1. モニタリング調査立ち上げ
これまでに何度かご紹介さしあげた「パリ宣言」の進捗モニタリング。モニタリング方法、指標のとり方等に関する長い議論を経て、今年5月に、合意されたモニタリング手法を基づく調査が、正式に立ち上がりました。現在、モニタリングへの参加表明国において、被援助国政府・ドナー等が協力しあって、各指標に関する質問表への回答を作成しており、8月15日までに提出することが想定されています。
2. 「協力求む!」
(1)「パリ宣言署名国」と「モニタリング実施国」の乖離
○「パリ宣言」採択の意義の1つに、署名国の拡大 −ドナーに加え、援助効果向上には、ドナー・被援助国双方のパートナーシップが不可欠という意識に基づき、被援助国も参加、結果署名国・機関数は100以上に及んだ− があげられました。しかしながら、7月末現在で、本宣言モニタリング調査に参加を表明したのは約30カ国のみ。
○更に、右参加国の内訳の3分の2がアフリカに偏っている状況。これでは、全世界のパリ宣言実施状況について判断することは大変難しいといえます。
○また、「パリ宣言」には、中国、タイ、ブラジル等「新興ドナー」としての顔を持ち合わせる国も参加。7月上旬に開催されたDACの「パリ宣言」モニタリング・ジョイントベンチャー会合で、あるアフリカの国が発言していたのですが、これらの国が、ドナーとして活動する被援助国においては、ドナーとしてモニタリング、少なくとも援助協調のダイアログには参加すべきではないか、という意見もあります。これに関しては、DAC援助効果作業部会にて、別途、新興ドナーに対する援助効果向上分野での協力を進めるべき、という意見もあり、今後具体的な協力方法が議論されていく見込みです。中国等々の
Emerging Donorsの皆さん、協力お願いいたします(といって簡単に解決される話ではないですネ。)。
(2)夏休みは返上できない。。。?
DACの「パリ宣言」モニタリング・ジョイントベンチャー会合では、主に被援助国参加者から、早くも8月15日の締切りを延ばせないかという意見が出されました。理由は、本件作業は、通常業務にオントップにかかってくる作業であり、時間を要すること等に加え、ドナーが夏休みで長期不在のため回答の作成が遅れる、とのこと!長期休暇をとっているドナーの皆様、協力お願いいたします!!!(以上、バカンスシーズンでパン屋さんも閉まるパリからの声。)
初めてのモニタリング調査、以上のようにまだまだ各方面からの協力が必要な状況ですが、結果が出次第、またみなさんに報告できればと思っています。
(パリDAC通信担当 寺門 雅代)
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2006年
6月13日第50回「続・一般財政支援の効果はいかに?」
5月28日第49回「OECD閣僚理事会」
5月15日第48回「一般財政支援の効果はいかに? 」
2月21日第47回「OECDの開発に対する取組み強化(その2)− 投資分野での取組み−」
2月7日第46回「OECDの開発に対する取組み強化」
1月25日第45回「スケールアップに関する議論−続編−(第2回 DAC・世銀スケールアップ会合)」
2005年
12月11日第44回「質問:ブルガリアに派遣されている青年海外協力隊の費用は、『ODA』でしょうか?」
(「DACリスト」改訂)
11月28日第43回「スケールアップに関する議論」
11月1日第42回「ODA増額のためにODAを使う?」− ODAに占める開発教育・広報費の割合−
9月18日第41回「OECD/DAC事務局による2010年におけるODA量のシミュレーションと最近のDAC内外におけるホットトピック」
9月6日第40回「9月国連総会(首脳会合:World Summit)とOECD/DAC」
8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)」
7月22日第38回「パリ援助効果ハイレベルフォーラムフォローアップ」
6月27日第37回「オバケODA」を退治せよ?」
5月28日第36回「開発援助サポーター倍増作戦−DAC諸国における広報−」
5月14日第35回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告とそのフォローアップ(その4 開発成果マネジメント)」
4月18日第34回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その3 能力開発)」
3月19日第33回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その2 パリ宣言と我が国の対応 ) 」
3月4日第32号「パリ援助効果ハイレベルフォーラム」
2月5日第31号「Forum on Partnership for More Effective Development
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1月11日第29号「DACアウトリーチ戦略(その2)」
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12月14日第28号「DACシニアレベル会合(SLM)」
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10月29日第26回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その4 調達キャパビル)−」
10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント』
10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−」
8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
5月30日第19号「対フランス援助審査」
5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」
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