From Paris/パリDAC通信第1号


2003年3月10日

(1) OECD/国連/世銀共催・ICTフォーラム(3/4-5)
(2) アフリカ経済見通し(3/3公表)
(3) 国際開発統計(3/3公表)
(4) DAC/開発センター共催・援助効果と選択性セミナー(3/10)

(1) OECD/国連/世銀共催・ICTフォーラム(3/4-5)

3月4、5日、OECD・DACにおいて、世界社会情報サミット(WSIS)へのインプッ トを視野に入れ、開発のためのICTの取り組みに関するこれまでの国際イニシ アティブ(国連、世銀、ドットフォース等)、各ドナーの取り組み、被援助国 における取り組み等に関する経験、教訓を共有し、民間企業や市民社会の視点 も入れつつ、今後如何に開発のために効果的にICTを活用していくかという点 を議論するために、「知識経済に関するグローバル・フォーラム(ICTフォー ラム)」が開催されました(OECD・DAC事務局の畝局長補佐官が担当)。

本フォーラムには、主要OECDメンバー国政府の他(日本政府からは、岡山総務 省国際政策課長、JICA、JICAプロジェクト等が参加)、世銀、UNDP、WSIS事務 局等のマルチ機関、途上国政府、民間企業等、総勢150名近くが参加。民間企 業が昼食をホストし、フォーラム会場隣にはインターネットブースが設置さ れ、議論の模様はインターネットでも放映されるなど、DAC関連のフォーラム としては異例の賑わいとなりました。

フォーラムでは、各ドナーや国際機関の他、被援助国政府からICTの取り組み 紹介があり、ルーマニアやタイなどある程度発展しいる国に加え、モザンビー ク、タンザニア等の最貧国に分類される国からICT活用の取り組みが紹介され たのが印象的でした。会合を通じては、ICTは、経済成長のエンジンとなり得 るが、目的はICTの導入ではなく、あくまで開発効果(MDGs)の向上、従っ て、ICT単独の戦略を策定するのではなく、被援助国全体の開発計画及び貧困 削減戦略に適切に位置づけることが重要、ドナー・被援助国政府双方における ICTのメインストリーム化が重要、サプライ・ドリブンではなく、被援助国の 既存のツール、リソースを重視し、被援助国政府及び企業の取り組みをサポー トするデマンド・ドリブンであるべき、人材育成及び能力構築の重要性、ド ナー、被援助国政府、民間、NGO等の協力した取り組みが必要、PPPはその重要 な一部といった点が多くの参加者の共通の認識として醸成されたと思います。

日本政府は、従来より、アンタイドや調和化等の手続き論に議論が偏りつつ あったDACの傾向をより中身の議論にシフトさせるため、特に経済成長関連の 議論をDACの場で強く主張してきましたが、ICTはその一つ。今次フォーラムで も、成功に導くために、政府・JICA共々、資金手当の他、事前の資料作成、プ レゼンテーションの実施などの貢献を行いました。他方で、今後の課題として は(ICTだけでなく我が国の援助全体に共通する課題でしょうが)、「ICT はツールであり、目的は開発効果」、「インプットではなく、アウトプット」 と言われる中で、「沖縄協力策で150億ドルを表明し、これこれ実施した」と 言い続けるのではなく、実施から学んだ教訓やまた実施の効果に焦点を当てて 国際社会に発信することが不可欠であると改めて感じさせられたフォーラムで した。 http://www.oecd.org/EN/document/0,,EN-document-15-nodirectorate-no-20-39082-15,00.html

(2) アフリカ経済見通し(3/3公表)

従来、アフリカ開発銀行が作成していたAfrican Development Reportが、昨年 より、OECD開発センターとアフリカ開発銀行が共同執筆する「アフリカ経済見 通し(African Economic Outlook)」に生まれ変わりました。以前のAfrican Development Reportとの違いは、より国別の分析に焦点が当てられていること で、今年は下記22カ国の経済・社会開発の現況が取り上げられています。OECD エコノミストとアフリカ開銀の共同執筆により、OECDの持つ分析作業のノウハ ウをアフリカ側に移転することが期待されています。(本件は欧州委員会(EC) がNEPAD支援のために資金を拠出したものです。)
【対象国:アルジェリア・ボツワナ・ブルキナファソ・カメルーン・コートジ ボワール・エジプト・エチオピア・ガボン・ガーナ・ケニア・マリ・モーリ シャス・モロッコ・モザンビーク・ナイジェリア・セネガル・南アフリカ・タ ンザニア・チュニジア・ウガンダ・ザンビア・ジンバブエ】 http://www.oecd.org/EN/document/0,,EN-document-15-nodirectorate-no-2-25290-15,00.html

(3) 国際開発統計(3/3公表)

DACでは例年、援助に関する統計を公表しています。先般、2003年度の国際開 発統計を取りまとめたCD-ROMが公表されました。途上国(180ヶ国)への援助 資金フローについて、ドナー毎、セクター、プロジェクト毎など、様々な角度 から検索できます。また、168ヶ国の対外債務統計も含まれています。 http://www.oecd.org/EN/document/0,,EN-document-15-nodirectorate-no-1-3264-15,00.html

(4) DAC/開発センター共催・援助効果と選択性セミナー(3/10)

3月10日、OECDにて、援助効果と選択性に関するセミナー「Aid Effectiveness and Selectivity: Integrating Multiple Objectives into Aid Allocations」が開催されます。途上国支援の基準として、援助効果のみに焦 点を当たると、紛争などで援助効果が低い国が切り捨てられるというトレード ・オフが生じます。このように、援助効果を重視しつつ、如何に脆弱な国家の 支援も併せて行っていくかについて、WIDER、米、蘭、英、世銀等のプレゼン テーションを元に議論が行われる予定です。(案内状別添には援助効果を巡る 国際的な議論の経緯等が簡潔にまとめられています。) http://www.oecd.org/pdf/M00039000/M00039253.pdf

担当:菅原卓也、上江州佐代子

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