ワシントンDC開発フォーラムでは、11月10日(木)に、第6回ワークショップを世界銀行の会議室で開催し、40名以上が参加しました。
今回は米州開発銀行(IDB: Inter-American Development Bank)の多数国間投資基金(MIF: Multilateral Investment Fund)で投資担当官としてマイクロファイナンス機関やファンドへの投融資などに携わっている成田哲朗さんをスピーカーとして迎えました。
前半、成田さんは主にラテンアメリカにおけるマイクロファイナンスの状況を、具体的なデータと共に説明しました。ラテンアメリカでは2010年末現在、675のマイクロファイナンス機関が約1250万人に総額約152億USドルの貸し出しを行っています。また、675の機関のうち約30%は金融当局による規制監督の下にあります。しかし、一口にラテンアメリカと言っても、国によってマイクロファイナンス機関から借入れを受けている中小零細事業主の割合や利子率などに大きなバラつきがあり、マイクロファイナンス市場の成熟度合いが国ごとに異なっている事が特徴です。今回挙げられたデータのいくつかは、Global Microscope on the Microfinance Business Environment 2011(http://www5.iadb.org/mif/KnowledgeExchange/LACdata/tabid/364/language/en-US/Default.aspx)で検索できます。
後半、成田さんは昨今の金融危機がマイクロファイナンスに与えた影響と、MIFがラテンアメリカにおけるマイクロファイナンスに対して果たしている役割について説明しました。MIFはこれまでに約200のマイクロファイナンス機関に総額3億USドルの支援をしました。MIFはマイクロファイナンス機関が、金融当局による規制監督下にある金融機関になるよう、適切な規制監督体制の確立に向けた支援のほか、個別案件レベルでは、マイクロファイナンス機関の株主になってガバナンスの改善に貢献したり、技術協力を行ったり、緊急支援や現地通貨建てでマイクロファイナンス機関に貸付を行うのマイクロファイナンス・ファンドを設立するなど、多様な支援の形を取っています。
質疑応答では、先進国におけるマイクロファイナンスの状況・マイクロファイナンスにおける規模の経済の存在・マイクロファイナンスの金利の高さなどについて活発な議論が行われました。ワークショップ終了後には、世界銀行近くのレストランにて立食形式の懇親会を行いました。懇親会には30名以上が引き続き参加し、活発な議論や意見交換が続きました。
DC開発フォーラムでは、この冬もワークショップやBBLなどを開催する予定です。今後ともDC開発フォーラムをよろしくお願いします。
作成:畠山勝太