「対外援助」ドナーとしての中国がDACの会合に参加し始めています。
1.DACシニアレベル会合(2007年12月)
国務院商務部対外援助司副司長が初めて出席し、中国の「対外援助」について説明しました。
●中国は建国時より「対外援助」を行っている。
●これまでに120カ国、20分野において、2000以上のプロジェクトを実施した。
●最近ではインド洋津波災害支援等の人道的援助も実施している。
●中国の「対外援助」は額が限られており、またDACメンバーによるODAとは大きく異なる。
●中国の「対外援助」政策は「平等と相互利益」の観点に立っており、内政干渉は行わない。
●中国は他の途上国とともにパリ宣言を国際開発援助の実用的で進歩的な取組と受け止めている。
●中国はDACメンバーや他国との交流や対話を強化し、成功例を学びたい。
●これにより、中国の「対外援助」からより多くの国が利益を得るように協力の可能性を開拓したい。
2.「中国の農村及びアフリカの貧困削減にかかる経験」ワークショップ(2008年2月)
農業大学人文開発学部長、国務院扶貧開発指導チーム担当者、国際貧困削減センター担当者が出席し、以下の説明をしました。
●中国の「対外援助」は、1991年の1.68億元から2005年の7.47億元へと急増した。
●2005年の中国の「対外援助」は、対GNP比0.04%である。
●過去に中国の「対外援助」は「イデオロギー普及」や「軍事援助」の観点に立っていた。
●現在は中国の「対外援助」は「相互利益及び経済成長重視」の観点に立っている。
●中国の「対外援助」は主にアフリカ向けである。
●アフリカの脆弱な政府に対しては、インフラ整備を通じて腐敗を回避する方法をとっている。
●中国の「対外援助」は中国の優先順位を押し付けはせず、相手国の主体性を尊重している。
●最近は、AU、国連、世銀等国際機関とも協力関係にある。
●援助手続き簡素化、高額な調査の回避によりアフリカ諸国の負担を軽減している。
●中国の「対外援助」はODAではないがOECDの経験を今後も学びたい。
中国はDAC自体とは一定の距離を保ちつつも、DACへの関心を高めているようです。
(パリDAC通信担当:吉田 徹)
バックナンバー
2008年
2月18日第66回「さようならマニングDAC議長〜2007年DAC議長報告書」
2月4日第65回「アクラハイレベルフォーラムの概要」
1月21日第64回「「パリ宣言」第2回モニタリング調査の開始」
1月7日第63回「謹賀新年:2006年ODA額と2010年ODA額シミュレーション」
2007年
12月21日第62回「気候変動への適応とODA」
12月13日第61回「DACにおける「能力開発」の議論の開始」
11月12日第60回「急速に存在感を増しつつある「新興のドナー」(OECDの拡大とハイリゲンダム・プロセス)」
10月30日第59回「「パリ宣言」:開発成果のためのマネジメントに向けた取り組みとは」
10月22日第58回「急速に存在感を増しつつあるBRICs等の「新興のドナー」」
9月26日第57回「増えるODAとその配分」
8月7日第56回「2008年援助効果向上アクラハイレベルフォーラム」
2006年
12月26日第55回「対オランダ援助審査からみたDAC −その4−」
11月26日第54回「対オランダ援助審査からみたDAC −その3 「優等生」オランダから学べ!?−」
10月19日第53回「対オランダ援助審査からみたDAC −
その2 「援助審査」はお手盛り審査?−」
10月19日第52回「対オランダ援助審査からみたDAC −その1−」
8月5日第51回「協力求む!?「パリ宣言」モニタリング調査の開始」
6月13日第50回「続・一般財政支援の効果はいかに?」
5月28日第49回「OECD閣僚理事会」
5月15日第48回「一般財政支援の効果はいかに? 」
2月21日第47回「OECDの開発に対する取組み強化(その2)− 投資分野での取組み−」
2月7日第46回「OECDの開発に対する取組み強化」
1月25日第45回「スケールアップに関する議論−続編−(第2回 DAC・世銀スケールアップ会合)」
2005年
12月11日第44回「質問:ブルガリアに派遣されている青年海外協力隊の費用は、『ODA』でしょうか?」
(「DACリスト」改訂)
11月28日第43回「スケールアップに関する議論」
11月1日第42回「ODA増額のためにODAを使う?」− ODAに占める開発教育・広報費の割合−
9月18日第41回「OECD/DAC事務局による2010年におけるODA量のシミュレーションと最近のDAC内外におけるホットトピック」
9月6日第40回「9月国連総会(首脳会合:World Summit)とOECD/DAC」
8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)」
7月22日第38回「パリ援助効果ハイレベルフォーラムフォローアップ」
6月27日第37回「オバケODA」を退治せよ?」
5月28日第36回「開発援助サポーター倍増作戦−DAC諸国における広報−」
5月14日第35回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告とそのフォローアップ(その4 開発成果マネジメント)」
4月18日第34回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その3 能力開発)」
3月19日第33回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その2 パリ宣言と我が国の対応 ) 」
3月4日第32号「パリ援助効果ハイレベルフォーラム」
2月5日第31号「Forum on Partnership for More Effective Development
Co-operation」
1月23日第30号「脆弱な国家(fragile states)における援助効果向上に関するシニアレベルフォーラム」
1月11日第29号「DACアウトリーチ戦略(その2)」
2004年
12月14日第28号「DACシニアレベル会合(SLM)」
11月16日第27号「開発援助における評価の方向性」
10月29日第26回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その4 調達キャパビル)−」
10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント』
10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−」
8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
5月30日第19号「対フランス援助審査」
5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」
4月18日16号「DACハイレベル会合
報告」
4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」
3月14号
2003年
12月13号
10/11月12号
7月21日11号
7月7日10号
6月22日9号
6月9日8号
5月5日7号
4月28日第6号
4月17日第5号
4月7日第4号
3月31日第3号
3月24日第2号
3月10日第1号