のテーマのもと、JICAによる東日本大震災復興支援の取り組みや、途上国での復興・防災支援についてお話いただきました。詳細は発表に用いたパワーポイントをご覧下さい。
2.質疑応答:
Q1:(質問者が)気仙沼周辺の缶詰工場でヒアリングを行った際に、缶詰工場を中国などの海外に移す予定である話を聞いた。実際にこれらの工場は海外に進出しているのか。
A1:中国との関係悪化もありそうした話は把握していないが、国内でもなんとか工場再建にこぎつけても缶詰など元の供給先が別の仕入れルートを確立している事例も多いようだ。また、土木工事のほうが割が良いので、労働力の提供はそちらへ集中している。
Q2:1世帯を高台に移すための費用はどのくらい必要なのか。
A2:地域にもよるが、1世帯あたり約6,000万円程度必要な事例もある。
Q3:復興プロセスで地域差は生じているか。
A3:復興に関する予算は、国から復興交付金として自治体に拠出され、自治体が実施責任を担うことになっている。本来であれば、復興庁などが統一的に実施しながら横断的に調整できれば良かったが、当初の混乱の中でいったん自治体が確保した予算はその後の状況変化にあわせて柔軟に運用することもできず、規模も大きく事業ごとに縦割り配分された中で走り続けざるをえない状況が生じている。
Q4:復興支援では、キーパーソンを見つけることも重要だと思うが、JICAとしてはどのような取り組みを行っているのか。
A4:被災地では地域復興のかなめになるようなキーパーソンがおり、地域経済活性化特別枠などの活用を通して日本と途上国の被災地同士で相互復興事業を行ってもらっている。
Q5:技術や資本の投入によって、日本から新しい防災や原発の安全保障モデルを発信していく必要もあるのではないか。
A5:革新的な発展のあり方が求められている。縮小する社会のなかで、お金や人を補うことができるか、また資源に依存しない持続の可能性を探す必要がある。農村部の復興を考えた際に、近代化を踏まえ且つ“新しい何か”というモデルを作っていくことが重要である。他方、石巻市など都市部では、ビッグデータ活用による避難誘導システムも検討されており、そういった新たな技術活用は並行して実施されるべきとは思う。
以上