From Paris/パリDAC通信第69号


2008年4月14日
パリDAC通信(DACの役割を見直す)


DACを取り巻く環境が変化する中、DACの役割を見直す議論が開始されます。

■1961年から使用されているDACのマンデート

DACの前身であるDevelopment Assistance Group(DAG)がDACの設置を決定したのが、1960年、DACの第1回会合が開催されたのが1961年10月。それ以降50年近く、DACのマンデートは以下の通りで変更されませんでした。

「開発途上にある国・地域を支援するための国家資源の活用及び長期資金や他の開発援助の流れの拡大・改善の方法について協議する。」

■DACを取り巻く環境の変化

G7を中心としたOECD諸国が開発援助の主役という構図から、新興援助国やそれ以外の様々な援助アクターが増加するなど、1961年当時と比較するとDACを取り巻く環境に急激な変化が起こっています。また、最近OECD理事会もDACに対して、DACの役割、機能、構成についてレビューするリフレクション作業を行うことを勧告しました。

■2009年5月の合意を目指して行われるリフレクション作業

リフレクション作業では、新たな環境の中でこれまでの強みと比較優位を生かし、いかにDACの妥当性を追求していくかを議論し、その結果は2009年5月のDACハイレベル会合に提出されることが予定されています。

◆2008年5月:リフレクション作業のTORをDACハイレベル会合で承認
◆2008年6月:コンサルタント雇用
◆2008年12月:DACシニアレベル会合にて中間報告
◆2009年4月:報告書第一次案完成
◆2009年5月:ハイレベル会合に報告書を提出
◆2009年7月:OECD理事会に報告書を提出

新時代に相応しいDACの役割とは何であるのかについて、有益な議論が期待されます。

(パリDAC通信担当:吉田 徹)


バックナンバー

2008年
3月31日第68回「「アクラHLFの採択文書はAAA
3月3日第67回「「対外援助」ドナーとしての中国
2月18日第66回「さようならマニングDAC議長〜2007年DAC議長報告書
2月4日第65回「アクラハイレベルフォーラムの概要
1月21日第64回「「パリ宣言」第2回モニタリング調査の開始
1月7日第63回「謹賀新年:2006年ODA額と2010年ODA額シミュレーション

2007年
12月21日第62回「気候変動への適応とODA
12月13日第61回「DACにおける「能力開発」の議論の開始
11月12日第60回「急速に存在感を増しつつある「新興のドナー」(OECDの拡大とハイリゲンダム・プロセス)
10月30日第59回「「パリ宣言」:開発成果のためのマネジメントに向けた取り組みとは
10月22日第58回「急速に存在感を増しつつあるBRICs等の「新興のドナー」
9月26日第57回「増えるODAとその配分
8月7日第56回「2008年援助効果向上アクラハイレベルフォーラム

2006年

12月26日第55回「対オランダ援助審査からみたDAC −その4−
11月26日第54回「対オランダ援助審査からみたDAC −その3 「優等生」オランダから学べ!?−
10月19日第53回「対オランダ援助審査からみたDAC − その2 「援助審査」はお手盛り審査?−
10月19日第52回「対オランダ援助審査からみたDAC −その1−
8月5日第51回「協力求む!?「パリ宣言」モニタリング調査の開始
6月13日第50回「続・一般財政支援の効果はいかに?

5月28日第49回「OECD閣僚理事会
5月15日第48回「一般財政支援の効果はいかに?
2月21日第47回「OECDの開発に対する取組み強化(その2)− 投資分野での取組み−
2月7日第46回「OECDの開発に対する取組み強化
1月25日第45回「スケールアップに関する議論−続編−(第2回 DAC・世銀スケールアップ会合)

2005年

12月11日第44回「質問:ブルガリアに派遣されている青年海外協力隊の費用は、『ODA』でしょうか?
       (「DACリスト」改訂)
11月28日第43回「スケールアップに関する議論

11月1日第42回「ODA増額のためにODAを使う?」− ODAに占める開発教育・広報費の割合−
9月18日第41回「OECD/DAC事務局による2010年におけるODA量のシミュレーションと最近のDAC内外におけるホットトピック
9月6日第40回「9月国連総会(首脳会合:World Summit)とOECD/DAC
8月22日第39回「援助効果ハイレベルフォーラム・フォローアップ(その2)
7月22日第38回「パリ援助効果ハイレベルフォーラムフォローアップ
6月27日第37回「オバケODA」を退治せよ?
5月28日第36回「開発援助サポーター倍増作戦−DAC諸国における広報−
5月14日第35回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告とそのフォローアップ(その4 開発成果マネジメント)
4月18日第34回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その3 能力開発)
3月19日第33回「パリ援助効果ハイレベルフォーラム報告(その2 パリ宣言と我が国の対応 )
3月4日第32号「パリ援助効果ハイレベルフォーラム
2月5日第31号「Forum on Partnership for More Effective Development Co-operation
1月23日第30号「脆弱な国家(fragile states)における援助効果向上に関するシニアレベルフォーラム
1月11日第29号「DACアウトリーチ戦略(その2)

2004年

12月14日第28号DACシニアレベル会合(SLM)
11月16日第27号「開発援助における評価の方向性
10月29日第26回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その4 調達キャパビル)−
10月15日第25回『ニカラグア通信:現場から見た調和化・アラインメント
10月1日第24回「DACアウトリーチ戦略−対外協力関係の今後−
8月10日第23回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その2 開発成果マネジメント)−」
7月28日第22回「ローマ調和化宣言」のその後−パリ・ハイレベルフォーラムに向けて(その1)−」
7月12日第21回「ODAでCO2排出権を買えるのか?」
6月12日第20号MDGsへの貢献はどう図るべきか?
5月30日第19号「対フランス援助審査」

5月18日第18号「OECD閣僚理事会(5/13-14)」
5月4日第17号 「援助量と援助効果の向上」

4月18日16号「DACハイレベル会合 報告」
4月6日15号「DACハイレベル会合(4/15-16)・予告編」
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2003年

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