DC開発フォーラムでは6月25日(水)、
スピーカー 大草真紀 元 JICA リベリアオフィス インフラ開発/援助協調担当
テーマ「リベリア国 開発援助の現状」
【リベリアの背景・概要】
・アメリカの影響が非常に強い
・サーリーフ大統領のリーダーシップにより、首都圏では比較的発展が進んでいる(郊外は非常に貧しい)。地方分権も進んでいない。
・予算は$560Mil(和歌山県と同程度)
・14 年間に及ぶ内戦の傷跡
・実質成長率は 8.1%(インフレ率 8.5%)
・ディアスポラによる国の運営 ほとんどの要人はアメリカからスカウトされてもどってきた人間(生活ベースはアメリカで契約期間のみリベリアに戻る
ケース多)
・生活面でもアメリカの影響が強いくマイル・ポンドを利用
・Human Capital はまだ非常に低く、基礎的な演算能力・識字率に問題がある
【リベリア国家開発計画】
・2030 年までに GNI pp $1000 を目指す
・インフラ整備は進んでいるが、農業・林業は進んでいない
【日本のリベリア支援】
1. インフラ整備支援
2.基礎生活の充足とひとづくり支援
・リベリアに日本大使館がなく、JICA もフィールドオフィス(2 名)があるだけ→バイ支援に加え、マルチ支援も多い
・コートジボワールからの難民流入に伴い、UN を通じたマルチ支援も実施中。
【JICA 事業(二国間支援)】
<モンロビア市緊急電力復旧計画>
・電力は全く普及していない(全国 1%以下、首都でも約 7%)ため
・現在 発電所においてディーゼル発電が行われいるが、足りておらず、各家庭で発電機を用いて発電している状態→HFO 供与(重油)し電力供給量を増やす<ソマリアドライブ復旧計画>
【他のドナーによる支援】
・ドナーの数・組織規模は隣国のシエラレオネと比較にならないほど大きい→しかし、インフラ案件などわかりやすいもの以外は、目に見えた効果の確
認は難しい
・WB $300Mil(IDA) 80%はインフラへ 中国 インフラに加え、保健、病院の建設(リベリアで唯一 CT スキャンができる)
【リベリアの課題】
・リベリアの現実を知らない人間(リベリア側要人)が多い(ディアスポラ)
・汚職の多さ(議員、一般の公務員に加え、米国から来た人間の中でも汚職は存在する)
・マネジメント、ロジスティクス能力の弱さ→現地での業務が進まない(ローカル業者の同能力の低さ)
・治安の不備、警官の数が少ない 670 人/1 police officer
・リベリア政府の脆弱性
・ネポティズム(縁故主義)
・ポリティカルアポインティーの多さ(特に大統領周辺)
・一般公務員が蚊帳の外に置かれている状態
・インプリメンテーション(実施能力)の弱さ e.g. 教科書が未だに配られていない←ディアスポラのコミットメントの弱さ?
・ドナードリブン(ドナーの意見が強すぎる、政府がドナーに頼りすぎている)
・リベリア議会 (議会 vs 政府)の問題(議員の月収は平均$20000 と非常に高額)
【大草さんの思うリベリアへの今後の支援提案】
・人材育成の強化→Degree 支援に懐疑的←Degree をとったとしても、リベリアに戻る人が少ない
・リベリア政府のコミットメントの弱さを是正する
・支援実施にかかる提案←ディアスポラが多いため実情理解を進めるためのセクター分析実施
【Q&A セクション】
Q1 日本の保健セクターへの支援は具体的に何か?また問題点は?
A1 母子支援 医療施設のリハビリテーション、医療従事者への技術移転Q2 サーリーフ大統領の任期後の見通し(大統領が帰国すると政府中枢の人間も離れていくと予想)はあるのか?
A2 現財務大臣が優秀なので、候補にあがっているが、ムスリムなので抵抗が強い(過半数がクリスチャンの国家)
Q3 リベリア国内での所得格差の状況
A3 ディアスポラと現地住民で格差。首都圏と地方の格差。生え抜きのリベリア人の生活はほぼ変化なし
Q4 教育で重視している分野はあるのか?
A4 初等教育(人材能力底上げ)、特に現地住民に対しての人材育成、TVET
Q5 隣国との関係、(CIV、SLE など)改善が地域としてはどの程度進んでいるか
A5 MRU の会合も頻繁に開催され、重視されている。AfDB も積極的で、西アフリカ域内電力・道路への支援を進めている
Q6 農業セクターが額の数字でみると割合が小さい
A6 農業従事者自体は最も大きいが、自給自足の生活なので、農業進歩のインセンティブが低く、額ベースで見ると相対的に小さくなる(農業セクターの成長率は 0.7%)