From Paris/パリDAC通信第17号


2004年5月4日
DACハイレベル会合 (4/15-16) 「援助量と援助効果の向上」

今回は4月15,16日に開催されたDACハイレベル会合(HLM)での議論の紹介として、開発目的達成に向けた「援助量と援助効果の向上」についてご紹介します。

皆さんは開発目標の達成に何が不可欠と考えますか?今回のHLMの議題にも反映されているようにDACはその答えの一つとして、まず「援助量と援助効果の向上」をアジェンダとして掲げ、今回のHLMでもその議論を行いました。

まず、日本ではODA増加につき疑問をもつ声があるのに対し、DACメンバー国は「援助資金の増加」をどう見ているのでしょう。 これは、同セッションの冒頭に出された「コップ(MDGs等を含めた開発目標の達成)は半分水(援助資金)で満たされているのか、それとも水が半分しか入っていないのか?」という質問に対する各国の答えにうかがうことができます。 まず自らを楽観主義者と称し現在MCAなどで予算が増大しているアメリカそしてスイスが現状の援助量に満足としました。 これに対してまだ資金が足りないとするメンバーが複数ありましたが、中でもフランス、イギリス、デンマーク等は特に、それぞれのアジェンダ(前2者はInternational Finance Facility、 後者はODA-GNI比0.7%目標の設定)と絡めて開発資金の増加を訴えていました。 これに対し、援助以外にも目を向ける必要があると注意喚起を行ったのが、日本、(援助量増加も必要としていましたが)イギリス、EC等。中でも、ECは資金よりもアウトプットが重要、とかなり強い主張を行い、後述の援助効果向上の取り組みとの関連で自らの努力をアピールしていました。2

援助効果の向上については、大多数の国々が、資金と同様に開発目標の達成に重要とし、いくつかの進捗は見られるものの、引き続き現場での努力が不可欠という点で合意しました。 具体的には、ドナー組織における調和化へのインセンティブ設定の工夫や、高い管理費の検討等ドナー側の努力について述べるメンバーがあった他、日本が重視する途上国のオーナーシップの重要性については、現在DACの議論では注意が足りないため努力すべきと注意喚起するメンバーがいくつか見られました。

DAC総体としてのメッセージはプレスリリースのとおり、援助量増加も援助効果も向上も必要、というものになりましたが、MDGsの中間レビュー、第二回援助効果に関するパリハイレベルフォーラム(仮称)が行われる2005年、モンテレイのコミット期限を迎える2006年を前にした2004年今年はいずれにしても重要な年となることは確か。引き続き実質的な開発目標の達成にむけた努力が期待されます。

  1. International Finance Facility の詳細は英国大蔵省ウェブサイトOECD開発センターPolicy Brief No.24 を参照。
  2. DACプレスリリース

(パリDAC通信担当 寺門雅代)

バックナンバー
2004年4月18日16号「DACハイレベル会合 (4/15-16) 報告」

2004年4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」
2004年3月14号
2003年12月13号
2003年10/11月12号
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2003年7月7日10号
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