2003年2月19日BBL概要 |
グローバル社会が開発支援のために必要とし
ている人材を考える |
2月19日、ワシントンDC開発フォーラムBBL「グローバル社会が開発支援のために必要とし ている人材を考える」が、約20名の出席を得て行われました。 世界銀行欧州・中央アジア局セクターマネージャーの泉泰雄氏より、冒頭次の配布資料に 基づいて、世界銀行の求めている人材、日本の開発人材の現状・問題点・今後の課題を中 心に、数多くの問題提起が行われました。(論理構成の明確な箇条書きのわかりやすい資 料ですので、是非ご覧ください。) http://www.ypcollege.com/YPC%2001%20Prof/YPC%20Prof%203219%20HR%20for%20Dev.htm 引き続き、出席者間の議論で様々な意見が出されました。主要なものは次の通りです。 (1) 学術界・実務界等の開発人材育成に問題点が多いことはわかったが、それでは具 体的にどのように変革していけば良いのか。特に、それぞれの上層部に十分な変革志向が ない場合に、中・下層部や外部の人達は一体何が出来るのか。(基本的には時間をかけて 地道にやるしかないが、個々人が声を上げるのではなく、世間の声、仲間の声を活用して いくことも一案との意見あり。) (2) 日本の大学から当地(ワシントンDC)の大学に交換留学で来ているが、日本の高 等教育の悪い面ばかりが目立つ。日本には、狭い国土に人口密度が高く、同じ人達と一生 つきあっていかなければならない等との文化的背景から、自分の主張が出来る教育を行う ことはそもそも難しいのではないか。(インフォーマルな場で発言・主張する習慣をつけ ることが大事である。例えばメーリングリストのe-discussionや会合(オフ会)に身を投 じて貢献しては如何。個人のメルマガでも膨大な購読者を持っているものが生まれてきて いる。時間と空間を超え、組織の枠を超えたコミュニケーションを個人の資格で行ってい けば、国際感覚を持ち世界で勝負できる人間が育つ等の意見あり。) (3) 開発支援だけでなく国内世論の盛り上げが出来る人材も大事であり、学部の学 生、更に若い高校生・中学生に開発問題の重要性をわかってもらうよう努力すべきであ る。 (4) 開発政策論が未だ開発経済論に依拠しており、社会的政策課題への配慮・陣容に 乏しいとの指摘に関連して、日本で社会開発を研究している人は地域研究者であり、アン グロサクソン型での表現を外向きに行わず内向きな議論を行っている場合が多い点が問題 である。(更に、日本の文化は大衆文化迎合型社会であり、「あいつの言い方が気に食わ ない」「俺に話がなかった」といった感情的・非理性的議論が横行する場合があり、その 改善が必要との意見あり。) (5) 理論・政策・実施のバランスが重要との指摘があったが、キャリアアップを図っ ていく中で、ペーパー作成等の理論・政策重視、地域・フィールド業務等の実務重視のい ずれかに専門を持っていく必要があるように思う。(これに対し、中間キャリアとしては 確かに専門性を目指す必要があるが、もっと上になると再度バランスが問われるようにな るとの意見あり。) (6) 日本ではローテーション人事が多い点が問題との指摘があったが、世銀でもロー テーション人事がよく見られるように思う。(一般に日本の場合は本人の意向があまり勘 案されない受動的システムであるのに対し、世銀の場合は本人が動かないと変わらない能 動的システムである点が異なるとの意見あり。) (7) 開発人材として、日本人らしい日本人が本当に必要とされているのか。アングロ サクソン流の教育を受けている人が評価されており、日本のパスポートを持っているか否 かは関係ないのではないのか。(アングロサクソン流の説得術は有用であるが、更に大事 なのは良いサブスタンスを持っていることであり、また文化的な多様性を理解・受容する 能力も重要であるとの意見あり。) 以上の諸点をはじめ、日本として取り組むべき課題や、議論を聞いての感想など、短いものでも結構ですのでinfo@developmentforum.orgまでご意見をいただければ幸いです。 |