From Paris/パリDAC通信第25号


2004年10月15日
『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント』
「ローマ調和化宣言」その後―パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 「Joint Country Learning Assessment」ミッション、パートナー国ワークショップ、地域ワークショップ)

 今回は、『ニカラグア通信』と題して(といってもパリから書いておりますが)、現場(途上国)から見た調和化というテーマで、(1)先日ニカラグアで実施された調和化・アラインメントに関する「Joint Country Learning Assessment」ハイレベルミッション、(2)同じく援助効果に関するDAC援助効果向上パートナー国会合、及び(3)パリ・ハイレベルフォーラムに向けた地域ワークショップに関してご紹介いたします。


1. 「Joint Country Learning Assessment(JCLA)」ハイレベルミッション

背景: DAC援助効果作業部会では、調和化・アラインメントに関する進捗確認・方策議論のためのドナー・パートナー国の相互学習としてJCLAをニカラグアでとり進めていた。5月のテクニカルミッション派遣、6月の現地での行動計画の作成等を経た今回のミッションは、DAC議長を始めとするハイレベルで構成され、本JCLAの最終段階として、ニカラグア政府及び現地ドナー(DACで設置したIn-country Donor Facilitator(我が国、UNDP等)等を含む)とともに調査結果や今後の課題、JCLA報告書案等について議論が行われた。

議論の概要: ニカラグア政府からは、ドナーとの協議の場としての「セクター・テーブル」の設置、「オペレーショナル国家開発計画」の策定等の調和化・アラインメントのための取り組みにつき説明がなされ、今後、パートナー国の主体性やリーダーシップの重要性に着目しつつ、引き続き本努力を継続する意思が表明された)。全体の議論では、調和化を進めるにあたってのイシューとして主に以下が指摘された。

  • セクター・テーブル、オペレーショナル国家開発計画を含めた現地の調和化のための制度をどのように運用させるのか。関係政府機関の役割の明確化及びコミットの強化、政府機関・ドナー・市民社会の連携の強化、セクター・テーブルの機能強化のためのセミナー開催等の方策が必要。ドナー側本部による、現地事務所への権限委譲やインセンティブ付与も必要。
  • パートナー国側のキャパシティ・リーダーシップをどのように確保、向上させるか。(著者私見:ニカラグアはDACパートナー国の中でも積極的に調和化に取り組むためのオーナーシップが強いと感じているが・・・)ドナー側の手続きの調和化・簡素化、政策立案のみでは不十分で、パートナー国政府側のプロジェクト計画策定、実施及びモニタリング能力を向上させる必要がある。
  • 地方政府をどのように巻き込んでいくのか。セクター・アプローチへの地方分権化の結果及び地域開発計画等の視点の組み込みを保障するシステム、地方政府機関のキャパシティ向上、人材育成が必要。
  • セクターワイドアプローチ、共同分析作業・ミッション等によるトランザクションコストを以下に抑えるか。

今後の予定: 11月にJCLAの報告書がDACに提出される。行動計画案については、現地関係者での協議を経て、年末までの完成を目指す。

2. 援助効果に関するDACパートナー国会合
背景:
 10月6−7日、同じくニカラグア政府主導のもと、DACの援助効果向上パートナー国14カ国うち8カ国(Bolivia, Fiji, Kyrgyzstan, Mozambique, Nicaragua, Senegal, Vietnam and Zambia)が集い、援助効果向上のための方策等につき議論が行われた。
議論の概要: 会合では、援助効果向上に関するパートナー国による共同提案を作成することを目的に議論が進められた。この背景には、援助効果向上には、「パートナー国のリーダーシップ・オーナーシップが不可欠」との強い認識が共有されており、主な議論の結果として特に、パートナー自らの、国家開発計画・戦略及びそれらを補完するセクター・地方計画、またこれらを実施するに当たり不可欠となる予算、マネジメント制度、キャパシティを強化する必要性が強調された(コミュニケ参照)。

3. パリHLF・地域ワークショップ

2005年3月のパリHLFに先立ち、各地域における「ローマ調和化宣言」の実施状況を取り纏めて、現場での経験に基づいた議論を行い、パリHLFへのインプットととする意図で、世界5箇所で「地域ワークショップ」を開催する予定。

具体的な予定は以下のとおり)。

  • アジア地域ワークショップ 10月19〜20日 (於 タイ)
  • 中央アジア地域ワークショップ 11月4〜5日 (於 キルギス)
  • アフリカ地域ワークショップ 11月3〜5日 (於 タンザニア)
  • 中南米地域ワークショップ 11月9日〜10日 (於 ホンジュラス)

10月19日より開催の、アジア地域ワークショップでは、同地域での調和化・アラインメントの進捗確認、援助効果向上のための方策としてキャパシティビルディング・開発成果マネジメント・SWAPsに関する各分科会での議論等が予定されている。

以上


(パリDAC通信担当 寺門雅代)


バックナンバー
2004年10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−
2004年8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」

2004年7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
2004年7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
2004年6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
2004年5月30日第19号「対フランス援助審査」

2004年5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
2004年5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」

2004年4月18日16号「DACハイレベル会合 報告」
2004年4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」

2004年3月14号


2003年12月13号
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