第229回BBLの議事録が出来ましたので、以下をご覧下さい。配布資料等もこちらのHPからご覧になれます→http://www.devforum.jp/bbl/
Q1 一種の虫を消滅した場合、生態系に大きな影響があるのか?
A1 世界には140種類以上のサシガメがいる。南米で、家屋内に生息していた一種のサシガメが消滅した後に、異なるサシガメが屋外から侵入したケースがある。このような形で生態系に影響を及ぼす可能性があるが、病原菌を運ぶサシガメを消滅させるメリットの方が大きい。
Q 2 虫媒体の衛生対策の場合、ワクチン開発よりも媒体者そのものの消滅が主流なのか?
A 2 双方のアプローチは検討された。実際にワクチンを作る試みはあったが、非常に困難であった。また、シャーガス病の場合、一種の虫を消滅する方が明らかに早かったため、シャーガス病のケースでは虫の消滅を選択した。
Q 3 シャーガス病プロジェクトにおけるJICAの財政支援の詳細は?
A3 投入した資機材は、車両、殺虫剤、殺虫剤散布器、教材作成費など。相手国保健省は、現場活動に携わる職員の人件費、出張時の日当宿泊費、車両の燃料費などを支出した。会議やワークショップへの参加は、JICAが食事・寝床を現物支給した。
Q 4 他のドナーもいるなか、JICAが選ばれた理由は?他のドナーとの差別化はどこではかったか?
A 4 JICAはグアテマラで、1970年代から感染症対策を支援し、1990年代にシャーガス病の調査研究を支援した経緯があった。またグアテマラ保健省には、マラリア対策を通じて殺虫剤散布など媒介虫対策に関する技術的なノウハウがあった。しかしそのマネジメントの能力に乏しかったため、グアテマラ政府は現地で共に活動してきたJICAにマネジメントの支援を要請した。
Q 5 プロジェクト終了は具体的にどういうことを意味するのか?例えば、プロジェクトの成果確認をもって決定されるのか?
A 5 プロジェクトの終了が意味するのは単純に「そこで終わり」ということ。原則JICAが引き揚げてからは現地に任せるようにしている。
確かに持続可能性・発展性の問題は否めない。やはり監視者が不在では、途上国においてプロジェクトの効果が持続するは難しい。その出口戦略の一つとして、シャーガス病対策プロジェクトでは、保健省中央とドナー関係者が形成する委員会に、監視役を引き継ぎした。
Q 6 どのようにシャーガス病対策プロジェクトの効率を高めたのか?
A6 極めて基礎的なことを徹底した。例えば、殺虫剤の消費期限のリスク、情報管理が挙げられる。殺虫剤は輸入モノを使っていたので、かつては輸送時期・期間の管理ミスにより殺虫剤の消費期限が切れてしまう、というケースが散見された。リスク管理を徹底することでその類のロスをなくし、生産性の向上をはかった。また情報管理では、一国で使用したデータ書式や教材を隣国で使うことで、ゼロから作る作業を減らした。
Q7 途上国だと地域によりHuman Capacity(人的資本)の差が激しいが、各地域に温度差、能力差、資金差はあったのか?その場合、どのように克服したのか?
A7 人的資本の地域差は非常に大きく、初期段階ではマネジメントは困難を極めた。そこで、モニタリング結果を公表して比較・共有たり、ある地域で現場職員が見つけた解決法を他の地域で導入できるための意見交換の場を作ったりして、モチベーションを高める環境を整えた。
DC開発フォーラム第229回 中米地域のシャーガス病対策の教訓と課題
- 2012年8月21日号(「第67回IMF・世界銀行年次総会特別イ ベント『防災と開発に関する仙台会合』」「アジア開発銀行、主要指標集2012 年版発表」他)
- 2012年9月4日号(第19回APEC財務大臣会合、イラン北西部地震被害の被災者支援、第16回非同盟諸国首脳会議、他)