キャリアセミナー2014レポート

DC開発フォーラム キャリアセミナー2014レポート

ワシントンDC開発フォーラムでは、3月7日(金)にキャリアセミナーを開催しました。パネリストとして下記4名の方々をお迎えし、当フォーラム幹事の大森功一(世界銀行 南アジア地域担当副総裁特別補佐官)がモデレータを務めました。本セミナーには約40名の学生・社会人の皆様が集まりました。昨年同様に実施したWeb配信には、アメリカ、日本、イギリス、ジンバブエなど世界各地から約15人が視聴しました。

パネリスト一覧
【世界銀行】 佐伯洋さん(アフリカ地域総局  人間開発局(教育)エコノミスト)
【地球環境ファシリティ(GEF*)】 渡辺陽子さん (プログラムマネージャー/上席生物多様性専門官)
【国際金融公社(IFC)】 奥村澄さん(気候ビジネス局 インベストメント・オフィサー)
【米州開発銀行(IDB)】 ラッセルまり子さん(国家組織能力部門(IFD/ICS) 上級専門官)
*GEF:世界銀行に信託基金として設立され、開発途上国や経済移行国が地球規模の環境問題(気候変動、生物多様性、国際水域、土地劣化、オゾン層破壊、水銀)に取り組むための活動を支援。
(パネリストの詳しい経歴に関してはこちらに記載があります)


パネルディスカッションの様子


モデレーターとパネリストの皆様
(左より、大森さん、佐伯さん、渡辺さん、奥村さん、ラッセルさん)


パネルディスカッションの様子

約1時間にわたるパネルディスカッション「エントリー~ミッドキャリアレベルの国際公務員に求められる資質とは何か?」では、パネリストの方々に以下の質問にお答えいただきました。

1) 現在の担当業務
2) 現在勤務する国際機関へ入った経緯
3) 今後国際開発金融機関を目指す学部生へのアドバイス
4) エントリーレベルで国際開発金融機関を目指す方々へのアドバイス
5) ミッドキャリアレベルで国際開発金融機関を目指す方々へのアドバイス
6) ご自身の学部時代を振り返って
7) 現在ワシントンDCの大学に通う学部生へのアドバイス

以下が主な内容です。

 国際開発金融機関へ入る経歴や経緯は100人いれば100通りあり様々
 通常は3~5年の職務経験が求められることが一般的であるものの、JPAなど比較的職務経験が少なくても応募できるプログラムもある。
 学部時代は「何をすべきか」(例えば世銀に入るためにはどうすればいいのか)よりも「何が好きか」を真剣に考えることが重要。
 国際開発金融機関で求められる人材像(仮にパネリストの皆様が採用担当だった時に重視する能力・スキル等)
 経済・統計分析力
 ライティング力(日本人の場合はスピーキング力を重要視する傾向があるものの、ライティング力も同じくらいもしくはそれ以上に重要)
 論理的思考力(仮に上司や同僚が自分の意見に異議を唱えた時でも、自分の主張を相手に不快感を与えずに説得できる論理力)
 メール等のリスポンスが早い
 仕事の期限を厳守する
 チームワーク(色々なバックグラウンドの職員と楽しく仕事ができる)
 行動力(自分の考えを同僚や上司にメールで送るという一見小さなアクションからも大きな案件が生まれることもある。アクションを起こさない限り何も起こらない)
 一貫性(これまでの学業や職歴に一貫性がある人は魅力的にうつる)
 即戦力(次の日からすぐに仕事を任せられる)
 熱意(「開発は熱意だけではできない」と言われるが、熱意は必須。なぜその仕事がしたいのかという強い動機・熱意)
 関係者の利害調整能力(開発案件はドナー、被援助政府、民間業者などの関係者間の利害で成り立っている。各関係者の立場を理解して調整できる力)
 投資関連業務を希望するのであれば、企業価値の分析、ファイナンスモデリングなどは基本的な必須スキルであり、金融機関・投資ファンドでアナリストとして基本的な分析方法を習得することが望ましい。
 現在ワシントンにいる学生へのアドバイス
 基礎体力(学業、スキル等)をつける
 ワシントンという地の利を生かす(色々な人に会って話をする)
 現場経験は貴重なため、途上国でのボランティア活動等に参加する

パネルディスカッションの後、各パネリストによる機関別の分科会では、約1時間にわたり活発な質疑応答が行われました。セミナー終了後の懇親会には、国際開発金融機関の若手職員も加わり、約2時間にわたり参加者との交流の機会をもちました。


分科会の様子


懇親会の様子

今回のキャリアセミナーをきっかけに、参加してくださった皆様の中から、少しでも多く将来の国際開発金融機関職員が生まれることを期待しつつ、当フォーラムは今後もこういった機会を提供したいと考えています。

ご来場の皆様、ならびにWeb配信を視聴してくださった皆様、誠にありがとうございました。