急速に存在感を増しつつある「新興ドナー」へのアウトリーチの必要性は、様々な国際会議で重要性が指摘されています。
その1:OECDの拡大と関与強化
今年5月のOECD閣僚理事会における「OECDの拡大と関与強化」についての議論では、
- 「ブラジル、インド、中国、南アフリカ、インドネシアとの間で、将来の加盟の可能性も視野に入れ、関与強化プログラムを通じOECDとの協力を強化する。」
- 「ロシア、チリ、イスラエル、スロベニア、エストニアの5カ国との間で、OECD加盟交渉準備のための協議を開始する。」
などの決定がなされました。現在これらの決定事項に基づき、開発分野のみならず経済成長、貿易自由化などの主要分野を含むOECD全体にてアウトリーチ活動が実施されています。
その2:ハイリゲンダム・プロセス
また、今年6月にドイツ・ハイリゲンダムにて開催されたG8サミットでは、
- 「今や、G8、主要新興国の協調なくして世界経済における主要な挑戦に効果的に対処することはできない。今後2年間で、G8と新興国の間でイノベーション、投資、開発、エネルギー効率の4つをテーマとした対話を実施する。」
ことが合意され、G8メンバー国と新興経済国間のハイレベル対話プロセス「ハイリゲンダム・プロセス」を立ち上げることが決定されました。そこではOECDに対し、この対話プロセスの場を提供することが要請され、これを受けOECD内に「ハイリゲンダムサポートユニット」が設置され、2008年の北海道洞爺湖サミットで中間報告を行い、2009年のサミット(於イタリア)に最終報告を提出することとなっています。
その3:DACにおける取り組み
DACにおける新興のドナーへのアウトリーチ活動は、各メンバーからの投票によって決まる活動の優先順位で第1位となっており、様々な取組が実施されていますが、近日中の予定としては、以下の2つの対話会合の実施があります。
@DAC援助効果作業部会新興ドナーとの特別セッション(2007年11月)
援助効果作業部会が開催されるのを機に、新興ドナーを招待し、援助効果向上の現状のアプローチで欠けているものは何か、パリ宣言の原則を実践に移していくためにはどうすべきかについて議論。
ADACシニアレベル会合へのBRICsの招待(2007年12月)
シニアレベル会合の一部にBRICSからの参加者を招待し、アクラハイレベルフォーラム準備等について議論。
このようにDACでの取り組みは、OECDの拡大と関与強化の動き及びハイリゲンダム・プロセスと整合性をとった形で進められるとともに、その成果に注目が集まっています。