DC開発フォーラム第225回BBL「2012年IMF世銀春総会の評価と今後の課題」

第225回BBLの議事録が出来ましたので、以下をご覧下さい。配布資料等もこちらのHPからご覧になれます→http://www.devforum.jp/bbl/


第225回DC開発フォーラムBBL2012年5月1日
「2012年IMF世銀春総会の評価と今後の課題」
プレゼンテーター
高村泰夫(世界銀行日本理事室理事代理)/野村宗成(IMF日本理事室審議役)
質疑応答
Q. IMFへの日本の新たなコミットメントとして表明された600億ドルだが、これはどのような形でIMFに拠出するのか?また、財源はどのように手当てするのか?
A. 600億ドルは外貨準備を活用したIMFに対する貸付枠の設定である。このため、個別にIMFの方から申請が来た物に対して貸し付けを行う。
Q. 国際金融通貨委員会における日本国ステートメント中の、「日本の持つ文化力・技術力を肌で感じていただきたいと思います」とは、具体的にどういう事を想定しているのか?
A. 国際的な知名度がまだ高くないものの、日本には素晴らしい技術があるので、これらを各国の大臣等の参加者に広める事を考えている。東京総会を日本のPRの場としても活用できるとよいと考えている。
Q. 東京総会で保健サービスに関する日本と世界銀行の共同研究の狙いや進捗状況を示そう、と言及された背景にはどのようなものがあるのか?
A. 共同研究を行っている理由は、保健サービスに関する知識の集積を途上国の開発に生かしたいというものである。財政面、人材育成面をはじめとする日本の保健分野の経験は途上国支援にも貢献しうると考えているが、まだあまり世界的には知られていない。日本側はこのギャップを共同研究によって埋めていきたいと考えている。
Q. 今回ポストMDGsに関する議論は何か行われたのか?
A. 世界銀行としては現行MDGsの目標達成の方にエネルギーを注いでいる状況なので、今回この議論はあまり行われなかったと認識している。本年6月に開催される予定のRio+20では持続可能な開発(Sustainable Development Goal)に係る目標が議論され、これがポストMDGs等の文脈に関連してくる可能性がある。
Q. 新総裁の選出過程についてどのような事が話し合われたのか?
A. 複数候補者が立候補すること自体が初めての事であったため、選出のプロセスも含めて、丁寧に議論をしてきた。理事メンバーによるインタビューを通じて、総裁候補者の個性を把握し、また、経験・見識、世銀運営の展望を聴取することができた。個々の理事の関心は異なっているし、候補者それぞれの経歴も違うので、議論の内容は多岐に渡ったのではないかと推測される。日本は財務大臣が新総裁に選出されたキム氏と面会する機会があり、キム氏をサポートした。
Q. 合同開発委員会のコミュニケ中の、「中所得国とのより先進的で力強いパートナーシップを発展させることを要請」、の背景にはどういった事情があるのか?
A. 中所得国が、「成長のわな」に陥らず、どう持続的発展を進めていけるのか、資金のみならず、より高度な知識の面での貢献が求められている。また、世界的にみて、貧困層の多くは中所得国に残っている。次回のIDA増資の文脈でも規模の大きい国の卒業後のIDAのあり方に関する議論は既に始まっている。このように、中所得国はこれまでのような型にはまったものではない形の支援を求めているため、これにどう応えていくかが今後の課題として考えられる。
Q. 開発における民間資金動員の必要性の増大に直面して、今後世銀はどのようにしていくのか?
A. 必ずしも、体系的な戦略があるわけではない。知識とファイナンス、世銀とIFCのコンビネーションが肝要であると考える。例えば、世銀内では、地域局-カントリーオフィスが行うファイナンスに対して、ネットワーク局の専門的な知識が十分に活かせていないのではないかという問題意識が高まっている。また、世銀とIFCが、民間部門からの種々の要請に対して、バラバラに対応していくことでよいのか、もっと世銀グループとしてのシナジーを発揮していくべきではないか、との論点もある。