DFID Report/DFID通信

第10回 「アフリカ委員会報告書の公表」

英国時間3月11日(金)9時30分に英アフリカ委員会ウエブサイト上で同委員会の報告書が公表されました(英語版仏語版 )。英国でのローンチ(発表セレモニーとでもいうのでしょうか)は、ウエブ公開より早い8時からという関係者への微妙な配慮が感じられる時間設定でした。次いでアジスアベバとニューヨークでもローンチが行われました。

同報告書の提案(Recommendations)の概要は次のとおりですが、ドナー国だけでなくアフリカ諸国の政府、国際機関、NEPADやAU等の地域機関のそれぞれが取り組むべき行動と、パートナー・シップについて提案しています。

(1)ガバナンスとキャパシティー・ビルディング
ガバナンス、キャパシティー・ビルディングへの投資、アカウンタビリティと透明性の確保、腐敗の撲滅、情報システムの強化等

(2)平和とセキュリティ
紛争の原因対策、紛争のリスクの削減、武器貿易対策、国連等の国際機関、AUを中心とする地域機関の紛争防止にかかる能力を向上、各機関の連携強化、紛争後の復興支援等

(3)人的投資
教育への援助額を一年当たり70〜80億米ドル増、教師の育成に、カリキュラムや各国連携等を支援、世界エイズ・結核・マラリア対策基金や世界ワクチン基金(IFF Immunisationを通じて)への拠出、水と衛生、HIV/AIDS、子どもと女性等

(4)成長と貧困削減
経済成長に必要な基礎インフラの整備、アフリカ諸国への投資促進のための環境改善、若者や貧困者の雇用対策、ビジネス・コミュニティの大改革、環境問題、気候変動対策等。

(5)貿易
アフリカの貿易キャパシティの向上、富裕国の市場へのアクセス向上、貿易障壁の削減

(6)資金
援助資金の有効な活用のためのドナー国と途上国の討議の場の必要性、アンタイドで予測可能な、調和化された援助。アフリカへの援助は主に無償資金であるべきこと、アフリカ諸国のアカウンタビリティの向上、サブサハラアフリカの援助の倍増(1年あたり250億米ドル増)、債務の100%削減と削減により浮いた資金による経済成長と貧困削減のための投資、IFF(国際金融ファシリティー)、富裕国の援助資金の国民所得比0.7%の実現、更なる資金増加策としての国際税等の検討等

(7)実行に向けて
アフリカ開発銀行やアフリカ経済委員会の強化、世銀やIMF、WTO等の国際機関の戦略見直し、アフリカの声の反映策、独立したモニタリング・メカニズム等

最後に、余談ですが、11日は英BBCを中心とする赤い付け鼻がトレードマークのチャリティーイベント「コミック・リリーフ」の日でもありました。これは偶然ではなく、英国民の関心を引くために同日にしたのではないかというの意見があります。私も当初は15日だと聞いていたので、その説は一理あると思っています。もちろん、それ以外にも3箇所でローンチをするための都合や私の知らない政治的理由があったのかも知れませんが。いずれにしろ、2月24日の第3回委員会から報告書発表までのスピードは驚異的(きちんと印刷製本された報告書本書やプレスパック、仏語版作成まで!)で、委員会の事務方の苦労がしのばれます。

2004年3月20日

DFID通信担当 石橋 幸子

第9回 G8環境・開発閣僚会合
第8回 議長国としての決意表明
第7回 DFID e−ニュースレター
第6回 アフリカ委員会コンサルテーション他
第5回 ICPD10周年とEITI
第4回 ODA増額方針とPSAの改正
第3回 リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツに関するポジション・ペーパー

第2回アフリカ国際委員会について
第1回 2004年度国際開発省(DFID)年次報告書の概要

【関連資料】
英国国際開発省(DFID)研修報告(2004年1月19日−2月13日)
(プレゼンテーション 1
外務省経済協力局調査計画課
横林 直樹

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