From Paris/パリDAC通信第40号 |
2005年9月6日 |
9月14-16日、NYの国連本部で国連総会「World Summit」が開催される予定です。本会合には、170以上の政府等代表者が集まり、開発(MDGsレビュー含む)、安全、人権、国連改革の4つの議題について議論が行われる予定です。現在、会合で採択予定の「成果文書」の第三次案の交渉等、様々な準備が進んでいます。 OECDは、この会合に向けて、「開発への貢献」にフォーカスし、特にMDGsを主眼においた貢献を行うべく、準備を行ってきました。 まず、OECD全体では、今年5月の閣僚理事会のディナーにて開発問題をとりあげミレニアム宣言及びモンテレーにおけるコミットを再度確認し、開発だけでなく、その他貿易・投資、環境、政策一貫性等の多角的な視点からOECDの知見を使いつつ、引き続き開発に貢献していく意思を表明した「OECD STATEMENT TO THE FOLLOW-UP OF THE UN MILLENNIUM DECLARATION AND MONTERREY CONSENSUS」 を採択しました。更には、OECDの貧困削減への貢献についての報告書「Making Poverty Reduction Work」も作成しました。両文書は国連総会にあわせて、事務総長に提出されます。 また、DACでは、援助量増加はもちろん、昨今、世銀、各地域開発銀行や途上国と共に取り組んできた援助効果向上アジェンダについても、MDGs等開発目標の達成に不可欠な重要な要素として、今回の国連総会では、右アジェンダの重要性を再度訴え、引き続きの努力に対するコミットを取り付けるために、前述の「成果文書」に「援助効果向上に関するパリ宣言」等に関する記述を盛り込む方向で働きかけを行っているとのことです(実際の働きかけは、北欧・英等の本アジェンダに熱心な各国政府より働きかけを行っているとのこと)。 このように、9月国連総会に対するOECDからの貢献は、開発援助の分野での努力に加え、その他の分野での取組みを含んだ多角的な視点からの貢献になっていると言えます。これは、「開発は開発援助だけでは達成できない」という認識に基づくもので、我が国もよく例に出すアジアの開発の成功例からも妥当な考えといえるでしょう。しかしながら、その結果、例えば本総会で採択される予定の「成果文書」では、開発援助の項目だけでも、重要アジェンダとして多くの項目が盛り込まれ「クリスマス・ツリー」のような状態になり、実際の援助の政策や現場での対応の際、どの項目からどういうタイミングで取り組んでいくべきか、という点を示せずに、結果現場へのインパクトを与えられないことになる、という懸念もあることは確かです。事実、(前述のOECDのステートメントもそうですが)現在交渉中の「成果文書」でも同様の問題が見られるのでは?と個人的に考えております。国連という、利益の異なる多くの関係者が集まる場では、こうした事態は避けられないことも十分理解できますが、「World Summit」という名の通り、世界中の期待が集まる今回の総会、少しでも目に見えるインパクトが出されるよう期待するばかりです。 パリからのメッセージ、NYに届くでしょうか? (パリDAC通信担当 寺門雅代)
2005年8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)」 |