2003年1月23日BBL概要 |
貿易と投資を通じた発展を実現す るために −世界と日本の課題を考える− |
1月23日、ワシントンDC開発フォーラムBBL「貿易と投資を通じた発展を実現す るために−世界と日本の課題を考える−」が、約20名の出席を得て行われまし た。 冒頭、経済産業省通商政策局審議官(地域協力担当)の鷲見良彦氏よりプレゼ ンテーションがあり、その後の出席者間の議論で様々な意見が出されました。 冒頭プレゼンテーション及び出席者からの意見のうち、主要なものは次の通り です(順不同)。 (1)日本が経済連携を推進するに際しては、「内外一体化」が重要であり、 国内の経済政策・産業政策とリンクさせ、構造改革・規制改革の推進にも活用 すべきである。 (2)経済発展にとってODAはあくまで補完的なものであって、途上国自身の 貿易・産業政策により初めて持続的成長が達成できる。開発のためには雇用創 造、そのためのハード・ソフトのインフラが不可欠である。 (3)日本のODAの増額が困難な中、今後は如何に選択的に援助するかが鍵で ある。他国と一緒にチームを組んでやるか、あるいは他国と棲み分けて得意分 野に集中するかを考えなければならない。 (4)中国への投融資案件に関心を持っている民間企業が多いところ、ODAで これを支援するのが良いのではないか。他方、対中ODAに対しては政治的な反 対が強く、容易ではない。中国に対して、どのような形でODAを活用するのが 国益に資するのか、必ずしも国論が一致していないように思う。(中国への経 済進出においては、日本は欧米に負けてきているとの指摘あり。) (5)技術支援を効果的に行うには、ある程度の資金供与を伴う必要がある。 この観点から、JICA・JBICのリンクが大事である。世銀には、正にこの技術協 力と資金供与のリンクを自ら実践しているという側面がある。 (6)日本にとって、アフリカの潜在的なビジネス機会をもっと活用すべきで はないか(結局はビジネスの判断との意見あり)。 (7)アフリカ開発の支援のため、日本としても貿易政策(日本市場へのアク セスの提供)を活用すべきではないか(難しいとの意見あり)。 (8)中国の発展と競合によるASEANの経済的凋落は目を覆うばかりであり、 ASEANの地盤沈下を防ぐため日本は国費を投じてでもASEANを支援することが日 本の利益につながる。(席上異論あり。) (9)これからのナレッジ経済、ナレッジ社会を睨んで、日本が動態的な発展 を確保するための方策は何か。(マクロ政策のみならず、投資機会を作るため の規制改革が鍵である旨の指摘あり。) (10)貿易・投資を通じた発展を支援するためのODAの活用は、大まかに いって(a)途上国政府の貿易キャパシティ・ビルディング、(b)各種貿易 ・投資インフラの整備、(c)ODA調達に際しての日本企業への還元の3種類 があるが、そのバランスについては各途上国の状況を踏まえる必要がある。 (11)中南米は、良い意味で市場オリエンティッドであり、それが不安定性 につながっている面はあるものの、総体としてビジネス機会を提供している。 単に資源の観点から重要ということではない。 (12)貧困削減のスローガンは、レトリックの側面が強く、必ずしも世銀等 の融資に影響を与えていない。リターンがあるものに投資が行き、そうでない ものには投資が行かないのが実情である。 (13)日本の経済協力は、プロジェクト・アプレーザルが強い一方で、マク ロ経済とのリンクや非経済要素等では後発である。従って、これらの面につき 世銀の専門性を活用することには大きなメリットがある。ただし、そのために はコストがかかるので、十分なリソースの投入が必要である。 (14)開発の仕事をする上では、個別案件と全体政策のバランスが大事であ る。通常は、そのいずれかしかできていない場合が多い。営業をやりながら会 社の全体像を考えるように、プロジェクトをきちんとやりながら大きな視野を 失わないことが重要である。 以上の諸点をはじめ、日本として取り組むべき課題や、議論を聞いての感想な ど、短いものでも結構ですのでinfo@developmentforum.orgまでご意見をいただければ幸いです。 |