From Paris/パリDAC通信第60号


2007年11月12日
急速に存在感を増しつつある「新興のドナー」(OECDの拡大とハイリゲンダム・プロセス)


急速に存在感を増しつつある「新興ドナー」へのアウトリーチの必要性は、様々な国際会議で重要性が指摘されています。

その1:OECDの拡大と関与強化
今年5月のOECD閣僚理事会における「OECDの拡大と関与強化」についての議論では、

  • 「ブラジル、インド、中国、南アフリカ、インドネシアとの間で、将来の加盟の可能性も視野に入れ、関与強化プログラムを通じOECDとの協力を強化する。」

  • 「ロシア、チリ、イスラエル、スロベニア、エストニアの5カ国との間で、OECD加盟交渉準備のための協議を開始する。」
などの決定がなされました。現在これらの決定事項に基づき、開発分野のみならず経済成長、貿易自由化などの主要分野を含むOECD全体にてアウトリーチ活動が実施されています。

その2:ハイリゲンダム・プロセス
また、今年6月にドイツ・ハイリゲンダムにて開催されたG8サミットでは、

  • 「今や、G8、主要新興国の協調なくして世界経済における主要な挑戦に効果的に対処することはできない。今後2年間で、G8と新興国の間でイノベーション、投資、開発、エネルギー効率の4つをテーマとした対話を実施する。」
ことが合意され、G8メンバー国と新興経済国間のハイレベル対話プロセス「ハイリゲンダム・プロセス」を立ち上げることが決定されました。そこではOECDに対し、この対話プロセスの場を提供することが要請され、これを受けOECD内に「ハイリゲンダムサポートユニット」が設置され、2008年の北海道洞爺湖サミットで中間報告を行い、2009年のサミット(於イタリア)に最終報告を提出することとなっています。

その3:DACにおける取り組み
DACにおける新興のドナーへのアウトリーチ活動は、各メンバーからの投票によって決まる活動の優先順位で第1位となっており、様々な取組が実施されていますが、近日中の予定としては、以下の2つの対話会合の実施があります。

@DAC援助効果作業部会新興ドナーとの特別セッション(2007年11月)
援助効果作業部会が開催されるのを機に、新興ドナーを招待し、援助効果向上の現状のアプローチで欠けているものは何か、パリ宣言の原則を実践に移していくためにはどうすべきかについて議論。

ADACシニアレベル会合へのBRICsの招待(2007年12月)
シニアレベル会合の一部にBRICSからの参加者を招待し、アクラハイレベルフォーラム準備等について議論。

このようにDACでの取り組みは、OECDの拡大と関与強化の動き及びハイリゲンダム・プロセスと整合性をとった形で進められるとともに、その成果に注目が集まっています。

(パリDAC通信担当:吉田 徹)


バックナンバー

2007年
10月30日第59回「「パリ宣言」:開発成果のためのマネジメントに向けた取り組みとは
10月22日第58回「急速に存在感を増しつつあるBRICs等の「新興のドナー」
9月26日第57回「増えるODAとその配分
8月7日第56回「2008年援助効果向上アクラハイレベルフォーラム

2006年

12月26日第55回「対オランダ援助審査からみたDAC −その4−
11月26日第54回「対オランダ援助審査からみたDAC −その3 「優等生」オランダから学べ!?−
10月19日第53回「対オランダ援助審査からみたDAC − その2 「援助審査」はお手盛り審査?−
10月19日第52回「対オランダ援助審査からみたDAC −その1−
8月5日第51回「協力求む!?「パリ宣言」モニタリング調査の開始
6月13日第50回「続・一般財政支援の効果はいかに?

5月28日第49回「OECD閣僚理事会
5月15日第48回「一般財政支援の効果はいかに?
2月21日第47回「OECDの開発に対する取組み強化(その2)− 投資分野での取組み−
2月7日第46回「OECDの開発に対する取組み強化
1月25日第45回「スケールアップに関する議論−続編−(第2回 DAC・世銀スケールアップ会合)

2005年

12月11日第44回「質問:ブルガリアに派遣されている青年海外協力隊の費用は、『ODA』でしょうか?
       (「DACリスト」改訂)
11月28日第43回「スケールアップに関する議論

11月1日第42回「ODA増額のためにODAを使う?」− ODAに占める開発教育・広報費の割合−
9月18日第41回「OECD/DAC事務局による2010年におけるODA量のシミュレーションと最近のDAC内外におけるホットトピック
9月6日第40回「9月国連総会(首脳会合:World Summit)とOECD/DAC
8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)
7月22日第38回「パリ援助効果ハイレベルフォーラムフォローアップ
6月27日第37回「オバケODA」を退治せよ?
5月28日第36回「開発援助サポーター倍増作戦−DAC諸国における広報−
5月14日第35回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告とそのフォローアップ(その4 開発成果マネジメント)
4月18日第34回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その3 能力開発)
3月19日第33回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その2 パリ宣言と我が国の対応 )
3月4日第32号「パリ援助効果ハイレベルフォーラム
2月5日第31号「Forum on Partnership for More Effective Development Co-operation
1月23日第30号「脆弱な国家(fragile states)における援助効果向上に関するシニアレベルフォーラム
1月11日第29号「DACアウトリーチ戦略(その2)

2004年

12月14日第28号DACシニアレベル会合(SLM)
11月16日第27号「開発援助における評価の方向性
10月29日第26回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その4 調達キャパビル)−
10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント
10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−
8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
5月30日第19号「対フランス援助審査」

5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」

4月18日16号「DACハイレベル会合 報告」
4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」
3月14号

2003年

12月13号
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